原題:HOLLOW MAN

姿は見えないが、殺意は見える。

(全米2000年08月04日公開)

2000年/アメリカ映画/ビスタ/全6巻/3,085m/112min SDDS・SRD・SR/字幕翻訳:稲田嵯裕里 原作:竹書房/サントラ盤:カルチュア・パブリッシャーズ 提供:コロンビア映画/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

2009年07月03日よりDVDリリース 2002年08月01日よりDVD発売開始 2001年4月27日DVD発売/2001年4月27日ビデオ発売 2000年10月14日より、日比谷映画他、全国東宝洋画系にてロードショー!

公開初日 2000/10/14

配給会社名 0042

解説

なぜ今?そう“今”でなければならない!鬼才ポール・バーホーベン監督がSFX新世紀の“透明人間”を生み出した!

●発端は1989年、“透明人間”が一人の男の心にとりついた
 1989年、プロデュサーのダグラス・ウィックは、“透明になること”とそれによって起こる事件をテーマに映画を作ったらどうか、というアイディアに魅せられた。「ちょうど特殊効果の技術が革命的に進歩し始めた頃で、透明になることの普遍的な魅力を、今まで誰も見たことがない映像で見せられるのではないかと思ったのだ。」

●一人の男の情熱が名脚本家の手で恐ろしい物語に
 ウィックは、『エアフォース・ワン』をヒットさせたばかりの脚本家アンドリュー・W・マーロウに相談する。マーロウは、社会的拘束を全て取り払われた時の人間の心理に興味を覚えた。彼はまた、長年、特殊効果の複雑な世界にも魅せられていて、この分野の主な研究室や会社を頻繁に訪れていた。そして、マーロウは当時としてはまだ不可能な特殊効果を脚本に書き込んだ。数年のうちにこういう効果が使えるようになると見越していたのだ。結果的に彼の脚本が、開発を推し進めることにもなった。
 マーロウは物語についてこう語る。「主人公は社会のルールに抑止されているカリスマ的なリーダーだ。これまでの“透明人間もの”の常套は避けて、ちょうど体が少しずつ消えていくように、そうしたルールが徐々に取り払われた後に何が起こるのか、そこにテーマを絞った。」

●最新の特殊効果が実現しても、それを使いこなせる監督がいなければ意味がない!
 マーロウの草稿がすっかり気に入ったウィックは、それを『氷の微笑』『トータル・リコール』の監督ポール・バーホーベンに送る。「『インビジブル』を撮るなら監督は彼だとずっと思っていた。本当の挑戦は新しい特殊効果ではなく、その効果をドラマに生かせる優秀な監督を探すことだった。ポールには数学と科学の才能があり、特殊効果を操れるばかりでなく、観客を魅了できる映像の天才なんだ。」 脚本を初めて読んだ時のバーホーベンの感想は、「人物がきっちりと描かれていた。プロットは透明性をテーマに巧妙な展開を見せる。何か不思議な感じがして、悪に関する詳細を極めた研究だと思った。最初はいくらかユーモアのある、心優しい科学冒険ものとしてスタートする。やがて頭脳明晰なセバスチャン・ケインが、狂った邪悪な怪物へと崩壊していく様を見ることになる。彼は悪魔に変身するんだ。」

●悪の権威ポール・バーホーベン監督を惹きつけた見事なまでの“悪”
 この魅力的なヒーローをドラマティックに創造したいと思ったバーホーベンに、次々とイメージが湧いてきた。「動物実験で奇跡的に成功したセバスちゃんは、自分の体で実験する。しかし人間のDNA連鎖は動物とは違う。楽しいはずの冒険が、透明な状態の魅力に囚われるに従い、危険なものに変わっていく。自分の人格の中にあった未知のものが放たれて、邪悪の深淵へと引き込まれていく。セバスチャンがある一定のところで自分を止められないのは、何をやっても逃げられると思っているからだ。誰にも姿を見られない状態で、彼は魔の手を伸ばしていく。」
 バーホーベンはセバンスチャンの堕落が観客の心を大きく揺さぶるだろうと感じた。「観客は、最初は彼の側についている。彼はヒーローだ。ところが彼の心が影に覆われていき、邪悪な存在に変貌した時、そんな彼にどこまでついていけるか?完全に彼を拒絶するのか、それとも心の一部で応援しているのか?」 ここでバーホーベンは決定的にこの物語の虜になる。「このドラマ性、提起する問題、素晴らしい特殊効果を使えるということが、私を『インビジブル』を撮りたいという気持ちにさせた。

ストーリー

セバスチャン・ケイン(ケビン・べ一コン)は天才肌の科学者。33歳にして、国家最高機密に属する研究プロジェクトを率いている。

 目標は人間を透明にすること。

 セバスチャンはすでに透明化する血清を発明、動物を透明にするところまでこぎつけていた。問題はいかに元に戻すかだ。

 巨大な地下施設にはさまざまな実験動物が飼育され、7人のチームが、昼夜を問わずこの画期的研究に没頭している。セバスチャンの右腕ともいえる二人の科学者、リンダ(エリザベス・シュー)とマット(ジョシュ・ブローリン)をはじめ、獣医のサラ、コンピューターを扱うフランク、データ分析の専門家ジャニス、そしてテクニシャンのカーターら、いずれも若い優秀な研究員だ。

 セバスチャン・ケインは自分の非凡さを意識している傲慢な男でもあった。かつて恋人だったリンダは、彼に心を残しながらも、研究と輝かしい栄誉しか頭にないセバスチャンと別れ、いまはマットと恋仲になっている。獣医のサラなど、自信家で冷たいセバスチャンに批判的な研究員もいるが、とりあえず、科学の進歩のためにみんな心を一つに取り組んでいた。

 そんなある目、セバスチャンはついに復元する方法をつきとめた。深夜の召集。手術台に縛りつけられた透明なゴリラは、生態量子の転換に伴う苦悶の果てに、毛むくじゃらの巨体に戻った。ついに成功したのだ。

 しかしセバスチャンは、プロジェクトの推進者である国防総省のクレイマー博士(ウィリアム・ディベイン)にも、この成果を報告しようとしない。報告すれば盗まれる。自分の手で世界を変えたいという野望を持っているのだ。とはいえ、早く結果を出さないと資金を打ち切られてしまう。自信家のセバスチャンは、リンダらの反対の声も聞かず、みずから人体実験の被験者になると言い出す。

 激痛、心拍数と血圧の上昇、脳波の異常……あわや心臓停止の間際に、セバスチャンは透明人間第1号となり、18時間の睡眠の果てに目覚める。

 最初は小さないたずらから始まった。眠っているサラの胸を触ったり、トイレに入っているジャニスを脅したり、リンダの飲み物を動かしたり……セバスチャンは人の目に見えない、何をするのも自由だという新しい特典に、徐々に魅入られていく。

 「透明人間とメイクラブしない?」 「同じことよ。心がないもの」口説かれたリンダは、危ういところで踏みとどまった。

 3目後、セバスチャンは可視化の血清を注入されたが、ショック状態が大きく、元に戻れない。1週間、10日と時が経つ内、セバスチャンの苛立ちがつのってくる。透明であることが、彼の精神に影響を及ぼし始めたのだ。ある目、ゴムの仮面をかぶって無断で外出したセバスチャンは、いつも自分のアパートから覗き見ていた隣家の美女をレイプするという、犯罪行為に及ぶ。

 セバスチャンを元に戻すために、解答を出そうと必死のリンダとマット。しかし天才科学者であるはずのセバスチャンは協力しようとしない。新しい力に酔い始めていたのだ。リンダは国防総省のクレイマーに報告するが、クレイマーは監視ビデオに細工して抜け出したセバスチャンに、自宅のプールで殺されてしまう。

 神のごときこのパワーを手放したくない。通報されるとこれまで築いたキャリアが終ってしまう。狂ったセバスチャンは関係者の皆殺しにかかる。エレベーターを動かす登録コードは、セバスチャンに消去されてしまった。最高機密の地下研究所は、いまや広大な密室と化している。その中で、透明な天才科学者と、赤外線カメラを装着して彼を追う研究員たちの、血みどろの死闘が始まる。セバスチャンの姿を浮き上がらせるのは、火、煙、水、そして血……最後に生き残るのは誰か?

スタッフ

製作総指揮:マリオン・ローゼンバーグ
共同製作:ステイシー・ランブレーザー
製作:ダグラス・ウィック、アラン・マーシャル
監督:ポール・バーホーベン
脚本:アンドリュー・W・マーロウ
ストーリー:ゲーリー・スコット・トンプソン、アンドリュー・W・マーロウ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
編集:マーク・ゴールドブラットA.C.E.
プロダクション・デザイン:アラン・キャメロン
撮影:ジョスト・バカーノA.S.C.
キャスティング:ハワード・フューアー
衣装:エレン・ミロジェニック
シニア・ビジュアルエフェクツ・スーパーバイザー:スコット・E・アンダーソン

キャスト

リンダ・マッケイ:エリザベス・シュー
セバスチャン・ケイン:ケビン・ベーコン
マシュー(マット)・ケンジントン:ジョシュ・ブローリン
サラ・ケネディ(獣医):キム・ディケンズ
カーター・アビー(主任助手):グレッグ・グランバーグ
フランク・チェイス(2Fで操作):ジョーイ・スロトニック
ジャニス・ウォルトン(2Fの黒人女性):メアリー・ランドル
クレイマー博士:ウィリアム・ディベイン
隣人女性:ロナ・ミトラ

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