原題:HANGING UP

ほんとの声で話せたら、何度切れてもきっとつながる。 仕事一筋の姉とワガママな妹にはさまれて、 パパの世話を一手に引き受けたイヴだったが・・・。

(全米2000年2月18日公開)

2000年/アメリカ映画/カラー/上映時間94分/DTS,SDDS/ 製作:コロムビア映画、ノーラ・エフロンanローレンス・マークプロダクション/ 配給:ソニーピクチャーズエンターティンメント サントラ盤:カルチャア・パブリッシャーズ

2007年11月28日よりDVDリリース 2004年11月26日よりDVD発売開始 2002年08月01日よりDVD発売開始 2001年3月23日DVD発売/2001年3月23日ビデオ発売 2000年8月26日より日比谷シャンテシネほかにてロードショー

公開初日 2000/08/26

配給会社名 0042

解説

■電話が織りなす3姉妹とその父のキュートで切ないファミリー・ストーリー
現代はまさに電話狂時代。いまや人々は手紙はもちろん、直接の会話さえも苦手となって、仕事や遊び、人間関係は電話に頼りっぱなしといっていい。わけても一緒に住んでいた家族がばらばらになった時、電話はなくてはならないコミュニケーションの手段となる。この映画に登場する3姉妹は、家庭と仕事を両立させている次女イヴ、バリバリのキャリア・ウーマンの姉ジョージア、とりあえず今は女優をしているモラトリアム30代の妹マディ、それぞれが現代女性の典型的な3パターンの道を生きているが、全員が父親譲りの”電話中毒者”。離れていればなおさら、電話でもいいから勇気づけ慰め抱きしめあいたいと願い、涙の数だけ笑いの数だけそして怒りの数だけベルを鳴らしてきた。そして、父親が入院した今、一番のパパっ子だったイヴは、姉妹と父親からの電話攻勢にあって、あらためて家族の愛と絆に気付かされるのだ。
電話が織りなすヴィヴィッドな家族模様。「ハロー」と「グッバイ」の間でみつける喜びと悲しみ。そこには、わずらわしくもかけがえのない家族ならではの親密な感情があふれている。

■『ユー・ガット・メール』のエフロン姉妹が生み出した、心に響くお洒落で味わい深い台詞の数々
映画の原作は『ユー・ガット・メール』などの監督として知られるノーラ・エフロンの実妹で、同作の脚本も一緒に書いたデリア・エフロンが、自らと父親の関係をベースに書き上げた処女小説。ニューヨーク・タイムズが”率直で深く心に訴えかける作品。”と絶賛したこの小説を、デリアがノーラとともに脚本化。仕事が命の姉、奔放な妹に、老いてなお常識ハズレでお騒がせな父親の世話を押し付けられたイヴは、仕事も家庭もすべてを手に入れているようかのように見えて、重すぎる責任にキレかかっている。そんなイヴの姿をエフロン姉妹はコミカルに、感動的に展開していく。
都会派のエフロンが実体験の中から生み出したような、お洒落でソフィスティケートされた台詞の応酬は、まさに才気煥発のひとこと。卓抜した洞察力がアイロニカルで乾いたユーモアを醸し出し、リアルで愉快な物語を軽やかに弾ませる。電話抜きには人とコミュニケートできない”電話中毒”の現代人を風刺しながら、その底に流れているのは温かな感情。電話線を通してでもいいから愛情を分かち合いたいと願う人々を優しく見つめる視線が、見る者の心をも深い愛で満たしてくれる。

■絶妙のキャスティングに、ひときわ輝くメグ・ライアンの愛らしさ
優しい夫と息子に恵まれ、イベントやパーティの企画をしながらロスで暮らしている3人姉妹の次女イヴに扮するのは、『ユー・ガット・メール』のほか『めぐり逢えたら』『恋人たちの予感』(ノーラ・エフロン脚本)に出演しているエフロン組の常連メグ・ライアン。忙しい姉妹からパパの世話を押しつけられキレる寸前でがんばっているイヴを、いつもながらの可愛らしい存在感でしなやかに体現している。
父親が”将軍”タイプと評するバリバリのキャリア・ウーマン、雑誌の編集長をしている長女ジョージアには、オスカーに輝いた『アニー・ホール』の後もウディ・アレンとのコラボレーションで知られ、最近では『カーラの結婚宣言』などに出演しているダイアン・キートン。彼女はノーラ・エフロンの指名で監督も務め、姉妹のパーソナルな雰囲気にポピュラリティを加味して、映画により普遍的な情感とリアリティを与えている。
父親が”入隊もできん”と評する奔放でいいかげんな性格、オンチなのに歌手を目指した末、昼メロの女優になった三女マディには、『ロミーとミシェルの場合』『アナライズ・ミー』のリサ・クードロー。そして、辛らつでそのくせ寂しがり屋の元映画脚本家の父親。今はボケて病院暮らしの身なのに、相変わらず娘たちを振り回してばかりいるルウ・モゼルには、『おかしな二人』『フロント・ページ』『カリフォルニア・スウィート』など都会派コメディをやらせたら右に出る者のないウォルター・マッソーが扮し、得も言われぬおかしみを生み出している。

■一流スタッフが細部にわたるまで、家族の心風景を表現
柔らかな明るいトーンの撮影は、『ロリータ』『危険な情事』のハワード・アサートン。イヴのものの見方を視覚的に表現するセットを作り上げたプロダクション・デザイナーはウォルドマー・カリノウスキ。『リービング・ラスベガス』『ワン・ナイト・スタンド』などを手がけたベテランである。三者三様、姉妹の性格を反映させた衣裳をデザインしたボビー・リードはロンドン出身で、『トップガン』『ザ・ロック』などで知られる人。『ザ・エージェント』『恋愛小説家』のローレンス・マークとノーラ・エフロンが製作、ダイアン・キートンの監督作『思い出の微笑』を手がけているビル・ロビンソンとデリア・エフロンが製作総指揮に当たった。

ストーリー

イヴ(メグ・ライアン)は3人姉妹の次女。テレビ・プロデューサーの夫ジョーと一人息子ジェシーに恵まれ、家事の傍らイベントやパーティの企画をしながらロスで暮らしている。姉のジョージア(ダイアン・キートン)は女性誌の編集長を務めるバリバリの仕事人間。妹のマディ(リサ・クードロー)は昼メロの女優。遠く離れて住む3人を結びつけているのは電話でのおしゃべりだ。この”電話中毒”ともいえる習慣を植えつけたのは、映画の脚本家としてならしたパパ、ルウ(ウォルター・マッソー)。彼は妻と離婚して以来アルコールに溺れ、以前にも増して辛らつなお騒がせ男になった。イヴはパパを誰よりも愛しているが、これまで彼が起こした数々の”事件”に振り回されてきた。そんなパパが老人性のボケのせいで入院することになった。

いつものように電話で姉妹に連絡するイヴ。けれどジョージアは雑誌の5周年記念号で大忙しだし、マディは恋人と休暇旅行中で見舞いにさえ来ない。イヴだってニクソン記念館で行うロス婦人交流会のイベントでてんやわんやなのに、誰もがこれまで同様、彼女の寛大さに頼りきっているのだ。

パパは自分のパンツも間違えるほどなのにイヴの電話番号だけは忘れない。病室ではボケかジョークか判然としない昔話をまくしたてては皆を煙に巻いている。ショックとイライラで病室を出たイヴは、駐車場でイラン人の医師オマーのベンツに車をぶつけてしまう。

イヴはマディから犬の世話まで押しつけられてパンク寸前。仕事もトラブル続きだし、オマーの車の修理代だってバカにならない。パパは病院を抜け出したあげく脳卒中を起こして倒れ、ボケがいっそう進んでいる。小切手帳へのサインを拒否するパパに、思わず「死にかけてるのに相変わらず非常識」と泣き出すイヴ。ちょうど修理代の件で病院にきていたオマーの母親は、「あなたは温かい人よ」とイヴを慰め、息子に電話して修理代を免除するように言う。

へとへとになって家に戻ってきたイヴ。ところが、マディから預かった犬は受話器をかじっているし、かかってきた電話はまたもやイベント関連のトラブルだ。電話なんてまるで拷問の道具! とうとうキレてしまったイヴは、家中の電話線を抜いて回るのだが・・・・・。

スタッフ

監督:ダイアン・キートン
製作:ローレンス・マーク、ノーラ・エフロン
脚色:デリア・エフロン、ノーラ・エフロン
原作:デリア・エフロン「電話を切ったら・・・」飛鳥新社刊

キャスト

メグ・ライアン
ダイアン・キートン
リサ・クードロー
ウォルター・マッソー

LINK

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