原題:Dishonored

ディートリッヒ+スタンバーグ 1930年代最高のカップルが創り上げた奇跡のエレガンス

1931年/アメリカ映画/配給:オンリーハーツ/日本語版字幕:小飯塚真知子

2000年3月4日よりユーロスペースにてモーニング&レイトロードショー公開

公開初日 2000/03/04

配給会社名 0016

解説

 ベルリン生まれのハリウッド女優、マレーネ・ディートリッヒ。激動の20世紀そのものを生き抜いた彼女は、女優として、妻として、女として、母として、なによりも一個の人間として、完壁なまでの姿を我々に見せてくれた。世紀末を迎えた今、女性史、ファッション史だけにとどまらず、歴史的な背景から見ても20世紀を語るうえで、ディートリッヒは外すことの出来ない人物の一人だろう。ひとつには、彼女が男装や、煙草などそれまでの女性のイメージを一新するスタイルで、大戦後、次々とコルセットを脱ぎ捨て社会に出ていった女性達の象徴となったこと。そして、もうひとつには、典型的なベルリンっ子として生まれた彼女が、ハリウッドに渡り、アメリカに帰化、大戦中にはナチと戦う連合軍将兵のための慰問に身を挺した人だということである。これほどのスケール感を持った女性は他には見当たらない。そんなディートツリヒの魅力を新たな面から見直そうというこの特集上映。ディートリッヒを見出し、ハリウッドに連れていき、彼女を一番美しくフィルムに収めたジョセフ・フォン・スタンバーク監督との一連の作品の中から、あえて、『間諜X27』、『ブロンド・ヴィナス』、『西班牙狂想曲』の3本を選んだ。スタンバークとのコンビでは『嘆きの天使』、『モロッコ』などが有名だが、これらの作品は日本でも観られる機会が多いので、まだ世間ではあまり知られていない作品を鑑賞し、彼女の秘密に迫ってみたいと思う。例えば、『西班牙狂想曲』は、スタンバークとのコンビがうまく行かなくなってきた時期に、とうとうスタンバーク自身カメラまで担当し、挙げ句、興行的には失敗。スペイン政府からはその内容ゆえ、上映禁止令まで出た作品だが、ディートリッピは生涯で一番好きな作品だと語っている。そんなところに、華やかな銀幕の裏にある、彼女のドラマが見えてくるのではないだろうか。

ストーリー

−−−第一次世界大戦中のウィーン。一人の美しい娼婦(M・ティードリッヒ)が雨の中、うらびれたアパートの前に立っていた。偶然、通りかかったオーストリアの秘密諜報局長(G・F・セイフェルティッツ)は、「生きるのも死ぬのも恐くない」とつぶやくその娼婦に興味を引かれ、彼女の部屋を訪ねる。反オーストリアのスパイだと嘘をつき、仲間にならないかと誘う局長。彼女は、ワインを買ってくると偽り、警官を呼びに行く。その度胸と愛国心を買った局長は、彼女に本当の身分を明かし、女スパイX27号として働くよう強要した。
 最初の任務は反逆者の疑いのあるヒンダウ大佐のしっぽをつかむこと。彼女はパーティに潜入し、まんまとヒンダウ大佐に近づいて証拠をつかむ。
 今まで誰も成功しなかった任務を見事成し遂げた彼女に次なる任務が待っていた。オーストリア軍を脅かしているロシア軍内部に潜入すること。まずは、オーストリア将校になりすましているロシアのスパイH14号(V・マクラグラン)に近づこうとするX27号だが、失敗。H14号に彼女がスパイであることを知られてしまう。自分が疑われていることを知り、ロシア軍に戻っていく彼の大胆不敵な男らしさに惹かれるX27。そして、H14も彼女のミステリアスな魅力に惹かれていた。
 X27は任務遂行のため、掃除婦になりすまし、ロシア軍本部に潜入した。うまく、士官の一人に接近し、情報を聞き出した彼女だったが、H14に見つかってしまう。「最後の数時間を愛するあなたと一緒に過ごしたい」というX27の言葉を信じたH14は、彼女と一夜を過ごす。夜明け前、睡眠薬入りの酒を差し出すX27。作戦は成功し、彼女はまんまと抜け出し、オーストリアヘと戻った。
 X27のもたらした情報により、優勢になるオーストリア軍。捕らえたロシア軍兵士の中に、H14が混ざっていた。スパイとして銃殺されることが決まったH14。X27は、彼の持つ情報を聞き出すからと二人きりになるチャンスを得て、彼を脱獄させる。
 反逆罪として軍法会議にかけられたX27は、言い訳もせず、脱獄の手引きを認めたため、銃殺を言い渡される。処刑の前、娼婦の時の服と、ピアノを注文したX27は、処刑の間際まで娼婦の装いでピアノを弾き続けた。
 死刑執行の直前、一人の士官が目隠しを渡そうとするも、突き返すX27。士官は「こんなの国のためでもなんでもない、ただの殺人だ!」と叫ぶが、銃殺隊は、いっせいに発砲したのだった。(日本公開1931年)

スタッフ

原案・監督:ジョセフ・フォン・スタンバーク
脚本:ダニエル・H・ノレービン
撮影:リー・ガームス
音楽:カール・ハヨシュ
衣装:トラヴィス・バンドン
美術:ハンス・ドレイヤー

キャスト

マレーネ・ディートリッヒ
ヴィクター・マクラグレン
リュー・コティ
グスタフ・F・セイフェルティッツ

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