原題:colorful

この世がとってもカラフルすぎて、ぼくらはいつも迷っている。 どれがほんとうの色かわからなくて どれが自分の色だかわからなくて

2000年/日本映画/35mm/上映時間110分/ドルビーSR/配給:ムービーテレビジョン

2000年10月7日よりシネ・リーブル池袋にてロードショー公開 2000年11月3日よりヴァージンシネマズ トリアス久山ほか、全国のヴァージンシネマズにてロードショー公開

公開初日 2000/11/03

配給会社名 0102

解説

人間もこの世の中も決して一色ではない。明るい色暗い色、きれいな色きたない色、様々あってとてもカラフルだ。ただ、カラフルすぎて時々迷ったり悩んだりしてしまう。どれが自分の色か判らず、相手の本当の色が見えなくて……。
児童文学作家としてたくさんのファンを持つ森絵都の人気小説「カラフル」を、監督・脚本家として数多くのヒット作を生み出してきた森田芳光・脚本、若い世代から圧倒的支持を得る中原俊・監督で映画化。数年前の〈酒鬼薔薇聖斗事件〉や最近の〈金属バット殺人事件〉など、過去に例のないくらい急増し深刻な社会問題と化している青少年犯罪の中でもとりわけスポットをあびることの多い“14歳”。だが、ここでは、そうしたティ−ンエイジャ−の自殺やいじめ、援助交際といった現実に触れつつも、表層的には見えにくい少年少女たちの傷つきやすく感受性豊かな心の内を、さほど深刻ぶることなくユ−モアを交えながらすくい取るように描出。加えて、彼らを取り巻く大人たちの人生における辛苦、困惑、焦燥、悲哀などもさりげなく織り込んだ『カラフル』は、世代を越えて多くの観客の共感を喚起するにちがいない、ライトでファンタス テックなハ−トウォ−ミング・スト−リ−である。
生前の悪行がたたって地獄に落ちるところを“抽選”に当たり、本人がそれを望むかどうかはさておき、輪廻のサイクルに復帰すべく、ガイド役の天使から魂のホ−ムステイ先に指定された小林真として生き直すこととなる主人公を演じるのは、今、ポスト“タッキ−”として将来を属望視されているジャニ−ズJr所属の田中聖。また、父親役と兄・満役で滝田栄、景山悠希が親子初共演、母親役でTVリポ−タ−、ニュ−ス・キャスタ−などで知られる阿川佐和子が女優デビュ−をはたすほか、ひろかに扮する注目のニュ−フェイス駒勇明日香や、NHK時代劇ロマン「一絃の琴」にレギュラ−出演中の唱子役の真柄佳奈子など、話題性に富んだキャスティングも、この映画の魅力の一つである。中でも、これが映画初出演にして初主役となる田中聖の、少年のナイ−ヴさとふてぶてしさや居直りを兼ね備えた、あどけなさの残る面持ちとナチュラルな演技は、今後の成長ぶりを大いに期待させることだろう。

ストーリー

「抽選に当たった?」
天使が言うには、生前に相当悪いことをして死んだ僕の魂は、本来なら地獄に落ちるところを、ラッキ−なことに抽選に当たり、再挑戦のチャンスを与えられたらしい。誰かの体にホ−ムステイして、生活しながら自分の悪事を思い出し反省すれば、輪廻のサイクルに戻りメデタシメデタシ。かくして僕は、つい今しがた自殺したばかりの14歳の少年〈小林真〉の体を借りて、この世に帰ってくることとなった。
病院のベッドで目覚めた僕つまり真を見て、奇跡が起こったと泣いて喜ぶ両親と、一人シラケ気味の高3の兄・満。無事退院した真を、食卓一杯にご馳走を並べて迎える彼らは、一見平凡で暖かな幸福家族に思えた。だが、父親に似て長身、成績も良く皮肉家の満は、チビであることに人一倍コンプレックスを抱く真をことあるごとにからかい、その満に、真が密かに通販で買ってベッドの下に隠していたシ−クレットブ−ツを見咎められたのが自殺の数日前。また、仕事がうまくいかない父親は、真の前で弱音を吐いて情けなさを露呈し、習い事好きで飽きっぽい母親は、今通っているフラメンコ教室の先生と浮気中、かどうか、とにかく真は、二人がほろ酔い加減で肩を寄せ合い歩いている姿を目撃していた。その真は、絵を描くのが得意な以外は、勉強もスポ−ツも苦手、内向的で自分の世界に閉じ込もりがちで、ろくに友だちもいない。ナンテ不運なヤツ、と僕は思った。
久しぶりの登校。出席を取る担任教師・沢田に名前を呼ばれ、ハイと明るい声で答えた真に、クラス中が驚きの目を向ける。「真君、何があったの? 前向きでポジティヴで、全然真君らしくないよ」と、妙な言いがかりをつけるクラスメイトのチビ女・唱子。美術室に行くと、唯一真に気軽に声をかけてくれる、真の憧れの少女ひろかがやってくる。真の絵が好きだという彼女は、実はお小遣い欲しさに中年男と援助交際。その現場を見たショックも真の自殺の一因だった。本当に可哀想なヤツ、でも所詮は他人事さ、と真になった僕は強気で、髪型を変え、新しいスニ−カ−を買い、小林君という初めての友人を得て、彼と一緒に公立高校を目指して受験勉強に励むようになる。そうこうするうちに、僕は、真が家族や友人たちを誤解していたこと、また周囲の人々も真を誤解して勝手なイメ−ジを押しつけていたことに気づきはじめる。この体を真に返してあげたいと思う僕。だが、そのためには、僕は自分の犯した罪を思い出さなければならない。いったい僕は、何をしでかしたんだ? やがて、夕立の放課後。僕、いや真は全てを思い出した……。

スタッフ

監督:中原  俊
原作:森  絵都(理論社刊)
脚本:森田 芳光
音楽:池辺晋一郎
製作:酒井 治盛
エグゼクティブプロデューサー:齊藤  曉
プロデューサー:高橋 康夫、萩原 貫司
アソシエイトプロデューサー:倉田 喜久雄、伊藤 浩之、吉岡 和彦
ラインプロデ゛ューサー:貝原 正行
撮影:藤澤 順一(J.S.C.)
美術:稲垣 尚夫
照明:井上 幸男
録音:北村 峰晴
編集:冨田  功
記録:牧野 千恵子
スタイリスト:小野 今朝義
ヘアメイク:横瀬 由美
装飾:相田 敏春
助監督:武  正晴
製作担当:黒田 晃司
プロダクションアカウンタント:大之木靖俊、金野 和夫
企画協力:笠浦 友愛
絵画担当:末永 蒼生
バレーボール指導:丸山  孝
フラメンコ指導:鈴木 敬子
宣伝デザイン:池田 進吾
スチール:出山 泰子
音楽演奏:東京コンサーツ
フラメンコ挿入曲「COLORES DE FERIA」 作曲・演奏 鈴木尚
製作:」株式会社NHKエンタープライズ21、タイトル・プロデュース株式会社
配給:ムービーテレビジョン株式会社

キャスト

小林 真:田中 聖
母:阿川佐和子
唱子:真柄佳奈子
ひろか:駒勇明日香
兄:景山悠希
進:斉藤新之介
医者:江藤 潤
後藤:鈴木砂羽
天使:曽我 家文童
進の父:深水三章
援助交際の男:林家こぶ平
看護婦A:梶原阿貴
看護婦B:春木みさよ
美容師:YOROZU
屋台の客:新井 誠
フラメンコの先生:筧 利夫
真の先生:柳葉敏郎
父:滝田 栄

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