原題:chaos

私を誘拐してください。

1999年/ビスタサイズ/カラー/35mm/104分/日本映画 製作:タキコーポレーション 配給:タキコーポレーション、サンセントシネマワークス

2001年3月23日DVD発売/2001年3月23日ビデオ発売 2000年10月21日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー公開

公開初日 2000/10/21

配給会社名 0101

解説

『リング』『リング2』で日本映画界に一大ホラーブームを巻き起こした中田秀夫監督+中谷美紀。この最強コンビに、『CURE』の萩原聖人を迎えて作り上げた話題の新作『カオス』。本作で新境地を拓く“デッドエンド・サイコ・サスペンス”の誕生である。

「私を誘拐してください」……。
 謎めいた美貌の人妻が、冴えない便利屋に奇妙な依頼を持ち込んだ。それは夫の愛を確かめる単純な狂言誘拐。しかし、便利屋と人妻の間に生まれた“誘拐劇のリアリティ”が、二人の関係を妖しくねじれさせていく。
 運命に導かれるように出会ってしまった男と女。行き止まりの愛憎の裏には、秘められた想いが隠されていた。はたして騙されているのは誰?
 現実と回想の時空が交錯し、幾重にも仕掛けられた叙述の罠が、観る者を迷宮へと誘い込む……。

 日本国内にとどまらず、アジアを中心に世界規模で影響を与え続ける中田ホラー。『女優霊』、『リング』シリーズなどで目に見えぬ心霊的な恐怖を描いてきた中田秀夫が、今回は日常の中で人間心理の深淵を刷りだした。「原作小説はハードボイルド的作品だが、映画では男女の愛憎のもつれ合いをしっかりと描きたい。そう考えた時、浮かんだイメージはヒッチコックの『めまい』でした」と語る監督は、犯罪映画の形を借りながら、いつしか混沌とした日常での行き場のない不安に観客を陥れていく。
 主人公の便利屋を演じるのは『CURE』で戦慄のサイコキラーを演じた萩原聖人。2年ぶりの主演作品となる本作では、自分を陥れた女を愛してしまう複雑な役どころを微妙なタッチで演じ、抜群の演技力を遺憾なく発揮している。
 男を罠に陥れる人妻を不思議な存在感で演じるのが中谷美紀。
『リング』ブームも覚めやらぬまま、テレビと映画を巻き込んだ『ケイゾク』、さらには99年度ベストセラー・ミステリーのドラマ化「永遠の仔」と主演をつとめている。映画とテレビの枠を超えてつねに話題を独占している彼女。そのミステリアスな魅力は本作でさらに深く、美しい危険な香りに満ちている。
 脇を固めるのは『Help1ess』の光石研、『萌の朱雀』の國村隼など日本映画界を支える実力派俳優ばかり。音楽は『攻殼機動隊』『リング』の川井憲次が担当し、さらなるサスペンス性を盛り上げている。

ストーリー

 幻のような午後。とある高級レストラン。実業家の小宮山とその妻・佐織理が二人で食事をしていた。平和で優雅な夫婦の時間に見えたが、小宮山がほんの少し目を離した隙に、佐織理は夫に何も告げぬまま姿を消した。 不審に思いながらも仕事に戻った小宮山の元に、一本の電話がかかってくる。 「あんたの女房を預かっている。」 誘拐犯からの脅迫電話だった。受話器の向こうで恐怖に震える佐織理の声。犯人は3千万円の身代金を要求する。小宮山は妻の身を案じつつ、警察の指示を仰ぐことにした……。 しかし、実はこの誘拐は狂言だった。すべては佐織理が、便利屋の黒田を使って仕組んだ芝居なのである。 「私を誘拐してください」……。 最初に佐織理からそう言われた時、黒田は何かの冗談だろうと思ったが、彼女は真剣だった。夫の自分への愛情を、狂言誘拐を仕掛けることで確かめたいのだと佐織理は懇願する。そして今日、彼女は夫の前から姿を消して黒田のところへやってきたのだ。思いつめた彼女の強引な依頼を、多額の報酬と引き替えに黒田は引き受けたのだった。  誘拐を装う間、佐織理は留守中の友人のマンションに身を隠すことにした。初めは気の弱そうな男に見えた黒田だが、犯罪のリスクを背負うことになると、その態度は豹変した。「奥さん、もう金持ちの遊びじゃないんだよ。」 相手を騙すにはリアリティが必要だと主張する黒田は、佐織理の手足をロープできつく縛った。身動きのとれない佐織理を押し倒し、彼女の唇を無理やり奪う黒田。涙を流し、喘ぎながら恐怖とも歓喜ともつかぬ表情を浮かべる佐織理。その声を黒田は小宮山への脅迫電話に聞かせたのだった。  小宮山は黒田に要求されたとおりに3千万円の身代金を用意し、受け渡し場所へ向かった。狂言誘拐の筋書きはここまでだ。小宮山の態度を確かめるのが目的だから、身代金を受け取る必要はない。ところが黒田は、小宮山と警察の裏をかき、小宮山の姉、冴子を同時に脅していた。これは佐織理も気づかなかった、黒田だけの企みである。冴子から500万円の現金をまんまと奪い取った後、黒田は佐織理が潜んでいるマンションヘと向かった。 あとは、佐織理が犯人から解放されたことにして、夫の元へ戻ればすべては終わる。 しかし、そこで黒田が目にしたのは……。 これは単なる狂言誘拐ではなかったのか? いったい、本当に起こった事件とは何だったのか? そもそも事件はいつ、どこから始まっていたのか?  もつれた事件の真相を黒田が解き明かしていく時、隠された佐織理の素顔が明らかになっていく……。

スタッフ

エクゼクティプ・プロデューサー:甲斐真樹
協力プロデューサー:小寺剛雄
プロデューサー:神野智、原公男
監督:中田秀夫
原作:歌野晶午『さらわれたい女』講談社刊
脚本:斎藤久志
音楽:川井憲次
撮影:喜久村徳章
照明:豊見山明長
録音:郡弘道
美術:丸尾知行
編集:菊池純一
スクリプター:川野恵美
助監督:李相国
製作担当:山下秀治
メイク:宮内三千代
スタイリスト:堀越絹衣(中谷美紀)、宮本まさ江(萩原聖人)
衣裳:杉山敦子
スチール:渡辺俊夫
宣伝美術:大寿美トモエ
制作:ツインズイジャパン
製作協力:ギャガ・コミュニケーションズ
製作:タキコーポレーション
配給:タキコーポレーション、サンセントシネマワークス
宣伝:ミラクルヴォイス

キャスト

便利屋・黒田五郎:萩原聖人
津島さと美:中谷美紀
小宮山隆幸:光石研
浜口刑部:國村隼
黒田美佐子:菜木のり子
相馬るみ:夏生ゆうな
栗原冴子:山村美智子
小宮山佐織理:新恵みどり
有村真樹:MIKI
三浦刑事:田中哲司
殴る男:浜田学
不動産屋:諏訪太郎

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