原題:American History X

映画界の枠を超えた、熱い注目と絶賛!

エドワード・ノートン アカデミー賞最優秀主演男優賞ノミネート シカゴ批評家協会賞最優秀主演男優賞ノミネート ゴールデン・サテライト賞 ドラマ部門最優秀主演男優賞受賞 オンライン映画批評家協会賞最優秀主演男優賞ノミネート サウスイースタン映画批評家協会賞主演男優賞受賞 ビバリー・ダンジェロ ゴールデン・サテライト賞 ドラマ部門最優秀助演女優賞ノミネート デビッド・マッケンナ ゴールデン・サテライト賞 最優秀オリジナル脚本賞ノミネート ゴールデン・リール賞最優秀音楽編集賞ノミネート ポリティカル映画協会賞平和賞ノミネート エドワード・ファーロング ヤング・アーティスト賞/最も期待される俳優賞ノミネート

1998年/アメリカ映画/ニュー・ライン・シネマ提供/ターマンーモリッシー・カンパニー製作/ 原題"AMERICAN HlST0RY X"/ビスタサイズ/ドルビーSRD,SDDS カラー作品/上映時間120分/6巻/3263m/提供:TBS、日本ヘラルド映画/ 配給:日本ヘラルド映画

2011年09月07日よりDVDリリース 2000年9月22日よりDVD発売 2000年9月22日よりビデオレンタル開始 2000年2月19日より恵比寿ガーデンシネマにて都内独占ロードショー公開

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公開初日 2000/02/19

配給会社名 0058

解説

アメリカの良心が泣いた!
憎しみと暴力の歴史の中、人間として目覚めていく兄と弟。
その魂の軌跡を鋭く描き出し、祈りをこめて全世界に間う衝撃の問題作!

 1998年10月30日、1本の映画が全米にセンセーションを巻き起こした。タイトルは、『アメリカン・ヒストリーX』。父親が黒人に殺されたことをきっかけに白人至上主義のグループに加わった兄と、その兄をヒーローとして崇めるティーンエイジャーの弟。ふたりの兄弟がたどる心の軌跡の物語を、繊細にしてパワフルなタッチで綴ったこの作品は、アメリカの病巣と、それに侵された若者たちの痛みをえぐりだした視点の鋭さゆえに、映画という枠を飛び超えた一種の事件として、社会に議論を呼んだ衝撃の問題作である。
 人は、なぜ憎みあうのか?その敵意はどこから生まれるのか?
 人種偏見を切り口に、純粋で傷つきやすい心が偏狭なイデオロギーに侵されていく過程を真撃なまなざしでみつめたドラマは、ひとつの悲劇が次の悲劇を生む連鎖の構造をスリリングに暴き出していく。
 主人公のテレク・ビンヤードは、かつてハイスクールの優等生だった青年。しかし、マイノリティの優遇政策に反感を抱く父親の感化を受けた彼は、その父が黒人に殺されたことをきっかけに、白人至上主義の活動にのめりこんでいく。ナチス崇拝を象徴する刺青を全身に刻み込み、マイノリティを攻撃することに怒りのはけ口を見出すデレク。そんな彼に強烈な憧れを抱き、同じ道を突き進もうとする弟ダニー。父親の撒いた憎しみの種が、家庭という土壌で培養されていく事実が、ここでは生々しい現実感を伴って描かれ、見る者の胸を直撃する。
 ここに描かれるのは、社会の抑圧や歪みが、家族の絆を媒介にして、未来を担う子供たちの心に暗闇を築く恐ろしさだ。と同時に、その暗闇に差し込む救いの光は、同じ家族の絆によってもたらされることも語られていく。3年の刑務所暮らしのなかで体験した失望と恐怖を通じ、自らの愚かさに気づいたデレクは、「憎しみからは何も生まれない」という新たな価値観を手に、家族の元に戻って来る。過去を恥じる兄の変貌ぶりに驚くダニー。しかし、兄の声を受け入れる素直さを失っていなかった彼は、刑務所での苛酷な体験を告白する兄の言葉から、悲劇の連鎖を断ちきる勇気を学ぶ。
「憎しみとは耐えがたいほど重い荷物。怒りにまかせるには人生は短すぎる」
 兄と目分の「ヒストリー」をこう結論づけるダニーが、新しい1日の始まりに浮かべる晴れ晴れとした表情。だが映画はここで終わらない。苛酷なほどの衝撃を伴ったラストシーンは、シビアな現実が人間の意志を超えて存在することをまさまざと見せ付ける。「この世の箍がはずれた」というハムレットの慟哭が聞こえてきそうな劇的な幕切れ。そこにほとばしる鮮烈な悲しみに、心揺さぶられない人はいないだろう。
 主人公のデレクを演じるのは、若手演技派No.1と評されるエドワード・ノートン。脚本の力強さに打たれ、自らデレク役を志願した彼は、3ヵ月のトレーニングで肉体をマッチョに改造。「観客の共感を呼ぶ悪魔的な人物」という難役を見事に演じきり、本作で二度目の才スカー候補にあがった。その弟ダニーに扮するのは、『夕一ミネーター2』以来売れっ子街道を歩むエドワード・ファーロング。ガラス細工のように繊細な個性を、ダニーの無垢な魂に投影させた演技は、「ノートンをしのぐ名演」と、批評家から絶賛を浴びている。
 脇役にも魅力的な顔ぶれが揃った。息子がどんな人間になろうとも変わらぬ愛情を注ぐ母ドリスを演じるのは、『歌え、ロレッタ!愛のために』のビバリー・ダンジェロ。ネオ・ナチ集団のカリスマ的な黒幕キャメロンには、『ロング・ライダース』のステイシー・キーチ。デレクと同じ白人至上主義を信奉する恋人のステイシーには、『ザ・クラフト』『恋の捉』のフェルザ・バルク。デレクと対立するユダヤ人の国語教師マーレーには、『ロング・グッドバイ』のエリオット・グールド。また、デレクとダニーの双方に覚醒のきっかけをもたらす校長スウィー二ーを、『ビッグ・ヒット』のエイプリー・ブルックスが好演するほか、デレクの心を開かせる黒人受刑者ラモントにスタンダップ・コメディアンのガイ・トリーが扮し、忘れられない印象を残す。
 カラーで描かれる2日間の現実のドラマの狭間に、過去のエピソードをモノクロで埋め込む手法を使い、ドラマをハイテンションに保つ演出に冴えを見せるのは、これが初監督作となるトニー・ケイ。本国イギリスのみならず、世界で最もホットなCMアーティストとして活躍する彼は、今回撮影監督も兼ね、大胆でエッジのきいた映像を作り上げている。主演のエドワード・ノートンやエドワード・ファーロングを筆頭に、読む者すべてを虜にした脚本を執筆したのは、28歳のデビッド・マッケンナ。シルベスター・スタローン主演で映画化される次回作『Get Certer』でも注目を集めるハリウッド期待の新星だ。
 音楽は、『フル・モンティ』でオスカーを受賞したアン・ダドリー。衣裳デザインは、『スリング・プレイド』のダグラス・ホール。編集には、『オール・ザット・ジャズ』のアラン・ハイムと『フレンチ・コネクション』のジェリー・グリーンバーグの両ベテランが、共同で当たっている。

ストーリー

兄は、刑務所で別人に生まれ変わっていた。
白人至上主義グループのカリスマ的存在だった彼に、何が起こったのか?
彼を崇拝する弟は、戸惑いながらも自分たちの軌跡を新たな心で見つめていく。

 僕の名は、ダニー・ビンヤード(エドワード・ファーロング)。カリフォルニアのべニス・ビーチ高校に通っている。尊敬する人物は、兄のデレク(エドワード・ノートン)。そのデレクが3年ぶりに刑務所から出所する日、僕はスウィー二ー校長(エイブリー・ブルックス)の呼び出しをくらった。国語のレポートの題材に、ヒトラーの「わが闘争」を選んだからだ。校長はこう言った。
「兄弟をテーマに作文を書け。タイトルは『アメリカン・ヒストリーX』。デレクが投獄された経過を分析してみろ。それが現代のアメリカにおける君の生き方を、どう変えたか」
 だからいま、僕はこうしてコンピュータの前にすわり、過去の記憶をたどっている。
 地元のスキンヘッドのリーダーとして、カリスマ的な存在だったデレク。彼がその道に足を踏み入れたのは、消防士をしていた父(ウィリアム・ラス)が、勤務中、黒人のドラッグ・ディーラーに殺されたことがきっかけだった。デレクの心にふくれあがる憎悪の感情。それに目をつけたのが白人至上主義グループの黒幕キャメロン(ステイシー・キーチ)で、彼からスキンヘッドのリクルート役に抜擢されたデレクは、組織のなかでめきめき頭角を表していった。限界まで鍛え上げた筋肉、左胸に勲章のように輝く鍵十字の刺青。黒人を相手にしたストリート・バスケで見事なシュートを決め、韓国人経営のスーパー襲撃でも誇らしげに扇動役をつとめたデレクの姿は、弟の僕の目にも完壁なヒーローとして映った。だから僕も彼の後を追い、腕に刺青を入れてキャメロンの組織に加わることにしたのだ。
 が、刑務所から戻って来たデレクは、そんな僕を見て顔を曇らせる。仲間のセス(イーサン・サプリー)の訪問にも、迷惑顔だ。いったいデレクに何が起こったのだろう?

スタッフ

監督、撮影監督:トニー・ケイ
製作:ジョン・モリッシー
脚本、共同製作:デビッド・マッケンナ
製作総指揮:ローレンス・ターマン、スティーブ・ティッシュ、キアリー・ピーク、ビル・カラーロ
編集:アラン・ハイム、ジェリー・グリーンバーグ
プロダクション・デザイン:ジョン・ケイリー・スティール
衣裳デザイン:ダグラス・ホール
音楽:アン・ダドリー

キャスト

テレク・ビンヤード:エドワード・ノートン
ダニー・ビンヤード:エドワード・ファーロング
ドリス・ビンヤード:ビバリー・ダンジェロ
ダヴィーナ・ビンヤード:ジェニファー・リーン
アリー・ビンヤード:タラ・ブランチャード
デニス・ビンヤード:ウィリアム・ラス
セス:イーサン・サブリー
ステイシー:フェルザ・バルク
ボブ・スウィー二一:エイブリー・ブルックス
マーレー:エリオット・グールド
キャメロン:ステイシー・キーチ
ラモント:ガイ・トリー

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