原題:A MIDSUMMER NIGHTS DREAM

恋は人の心をもてあそぶ

☆ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm

1999年アメリカ映画/121分/カラー/ドルビーSR,SRD/字幕:松浦美奈/ 配給:20世紀フォックス(ジャパン)

2007年12月21日よりDVDリリース 2003年11月21日よりDVD発売開始 2000年4月1日よりスバル座ほか東宝洋画系にて公開

©1999 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 1998/08/10

配給会社名 0582

解説

時代が移り変わっても、シェイクスピアは芝居の原点。世界中、いつもどこかでシェイクスピアが演じられ、その台詞やシチュエーションは人々の日常会語の中にも入り込み、ウィットの必須アイテムにまでなっている。『ロミオとジュリエット』とシェイクスピア本人の恋を重ねて書かれたオリジナル脚本による『恋におちたシェイクスピア』がオスカーに輝いたのも記憶に新しい。先ごろは、蜷川幸雄と本場イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの夢の顔合わせで真田広之も出演した『リア王』が話題を呼んだところ。シェイクスピアは永遠のストーリー・テラーにして最高の人気者なのだ。そこで登場するのが、ダイナミックで魅惑的にお色直ししたこの最新版『真夏の夜の夢』である。
 シェイクスピアの戯曲の中でも最も親しまれ、何度となく演じられてきたロマンティック・コメディの傑作『真夏の夜の夢』。今回は19世紀初めのイタリア、トスカーナ地方に舞台を設定し、マイケル・ホフマン監督がオール・スター・キャストで臨んでいる。
 すべては愛し合うカップル、ハーミアとライサンダーが、駆け落ちして森に入り込んだところから始まった。ディミトリアスは婚約者ハーミアを探しに出かけ、そのすぐ後をディミトリアスにぞっこんのハーミアの友人ヘレナが追いかける。その様子をのぞき見た妖精の王オペロンは、ヘレナの恋を成就させるべくイタズラ好ぎの妖精パックに愛の媚薬をふりかけるよう指示するが、パックが相手を間違えたために恋人たちの関係は大混乱。更には、オペロンと女王タイタニアの恋のいさかいに素人劇団の役者ボトムまでが巻き込まれ、森の中は不思議な愛の空間に生まれ変わる。
 恋人たちを迷わせる秘密の目薬、妖精たちの恋の鞘当て、間違いから生まれた本当のロマンス…。イタズラなスピリットが愛の世界をひっかきまわし、華麗な夢を作り上げ、マジカルでファンタスティックな物語を展開させる。
 シェイクスピアのロマンティックで愉快な戯曲に輝くような生命を吹き込んだのは、素晴らしい俳優たち。妖精の女王タイタニアには『アンカーウーマン』『素晴らしき日』のミシェル・ファイファー。美しいタイタニアが魔法の薬のせいで一目惚れしてしまう大根役者ボトムには、『アイス・ストーム』『イン&アウト』のケビン・クライン。そのほか、嫉妬深い妖精の王オペロンに『ベスト・フレンズ・ウェディング』『英国万歳!』のルパート・エベレット、イタズラ好きなパックに『シェフとギャルソン、リストランデの夜』『普通じゃない』のスタンリー・トゥッチ、シーシアス公爵に『L.A.コンフィデンシャル』のデビッド・ストラサーン、公爵の花嫁ヒポリタに『プレイプハート』のソフィー・マルソー、情熱的なヘレナにテレビ・シリーズ『アリー・マイ・ラフ』でタイトル・ロールを演じて人気のキャリスタ・フロックハート、ヘレナに追いかけられるティミトリアスに『ベルベット・ゴールドマイン』のクリスチャン・ぺ一ルと、まさに夢のようなキャスティングが実現した。
 監督のマイケル・ホフマンは『素踊らしき日』でファイファーと、『ソープディッシュ』でクラインと組んでいる実力派。時代を超えたこの愛の物語を、19世紀のトスカーナというユニークな場所で展開させる。そして、緑したたる段々の丘が広がるこのチャーミングな舞台に、自転車という当時の発明品を持ち込むことで、更にユーモラスな味わいを深めている。
 北イタリアの太陽の輝きをみごとにスクリーンに写し出した撮影監督は、『グリフダース/詐欺師たち』『ハイロー・カントリー』のオリパー・ステップルトン。ホフマンとは『恋の闇 愛の光』『素晴らしき日』などに続き4度目のコンビとなる。ローマのチネチッタ・スタジオにファンタスティックな妖精の森を作り出したプロダクション・デザイナーは『ハワーズ・エンド』(92)でアカデミー美術賞を受賞したルチアーナ・アリジ。衣装デサイナーは『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』でオスカーを手にしているガプリエラ・ベスクッチ。妖精の世界に住む不思議な生き物たちの、気まぐれで、美しく、時に恐ろしいメーキャップは『バットマン』『フランケンシュタイン』のポール・エンゲレンの手になる。また音楽は、サイモン・ボスウェルのスコアに加え、メンデルスゾーン、プッチーニ、ベルディらの名曲を自在に盛り込んで、登場人物のロマンティックな思いを情感たっぷりに表現している。

ストーリー

19世紀初頭。トスカーナ地方にある広大なルネッサンス風邸宅の前の広場では、シーシアス公爵(デビッド・ストラザーン)とヒポリタ(ソフィー・マルソー)の結婚式の準備が行われていた。そんな忙しい最中に、公爵は気むずかしい老人イジアス(バーナード・ヒル)の訴えを聞かされる。イジアスは娘ハーミア(アンナ・フレイル)をディミトリアス(クリスチャン・べ一ル)に嫁がせる約束をしていたが、ライサンダー(トミニク・ウェスト)と恋に落ちたハーミアは彼と結婚したがっていたのだ。
 当時、結婚は愛ではなく親の決めるもの。公爵から父親に従うように言われたハーミアは、ライサンダーと駆け落ちすることを決心する。それを聞いたハーミアの親友ヘレナ(キャリスタ・フロックハート)は、ディミトリアスを愛するがゆえにこの秘密を彼に話してしまう。その夜、恋人たちは森に逃げ、ディミトリスは二人の後を追って森へと自転車を走らせる。
 その頃、大根役者中の大根役者ポトム(ケビン・クライン)をスターと仰ぐアマチュアの悲劇役者の一段がリハーサルの場所を求めて同じ森へと向かっていた。村に住む彼ら6人は公爵の結婚式で行われる演劇コクールで『最も悲しいコメディ:ピラマスとシスビーの残酷な死』を演じて報償金をもらう算段だった。
 恋人たちも役者たちもどんどん森の奥へと進み、妖精たちの秘密のすみかの近くまでやって来た。森の洞窟では妖精たちが宴の真っ最中。妖精の王オペロン(ルパート・エベレット)と女王タイタニア(ミシェル・ファイファー)は、インドから連れてきた少年を巡っていつもの喧嘩を繰り返している。
 オベロンはとんがり耳のイタズラ妖精パック(スタンリー・トゥッチ)を側に呼ぶと、魔法の赤い花をとってくるように命じる。花の汁をタイタニアの目に垂らし、彼女が幻影を見ている間に少年をわがものにしようとの計画だった。しかし、そこへちょうど現れたのがディミトリアスとヘレナ。「あなたの犬にして」とすがる可哀相なヘレナと「見るだけでむかつく」とすげないディミトリアスを見たオベロンは、やがて赤い花を持って戻って来たパックに、ディミトリアスが寝入ったら彼の目に花の汁を垂らすように言う。この魔法の薬のせいで、彼は目覚めて初めて見るヘレナに恋をするはずだった。
 しかし、村の若者を捜して歩き回っていたパックの前こ現れたのは、ハーミアとライサンダー。二人が疲れて横になったと見るや、パックはライサンダーをディミトリアスと間違えて彼の目に媚薬を垂らす。そこにやって来たのがディミトリアスとヘレナ。ヘレナが抱きついた途端目覚めたライサンダーは、彼女の顔を見て恋の虜になってしまう。
 一方、オベロンもこの薬を寝ているタイタニアの目に垂らしていた。彼女が目覚めた時初めて見た顔は、パックのイタズラでロバの顔に変身したボトム。ボトムは何が何だかわからぬまま、美しいタイタニアに魅せられて”美女と野獣”的なカップルが誕生する。
 

スタッフ

監督:マイケル・ホフマン
脚本:マイケル・ホフマン
原作:ウィリアム・シェイクスピア
製作:レスリー・アーダング、マイケル・ホフマン
製作総指揮:アーノン・ミルチャン
共同製作:アン・ウィンゲイト
アソシエイト・プロテューサー:ナイジェル・ゴールドサック
撮影:オリバー・ステップルトン
プロダクション・デザイナー:ルチアーナ・アリジ
編集:ガース・クレヴェン
衣装デザイナー:カプリエラ・ペスクッチ
音楽:サイモン・ボスウェル
キャスティング:ローラ・ケネディ
音楽スーパーバイザー:ロビン・アーダング

キャスト

ニック・ボトム:ゲピン・クライン
タイタニア:ミシェル・ファイファー
オベロン:ルパート・エペレット
パック:スタンリー・トゥッチ
ヘレナ:キャリスタ・フロックハート
ハーミア:アンナ・フレイル
ディミトリアス:クリスチャン・べ一ル
ライサンダー:ドミニク・ウェスト
シーシアス:デビッド・ストラザーン
ヒポリタ:ソフィー・マルソー
ピーター・クインス:ロジャー・リース
トム・スナウト:ビル・アーウィン
フランシス・フルート:サム・ロックウェル
イジアス:バーナード・ヒル
フィロストレート:ジョン・セッションズ

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