原題:Knockin'on Heaven's Door

天国では皆が話す。海のこと。夕陽のこと。 あのバカでかい火の玉を眺めているだけで素晴らしい。海と解け合うんだ。 ろうそくの光のように一つだけ残る。心の中に…

1997年ドイツ映画/90分/カラー/スコープサイズ/日本語字幕:寺尾次郎 提供:ツイン、K2エンタテインメント、フジクリエイティブコーポレーション 配給:K2エンタテインメント/後援:ドイツ連邦共和国大使館

2000年3月25日よりDVD発売 1999年10月23日より新宿武蔵野館シネマ・カリテにてロードショー!

公開初日 1999/10/23

配給会社名 0070

解説

『バンディッツ』(97)、『悦楽晩餐会』(97)、『ラン・ローラ・ラン』(98)、『カスケーダー』(98)など近年日本での公開が相次ぐドイツ、ポスト・ニュー・ジャーマン・シネマ。その中で1997年に公開されるや本国ドイツで350万人を動員した大ヒットムービー、『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は、その年のドイツ映画総動員数第1位、外国映画を含めた年間BOX 0FFICにおいてもハリウッド大作に続き第4位を獲得しました。
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は誰もが楽しめる一級のエンタテインメント作品としてドイツの若者から圧倒的支持を受け、これまで<芸術>として語られてきたドイツ映画のイメージを破り<娯楽>としてのドイツ映画パワーを見せつけた作品です。本作でドイツ映画世界に彗星のごとく現れた新人監督トーマス・ヤーンは、キレのいい派手なアクションと斬新なユーモア間隔、観客のココロををギュッと掴むサウンドで“ドイツのタランティーノ”と弥され、ドイツ映画界の話題を独占しました。
「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ」死期の迫ったふたりの重病患者、マーチンとルディ。ひょんなことから病院で同室になった彼らは病院から抜け出し、まだ見たことのない海をめざして旅に出るが、盗んだ車にキャングの大金が積まれていたため警察とギャングの両方から狙われるはめに…。「死ぬ前に海が見たい」という共通の目的を持ったアウトローな男たちの夢とロマンが溢れたドラマである本作は、同時に彼らと彼らを追うふたりの落ちこぼれのヤングがくり広げるデュアル・アクション・ロード・ムービでもあります。また本作『夜の人々』(48・米)、そのリメイクである『俺たちに明日はない』(68・米)、『ボウイ&キーチ』(74・米)、『ワイルド・アット・ハート』(90・米)、『トゥルー・ロマンス』(93・米)などクライム・ロードー・ムービー流れをくんだ作品であるが、主役の二人が<男女の愛>ではなく<男の友情>で結ばれるることが他の作品にない面白さです。またクエンティン・タランティーノを彷彿とさせる銃撃シーン、カーアクションがスタイリッシュに描かれている一方、ひとりの死人も出すことな、見るもののココロをあたためてくれる優しさとユーモアセンスが映画全体にちりばめられています。
スタッフには現代ドイツ映画界を代表する新進気鋭の俳優・スタッフが集まりました。トーマス・ヤーンの脚本に惚れ込み製作・脚本・主演の3役を引き受けたティル・シュヴァイガーは、主役マーチンを好演し、本作で97年モスクワ映画祭最優秀主演男優賞を受賞。最近では『リプレイスメント・キラー』(98)でハリウッド進出も果たしたドイツ映画界の若手を代表するトップ・スターです。彼のプロデュースのもと、キャストも個性的な俳優が集結。ワイルドで男クサ魅力をふリまくマーチンとは対照的にピュアでメランコリックなルディ役を東ドイツ出身の俳優ヤン・ヨーゼフ・リーファースが好演。ふたりの絶妙なコンビが本作の大きな要となっていることはいうまでもありません。また『ラン・ローラ・ラン』でローラの恋人役を演じたモーリッツ・ブライプトロイが下手なドイツ語で憎めない落ちこぼれギャング、アブドゥルを演じ、本作で97年ドイツ映画賞最優秀助演男優賞を受賞しています。またその相棒ヘンク演ずるティエリー・ファン・ヴェルフェーケは『Troublemaker』(88)『A Wopbopaloobop A Lopbamboom』(89)などアンディ・バウシュ監督作品で活躍する実力派俳優です。
タイトルにもなったナンバー「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」はロックの神様、ボブ・ディランが1973年に発表した名曲「天国への扉」。ディラン本人も出演した『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』(73年サム・ペキンパー監督)のサウンドトラック盤に収録され、エリック・クラプトン、ガンズ&ローゼスらがカバーし、ロックの古典として世界中に知られています。本作ではドイツの人気バンド「SELlG(ゼーリッヒ)」がこの映画のためにカバーしたバージョンをフィルムをじかに見ながらライブレコーディングし、ラストにより深い感動を与えています。

ストーリー

テニスボール大の腫瘍を脳に抱えたマーチン・ブレスト(ティル・シュヴァイガー)と末期骨髄腫のルディ・ウルリツァー(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)はそれぞれ余命幾許もないと宣告され「死人病棟」の同室に入院させられる。突っ張った態度のマーチン、気弱で内向的なルディ、死を宣告された二人は、同じ運命に連帯感を感じていたわけでもない。少なくともテキーラの最初の一口を飲むまでは…。
病院の厨房で酒を交しながら、マーチンはルディがまだ一度も海を見たことがないことを知る。「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ。海がどんなにきれいかってね。海を見たことないやつは指くわえてるしかないな。おまえ、話には加われないぜ」
次の瞬間、二人が向かったのは病院のベッドではなかった。病院の駐車場からパステルブルーのベンツを盗み出し、アクセルをふかし、人生最大の、おそらく最後の大冒険に出発した。盗んだベンツがギャングのものだと知らず…。
そのころ、車を盗まれたヘンク(ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ)とアブドゥル(モーリッツ・ブライプトロイ)はボスのフランキー・“ボーイ”・ベルーガ(フープ・シュターペル)から大目玉をくらう。実は車には大物ギャング、カーチス(ルトガー・ハウアー)へ渡す大金が積まれていたのだ。マーチンとルディは車中でピストルを見つける。無一文文、パジャマ姿のふたリはそれを武器にスタンドでガソリン代をチャラにし、新調のスーツに着替えるために銀行強盗までやらかす。これでギャングだけじゃなく、警察も二人を追ってくることになってしまった!
そんなことにはおかまいな意気揚々と旅を続けるふたリだったが、忘れた頃にマーチンの腫瘍が痛みだし発作を起こす。マーチンのカウントダウンはルディよりも早く迫ってきている…。薬で発作を抑え、間もな回復したマーヂンは車のトランクから百万マルクの入ったスーツケースを発見! 上機嫌のふたりは豪華ホテルにチェックインし、シャンパンを浴びるほど飲んで一生分の「豪遊」をしようとそれぞれの望みを紙に書き出した。マーチンの一番の願いはプレスリーファンの自分の母親(コーネリア・フローベス)にフリートウッドのピンク・キャディラックをプレゼントすること。同じタイプの車をプレスリーが実母にプレゼントしたことを覚えていたのだ。一方、ルディが絶対かなえたいことといえば…「一度に二人のオンナとセックスがしたい」。
翌朝、ふたリが目覚めると、なんと警察がホテルを包囲している。とっさにマーヂンはルディを人質にし、警官から制服まで奪って逃走に成功する。マーチンはルディ誘拐犯として指名手配され、事態はどんどん大きくなっていく。しかし病魔は容赦なく進行し、再びひどい発作がマーチンを襲った。ルディ薬局で発作を抑える劇薬を脅し取る。が、ここでの犯行もマーチンの仕業とされ、またもや警察、その上マスコミまでも現場に現れる。マーチンはルディを人質にトルコカフェに立て篭り、今度はテレビ中継までされ、騒動はドイツ中に放送されてしまう。
なんとかカフェを抜け出し、ふたりは車をぶっ飛ばし海へひた走る。だがその後にパトカーの群れ。前方にはあのギャング一味が銃を構えて待っているという挟み撃ち…。まさに絶体絶命! 次の瞬間、マーチンはアクセルを踏み込みトウモロコシ畑の真ん中を切り刻んで走る。マーチンとルーティ、ふたりは命あるうちに念願の海を見ることは出来るのか…。

スタッフ

監督: トーマス・ヤーン
脚本: トーマス・ヤーン、ティル・シュヴァイガー
製作: ティル・シュヴァイガー、アンドレ・ヘンニッケ、トム・ツィックラー
撮影: ゲーロ・シュテフェン
編集: アレクサンダー・ベルナー
音楽: ゼーリッヒ
美術: モニカ・バウアート
衣裳: ヘイケ・ヴェーバー

キャスト

マーチン・ブレスト: ティル・シュヴァイガー
メディ・ウルりツァー: ヤン・ヨーゼフ・リーファース
ヘンク、ベルギー人: ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ
アブドゥル、アラビア人: モーリッツ・ブライプトロイ
フランキー・“ボーイ”・ベルーガ: フープ・シュターベル
シュナイダー: レオナルド・ランジンク
ケラー: ラルフ・ヘアフォート
マーチンの母: コーネリア・フローベス
カーチス: ルトガー・ハウアー

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