信じてる。

2001年/日本/カラー(シルバーカラー)/ビスタサイズ(1:1.85)/ DTSステレオ/96分/2703m/全6巻 配給:東宝

2002年06月21日よりDVD発売開始 2002年06月21日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年11月10日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー公開

(C)映像京都・日活・イマジカ・シナノ企画

公開初日 2001/11/10

公開終了日 2001/12/14

配給会社名 0001

公開日メモ 山本周五郎の同名原作を市川崑監督の妻である和田夏十が脚本、岸恵子主演

解説


全ての女性に捧げる永遠なる母の物語
 1999年ベルリン映画祭で『どら平太』が絶賛を浴び、日本公開でも大ヒットを記録、巨匠健在を強く印象づけた市川崑監督。その75作目に選んだのが『かあちゃん』です。
 原作は山本周五郎が1955年に発表した同名小説。人情味溢れる時代小説の傑作です。この原作に惚れ込んでいた市川崑監督と愛妻の脚本家・和田夏十は、映画化の機が熟すのを待ちながら、ひょんなきっかけで1958年新人監督のために60分余りの中篇として脚本を提供することになりました。それでも、いつかふたりの手で、しかも長篇映画として『かあちゃん』を映画化したい、と望んでいました。しかし愛妻・夏十さんの生前に市川監督のその想いは叶わず、夏十さんが亡くなってから18年を経た今年、43年越しでようやく実を結んだのです。
 市川監督と和田夏十のコンビは『ビルマの竪琴』(56)『炎上』(58)『鍵』(59)『ぼんち』(60)『東京オリンピック』(65)など絢爛たる傑作群を創り上げてきました。このコンビの最後の共作「かあちゃん」は全ての女性に捧げる永遠なる母の物語です。
今、こんな世の中。映画化するなら、今しかない—市川崑
 不景気、失業、相次ぐ暗い事件。現代の世相を思わせる天保末期。老中・水野忠邦の改革の効なく、江戸の庶民の生活は困窮を極めていた。ある貧乏長屋で5人の子供を育てる、おかつ(岸惠子)もその例外ではなかった。そんな生活の中、おかつの家では一家6人が総出で金を貯めこんでいると噂になっていたが、それには理由があった。それは長男の友人を更生させるためだった。自分たち家族よりも他人を思いやるおかつに、家族みんなが協力を惜しまないのだった。その上おかつは、たまたま入ってきた泥棒さえも一家の一員として受け入れることにする・・・・・・
「人が人を信じること」をテーマに、時にユーモラスで、ほろりと涙を誘い、スタイリッシュな映像美で市川崑監督は「かあちゃん」を描き出します。「今、こんな世の中。映画化するなら、今しかない。」こう市川崑は語っています。主演の岸惠子も、「子が親を殺し、親が子を殺す現代。こんな時代にこそ意味がある作品」と語っています。不透明で不安に満ちた現代。社会が信じられなくても、人を信じれば、人はきっと前向きに生きていける。この映画はそのことにもう一度気付かせてくれる作品です。
市川組を支えるキャスト・スタッフが結集
 主人公のかあちゃんこと“おかつ”を演じるのは市川作品の名パートナー岸惠子。『おとうと』(60)から『黒い十人の女』(61)『細雪』(83)など7本の市川作品に出演を果たしてきましたが、この作品の持つ現代性、あたたかさに共鳴し、長年住んでいたフランスから日本に永住帰国を果たし、10年ぶりの主演作が実現しました。いつの時代もニッポンを支えてきた永遠なる母を演じます。
 また、“おかつ”の広い心に触れて、かけがえのないものを得る青年・勇吉役の原田龍二、同じ長屋の住人たちをいきいきと演ずる小沢昭一、中村梅雀、春風亭柳昇、コロッケ、江戸家小猫ら芸達者な個性派の面々から、うじきつよしをはじめ勝野雅奈恵らが演じるおかつの子供たちまで、「キャスティングが演出の70パーセント」と語る市川監督ならではのこだわりのキャスティングが「かあちゃん」を囲み、映画にふっくらとした豊かさを醸し出しています。
 スタッフには市川組の面々が結集しています。製作と美術を兼ねるのは『梟の城』(99)、『御法度』(99)などで多くの巨匠から信頼感の厚い西岡善信。撮影は『おはん』(84)以降の殆どの市川作品を担当している五十畑幸勇。照明は木下惠介監督、小林正樹監督らの作品を手掛けてきた下村一夫。録音は『四十七人の刺客』(94)で日本アカデミー賞最優秀録音賞受賞の斉藤禎一。調音は『東京オリンピック』(65)以来市川作品を手掛けているベテラン大橋鉄矢。編集は26年間、市川作品を支える長田千鶴子。音楽はいまや市川作品の常連俳優ともなった宇崎竜童が初めて手掛けます。市川監督・和田夏十の脚本を脚色したのは、NHK大河ドラマ「秀吉」などを手懸けた脚本家・竹山洋。作品に現代性を付け加えました。コン・タッチと呼ばれる市川崑映画ならではの奥行きのある映像、軽妙酒脱なユーモアのリズムは、このスタッフなくしては考えられません。
 またこの作品の持つ時代を表現するため、かつて市川監督が『おとうと』(60)で成功させた「銀残し」の効果を狙い、特殊現像処理を施し、シルバーカラーとも呼ぶべき白黒とカラーの中間のような色を抑えた映像の表現をしています。この効果によってより渋みのある江戸の長屋の世界が誕生しています。
 21世紀を迎えた日本。混迷を極める世相の中で、巨匠・市川崑が家族と親子をテーマに、「さわやかな感動作」を創り上げました。

ストーリー

時は天保末期、飢饉による米価の高騰と過酷な税の徴収により、江戸の庶民の生活は貧窮を極めていた。とある貧乏長屋の角にある居酒屋では常連の客たち(春風亭柳昇・中村梅雀・コロッケ・江戸家小猫)が、同じ長屋の「おかつ」(岸惠子)一家の噂話を肴に酒を飲んでいた。その一家は家族6人が総出で働き詰め、長屋のつき合いもそこそこに、かなりの金を貯め込んでいるという。
その晩、おかつの家に若い男・勇吉(原田龍二)が泥棒に入った。男は昼間の居酒屋でこの一家の話を盗み聞きし、金があることを知ったのだ。一人起きていたおかつは泥棒を見つけても怯まなかった。反対に男を諭し、こう語りかけた。「どうしてもほしいと云うんならあげてもいいが、その前にこれがどんな金かってことを話すから聞いておくれ」
三年前、おかつの長男・市太(うじきつよし)の大工仲間である源さん(尾藤イサオ)が、生活に困った挙げ句、仕事場の帳場から少々の金を盗んだ。源さんは罪が発覚し牢に入れられた。こんな世の中故に罪を犯さざるを得なかった源さんの将来を案じたおかつの一家は、源さんが牢から出てきた時のために、新しい仕事の元手となる金を貯めていたのだ。しかも源さんの顔を知る者は一家の中にはおかつと市太しかいないという。
おかつの話に勇吉は二の句が継げなかった。「なんで赤の他人のためにそこまで…」家を去ろうとした勇吉をおかつが引き止めた。「行くところなんてないんだろ」こうして、引きずられるようにこの家に暮らすことになった勇吉。おかつと5人の子供たちはどこまでも勇吉に親身に世話を焼いた。
やがて勇吉は市太の紹介で職に就き、精を出して働き出した。「俺ア、…生みの親にもこんなにされたことがなかった」ある日、勇吉はあらためて感謝の思いを口にした。それを聞いたおかつは声を震わせて怒鳴った。「子として親を悪く云うような人間は大嫌いだよ!」その言葉の奥に、人間を心底愛するおかつの心を知った勇吉。おかつに叱られながら勇吉の心の中には今まで味わったことのない熱いものが込み上げてくるのだった。 そして、勇吉は心の中でそっとつぶやいた。「かあちゃん……」と。

スタッフ

製作:西岡善信、中村雅哉、長瀬文男、松村和明
原作:山本周五郎
脚本:和田夏十、竹山 洋
監督:市川 崑
プロデューサー:西村維樹、猿川直人、鶴間和夫、野口正敏
撮影:五十畑幸勇
美術:西岡善信
照明:下村一夫、古川昌輝
録音:斉藤禎一
調音:大橋鉄矢
編集:長田千鶴子
監督補:小笠原佳文
製作担当:丹羽邦夫
色彩設計:谷川創平
時代考証:大石 学
音楽:宇崎竜童
タイトル画:和田 誠
製作:映像京都、日 活、イマジカ、シナノ企画
配給:東宝

キャスト

おかつ:岸 惠子
勇吉:原田龍二
市太:うじきつよし
おさん:勝野雅奈恵
三之助:山崎裕太
次郎:飯泉征貴
七之助:紺野紘矢
熊五郎:石倉三郎
同心:宇崎竜童
印半纏の男:中村梅雀
禿げ老人:春風亭柳昇
左官風の男:コロッケ
商人風の男:江戸家小猫
岡っ引:仁科 貴
居酒屋の亭主:横山あきお
源さんの女房:阿栗きい
居酒屋の小女:新村あゆみ
源さん:尾藤イサオ
易者:常田富士男
大家:小沢昭一

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