原題:La maman et la putain

ゴダールが発見した"最後のヌーヴェル・ヴァーグ"———ジャン・ユスターシュ

1973年カンヌ映画祭審査員特別賞受賞 1973年国際映画批評家連盟賞萱賞

1973年/フランス/220分/モノクロ/スタンダード 配給:ユーロスペース

2001年3月24日よりユーロスペースにて公開 200年4月27日ビデオ発売

公開初日 2001/03/24

公開終了日 2001/03/30

配給会社名 0131

公開日メモ 幻の一篇、ついに日本初劇場公開! 3時間40分という上映時間、カラー映画全盛だった70年代初頭に16ミリ・モノクロによる長回しの撮影、当時は珍しかった全篇同時録音、音楽は登場人物たちが聴くレコード(ディートリッヒ、ピアフ、ツェラー・レアンダー)だけ、そして撮影レンズは人間の視覚に一番近いといわれる50ミリ・レンズだけでズームなど一切なしという、まるで商業映画であることを拒否するかのようなこの作品

解説

《幻の一篇、ついに日本初劇場公開!》
3時間40分という上映時間、カラー映画全盛だった70年代初頭に16ミリ・モノクロによる長回しの撮影、当時は珍しかった全篇同時録音、音楽は登場人物たちが聴くレコード(ディートリッヒ、ピアフ、ツェラー・レアンダー)だけ、そして撮影レンズは人間の視覚に一番近いといわれる50ミリ・レンズだけでズームなど一切なしという、まるで商業映画であることを拒否するかのようなこの作品は、5月革命後の若者たちが陥っていた無気力感や、愛を求める苦しさをドキュメンタリーのようにとらえている。「この映画を作ったのは、自分が愛した女性が僕から去っていったからだ」と語るユスターシュ監督。アレクサンドル、マリー、ヴェロニカ三者の生活を見、生きること・愛することの苦しさを聴くとき、観客は「いかなる映画とも異なる映画」に立ち会っているという感覚にとらわれるだろう。

《コダール、トリュフォー、ロメールらが絶賛した伝説の映画監督》
1973年5月9日。カンヌ映画祭でジャン・ユスターシュの長篇処女作『ママと娼婦』が初めて上映された。すでに上映前からプレスの一部は、題名がスキャンダラスでカンヌにふさわしくないと騒ぎ立てていた。上映中には口笛が鳴り、野次が飛び、途中退場する人々の椅子がはねあがる音が響き渡る。だが最後まで残った人々は熱狂的な拍手を送っていた。そして見事、審査員特別賞(委員長はイングリッド・バーグマン)を獲得したのである。

《強烈な、そして永遠の青春映画》
現在では「68年の5月革命以後の精神を最もよくとらえた作品」(ジャン=ミシェル・フロドン)、「優しさ、快楽、不安、狂気、フリーセックス、苦悩、そのすべてがある」(ジャン・コレ)と評価が定まった『ママと娼婦』は、無職でいつもカフェに入りびたっている青年を中心に、母性を表す年上の女と娼婦性をもった若い看護婦の3人が織り成す強烈な青春映画である。

《43歳でピストル自殺したユスターシュ》
監督のジャン・ユスターシュ(1938〜1981)は、1963年に中篇『わるい仲間』を自主製作してデビューした。この作品を見たジャン=リュック・ゴダールが彼の資質を見抜き、次回作『サンタクロースの眼は青い』(65)という中篇をジャン=ピエール・レオー主演で製作することにしたのである。『男性・女性』(65)を撮影中だったゴダールは、自分の生フィルムの一部をユスターシュの撮影にまわしたそうである。その後は目立った活動はしていないが、1971年から書き始めていた『ママと娼婦』の製作資金の調達に成功、脚本執筆3ヵ月、撮影7週間、編集4ヵ月の末、1973年に完成した。
主演のジャン=ピエール・レオーは、フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』などの主人公アントワーヌ・ドワネルとして世界的に脚光を浴びた“ヌーヴェル・ヴァーグ”の申し子。ゴダールやジャック・リヴェット作品をはじめ、最近ではアキ・カウリスマキの『コントラクト・キラー』に出演している。マリーを演じたベルナデット・ラフォンも、同じトリュフォーの処女短篇『あこがれ』でデビューした女優。そのほかにユスターシュの友人で映画初出演のフランソワーズ・ルブラン、ロベール・ブレッソンの『白夜』(71)で主人公のマルトを演じたイザベル・ヴェンガルテンらが顔を見せている。

ストーリー

財産といえば言葉しか持たない貧しい若者アレクサンドル(ジャン=ピエール・レオー)は、働きもせずに年上の女性マリー(ベルナデット・ラフォン)の部屋に居候している。彼はつきあっていたジルベルト(イザベル・ヴェンガルテン)に結婚を断られた日、カフェで若い女の子に声をかける。こうしてヴェロニカ(フランソワーズ・ルブラン)は、マリーとアレクサンドルの生活に入り込んできた・・・・・・。

スタッフ

監督・脚本・台詞:ジャン・ユスターシュ
プロデューサー:ピエール・コトレル
撮影:ピエール・ロム
録音:ジャン=ピエール・リュー、ポール・レン
衣裳:カトリーヌ
編集:ジャン・ユスターシュ、ドゥニーズ・ドゥ・カサビアンカ
製作:エリート・フィルム
シネ・シネ・カ・ノン
レ・フィルム・デュ・ロザンジュ
シマール・プロダクション
VMプロダクション

キャスト

ジャンピエール・レオー
ベルナデット・ラフォン
フランソワーズ・ルブラン

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