原題:BOOTLEG FILM

死んだ女への出口なき愛…

☆1999第52回カンヌ映画祭【ある視点】部門公式出品作品

1999年/74分/35m㎜/シネマスコープ(1:2.35)/B&W PRODUCTION COMPANY:MONKEY TOWN PRODUCTIONS

2006年07月29日よりDVDリリース 2000年11月10日よりビデオ発売・レンタル開始 1999年12月1日シネマ下北沢にて公開 1999年7月17日シアターアプルにて先行公開

公開初日 1999/12/01

配給会社名 0068

解説

男の友情、嫉妬、そして裏切り…。ひとりの女をめぐる男の生き様をおもしろ哀しく描いた、シュールかつ繊細な世紀末ロードムービー『海賊版=BOOTLEG FILM』。オリジナル脚本は本作品監督でもある小林政広が書き下ろし、歯切れのよい会話劇と、心の繊細な動きを見事に捕らえ厚みのある人間ドラマに仕上げています。また定評あるストーリー展開とスピード感が、見るものを巻き込んでいく、映画的かつ日本では数少ないエンターテインメント作品です。男二人組を演じるのは、個性豊かな実力派の柄本明と、若い女性を中心に人気を集めている椎名桔平。小松立夫演じる柄本は、不器用ながら人間味溢れる魅力と男の哀しさを、また会田清司演じる椎名桔平は、一途でまじめなキャラクターをそれぞれ演じ、生き生きとしたコンビネーションの良さは、ほかの映画では見ることが出来ないふたりの新しい一面を見せています。
この物語の舞台となったのは北海道増毛町。映画『駅-Station』の舞台や、名曲『石狩挽歌』誕生の地であることでも有名です。無駄ひとつない景色と古き良き街並みは、モノクロームの映像とダイナミックなシネマスコープの画面を際立たせています。音楽は、フォーク界の巨匠、高田渡が担当。かつて小林監督がフォークシンガーとして活躍していた頃の師でもある高田の音楽は、小林の映像にあたたかさと不思議な安らぎを与え、見る者の心に浸透していきます。デビュー作『CLOSING TIME』に続き2作目となる本作品『海賊版=B00TLEG FILM』は前作同様、自ら製作をも務め、独自の映画表現にこだわった作品です。現在、日本での映画製作に対するすべての既成概念を越えた…すなわち海賊版的作品とも言いかえられる本作は、映画への情熱を切ないまでにも感じることでしょう。

ストーリー

北の町を、一台の車が走りぬけていく。乗っているのは小松立夫(柄本明)と会田清司(権名楕平)のふたりである。立夫はリストラ寸前のヤクザ。清司は、ポリス。この相反する職業のふたりは、親友同志でもある。ふたりは、死んだ女、文子(環季)の葬式へと向かっている。文子は清司の元、妻であった。そして立夫にとっては、愛人であった。ふたりは道中、文子の思い出話に花咲かせるが、それも束の間のこと…。次第にふたりは、それぞれの文子への思いのなかで、すれちがい、嫉妬しあい、死んだ女への愛の出口が見つからないまま、反発しあう。そんな時に出会ったのが若いカップル、洋二(北村一輝)と順子(舞華)であった。ふたりは、友人の結婚式の帰り道で、立夫たちと偶然出会い、トランクに納められていた死体(それは何と、立夫の弟なのだ)を見てしまったことから、道中を共にすることになり、物語は、思わぬ展開を迎える……。

スタッフ

プロデュース・脚本・監督:小林政広
音楽:高田渡
撮影監督:佐光朗
照明:木村匡博
録音:瀬谷満
ポストプロダクションプロデューサー・編集:金子尚樹
ラインプロデューサー:佐々木正則
制作:山本充宏
助監督:女池充
アシスタントプロデューサー:岡村直子
制作協力:北海道増毛町
テーマ曲:『仕事さがし』詞・曲・唄:高田渡
揮入曲:STRADA『山道』より

キャスト

小松立夫:柄本明
順子:舞華
礼子:中野若葉
明子:高仁和絵
北川文子:環季
洋二:北村一輝
会田清司:椎名桔平

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