人生には、もれなく迷惑がついてくる。 相米慎二監督が贈る、静けさと笑いとやさしさに満ちた素晴らしい映画が出来ました

1998年作品/100分/35mm/カラー/ビスタヴィジョン/配給:松竹株式会社

1999年5月21日よりビデオレンタル開始 1998年12月19日よりテアトル新宿にて都内独占ロードショー!

公開初日 1998/12/19

配給会社名 0003

解説

『夏の庭』以来、4年ぶりにカメラの前に立った相米慎二は、これまでとし一風変った、静けさと笑いとやさしさに満ちた素晴らしい映画を撮りあげました。ここには、いまの時代を生きることの哀しみと不安とか浮き彫りにされ人間のしなやかさが滲み、そして全体が豊かに微笑んでいるいるような美しい作品です。相米慎二の演出は新境地を開拓しました。浮かれていたバブル期を経て、今では自分の社会の倒産を気に病みながら突然、現れた父と名乗る男に因惑し、それをきっかけに自分の人生を見つめなおそうとする“心優く弱き家長”を奥行きのある存在感で演じるのは佐藤浩市。謎の父親に扮する山崎努は、圧倒的な存在感のある演技で、映画に不思議な力強さを与えています。一方の女性たちは強い。まだあどけなさが残る少女のような妻(斎藤由貴)は、台所でこっそり精神安定剤を飲んでいる。しかし、崩れそうになりながらも、すべてを包み込んでゆくぬくもりを感じさせ、私達に強い印象を残します。母親二人のベテランならではの見事な演技も素晴らしいものです。山の手の気位の高さとやさしさを会わせ持った義母を演じるのは藤村志保。実母に扮するのは富士純子は、決して楽ではなかった筈の人生を軽やかに体現し、そして毅然としていて美しい。…さまざまな登場人物の思いを抱え込み、落ち着きを見せたたずむ家。その庭先で鶏が草をついばみ、卵を産む。春には卵はかえるだろうか…。

ストーリー

韮崎絃(佐藤浩市)は証券会社に努める30半ばの働きざかりである。彼には父親がいない。母親には死んだと聞かされて成長した。一流大学を出た証券会社に入社、良家の美しい娘(斎藤由貴)と結婚し、妻の実家にかわいい息子とともに寝起きしている。“自分は順調な人生を進んでいる”絃自身はそう想っていただろう。どこかでそう思おうとしているかもしれない。父親のことなど忘れ、母親のことさえ忘れようとして…。が、ある日、会社からの帰り道、絃は見知らぬ男に呼び止められる。一見、ほとんど浮浪者風である。男は絃に“俺はお前の父親だ”と告げる。混乱する絃。その日以来、男は家に住み着き、彼の人生を揺さぶり始める。

スタッフ

監督: 相米慎二
原作: 村上政彦「ナイスボール」(芥川賞候補作)集英社文庫刊
製作: 中川滋弘
プロデューサー: 榎 望、矢島 孝
脚本: 中島丈博
撮影: 長沼六男
照明: 熊谷秀夫
美術: 小川富美夫
音楽: 大友良英
衣装: 北村道子
ヘアーメイク: 永倉雅之
編集: 奥原好幸
録音: 野中英敏
助監督: 宮城仙雅
協力: 東京テアトル株式会社
宣伝協力: カマラド
製作: 株式会社トラム、松竹株式会社、株式会社衛星劇場

キャスト

佐藤浩市、斎藤由貴、余貴美子、
原知佐子、河合美智子、富司純子
三浦友和(友情出演)、笑福亭鶴瓶(友情出演)、
寺田農、塚本晋也、木下ほうか、
岡田慶太(子役)、村田雄浩、三林京子、
藤村志保、山崎 努

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