たどんとちくわ

キレてるのは、若いやつだけじゃねぇ。 世の中なんてはじめから、みっともないおとぎ話なんだ。

1998年日本映画／1時間42分／ビスタサイズ 製作：GAGA'PICTURES／配給：ギャガ・コミュニケーションズ 一般映画制限付き（Ｒ）

2007年12月07日よりＤＶＤリリース 2002年03月22日よりＤＶＤ発売開始 1999年7月23日よりビデオレンタル開始 1998年12月5日より、新宿シネマスクエア他、全国にてロードショー！

公開初日　1998/12/05

配給会社名 0025

公開日メモ　映像詩人、市川準の新たなる挑戦『たどんとちくわ』は、椎名誠の原作を基に演出・ストーリーの全てに新基軸を打ち出したネオ市川ムービともいえる逸品

解説

ストーリー

都会を流すタクシーの運転手の木田（役所広司）。様々な乗客が彼の車を利用するが、乗客と交わす上辺だけの会話に心の通ったコミュニケーションは存在しない。孤独な空間、単調な毎日。昼夜タクシーを転がしている彼は、やがて自分が働いている、風景が自分を通り過ぎているのか分からない。意識が朦朧としいくような感覚に包まれてゆく。そんな折り、彼のタクシーにサラリーマンの安西（根津甚八）が乗り込んで来た。
都会の街灯が車内を照らす中、何気なく安西に自分の身の上話をポツリポツリと語り始める木田。「お客さん、お仕事は？」と訪ねる木田に、「たどん屋だよ」と面倒くさそうに受け流す安西。やがて車窓から見える景色に不安感を抱いた安西は、木田が無目的に街中を回送している事実を知り愕然とする。

何かに取りつかれたかのような木田の表情は明らかに尋常ではなかった。そしてタクシーはいつしか人気の無い海辺へ。因惑する安西に「たどん屋だという証拠に、ここでたどんを作ってみろ！」と詰め寄る木田。その手には一丁のトカレフが握られていた。同じ頃、売れない小説家の浅見（真田広之）は都会の夜を彷徨っていた。意識を超越した感覚の中で様々な言葉が浮かんでは消え、独り呟く浅見。屋台のおでん屋へと行き着いた彼は、そこでちくわを注文する。「ちくわはない」というオヤジに、鍋の上に跨がり、チャックを下ろして「ここにちくわがあるじゃないか」とからかう浅見。

オヤジの怒号を背中に受け、彼の足は次に馴染みの料理店へと赴いていた。自分の作品の愛読者である店の主人（田口トモロヲ）と他愛ない会話をしながら席について彼は、そこでふと奇妙な感覚に襲われる。店内の光景が異空間のように感じられ、客達の会話は自分の事を噂しているようで耳障りだ。おまけに出された料理は、彼の箸の中でグロテスクに動きだす。目の当たりにした光景から逃れようとトイレへと駆け込んだ彼は戦慄した。「俺のちん○がない！」彼の視界には店内の全ての人間が画策しているように見える。“皆がグルになっている”“俺を落とし入れようとしている”そう確信した彼は店の包丁を手に取り、身を乗り出した…。朝焼けに照らされたとある海辺のホテル。そこに木田のタクシーが到着し、全身血塗れの浅見が現れる。非日常的な時間を過ごし、キレる事の爽快感を味わった者同志、偶然顔を見合わせるが…。

スタッフ

原作：　椎名　誠「中国の鳥人」（新潮社）より
監督：　市川　準
製作：　山地　浩
企画：　中沢敏明
プロデューサー：　板谷健一、川崎　隆
脚本：　市川　準、佐藤信介（たどん）、NAKA雅MARU（ちくわ）
撮影：　小林達比古
スチル撮影：　北島元朗
美術：　間野重雄
録音：　橋本泰夫
照明：　中須岳士
音楽：　板倉　文
音楽制作：　小暮隆生
編集：　三條和生
キャスティング：　田辺博之
挿入歌：「波よせて」作詩：東　里起・武藤さつき、作曲：東　里起
唄：　SMALL CIRCLE OF FRIENDS(Brownswood Records)
「愛は思うまま」作詩・作曲・唄：　吉田美奈子(ALFA MUSIC,INC)
制作：　GAGA'PICTURES
制作協力：　セディック・インターナショナル、エクセレントフィルム

キャスト

木田：　役所広司
浅見：　真田広之
安西：　根津甚八
富山：　田口トモロヲ
熊のぬいぐるみの女：　桃井かおり（友情出演）
おでん屋親父：　小鹿　番
君島：　安部聡子
茜：　弘中麻紀
タクシーの乗客：　太田光・田中裕ニ（爆笑問題）

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