ナイスガイ

香港きってのスーパー・プロデュサー、チャイ・ランがハリウッド超大作並の巨大のバジェットを投入した「ナイス・ガイ」。映画最大の見せ場であるラストのためだけに、シドニー近郊のワイン産地として有名なハンター・バレーにジャンカルロの邸宅を一ヶ月かけて作り、また徹底的に破壊するのに全部で２０００万ＨＫドル（約３億２千万円）という途方も無い金額を費やした。ぶどう畑に囲まれた丘に城のような邸宅、そしてその建造物を跡形も無くふっ飛ばす前代未聞の火薬量。世界最大の250tのモンスター・トラックを通れるようにするだけの３万フィートの道路作り。広大なオーストラリア大陸をおいて、これだけの撮影許可がおりる所はなかった。

　オースラリア・メルボルンは今、世界中の何処よりも急遽に国際都市に成長している。５人に１人が海外生まれの新移民と言われる街は、イタリア・ギリシアのヨーロッパ系から香港・ベトナムのアジア系までN.Y.に迫る勢いで人々を魅きつけている。香港の中国返還時に持ち上がった自由を求めての海外への移民・・そんな社会状況にこのオーストラリアで活躍する国際人ジャッキーの設定は見事にオーバーラップする。

　その南半球で最も美しいと言われるガーデン・シティ、メルボルンを中心として撮影は９６年５月にクランクイン。オーストラリア警察と映画界による全面的バックアップを受けて様々な場所での完全ロケが実現。特にメインストリートを馬車が暴走する場面はメルボリン以外にブリスベンの大通りも封鎖して大規模に撮影された。だが、今回一番苦労したのは５月１５日以降の街中での撮影だった。ここでオーストラリアでもその日「レッド・ブロンクス」が公開されるや大ヒットを記録。一躍ジャッキー人気が沸騰、撮影現場は人だかりとなりジャッキーは何処へ行ってもサイン責めにあった。さらに撮影現場に居合わせたギャラリーは、正真正銘のノー・スタントで人間離れしたアクションを連発するジャッキーに驚き、撮影終了後スタッフと一緒にセットを片付ける彼のその姿を見て再び驚き、撮影毎にファンは増え続けるのだった・・。

　ジャッキー初の全篇英語セリフという新たな魅力も加わった本作は常に熱狂的に迎えられるアジア・アフリカ各国に加えアメリカ・ヨーロッパ・オーストラリア、そして巨大中国を含む全世界へ向けて発信された。すでに香港・シンガポール・マレーシアなどアジアでは公開される大ヒットを記録、そしてついに’98年正月、日米公開決定！！