忘れられない人がいる 傷つけた人がいる 届けこの想い あの日の君に 届けこの想い 今の君に

1997年/35mm/カラー/ビスタサイズ/118分

98年正月第2弾 渋谷シネ・アミューズにて凱旋ロードショー!!

情報提供:ファーイーストクラブ

公開初日 1998/01

配給会社名 0582

解説

『ティファニーで朝食を』のテーマ曲“MOON RIVER”への感動が、音楽の道へ進むきっかけとなったという小田和正。彼の初挑戦した監督作品「いつかどこかで」(’92年東宝配給)は従来の邦画にはなかった映像と音楽を伴い、全国で約75万人を動員しました。映画制作の魅力と底の深さに魅せられた小田和正は、その後、テレビのドキュメンタリー番組の製作などを手がけつつ、その活動から5年、彼は再び映画製作に取り組みます。
デビューから27年目、集大成とも言える今年の活動は、世の中にさらに大きく、新鮮な話題と感動をもたらしてくれるはずです。

ストーリー

『ボク今度、映画つくりますので、よろしくお願いします!』
コンサートツアーの最終日、ステージを終えた夏目草介(渡部篤郎)はマスコミの前で突然宣言した。事務所の社長である坂本(津川雅彦)をはじめ、スタッフも初めて耳にする事だった。坂本は、現在の映画産業の状況や資金的なリスクを危惧し大反対する。船田(管野良一)や三沢(大江千里)、野口(加藤昌史)らスタッフも夏目を思い止まらせようとするが、旧知のカメラマン・田村(尾藤イサオ)に協力を仰ぎながら、夏目は着々と準備を進めてゆく。“異業種監督”という事で渋るスタッフ(泉谷しげる)らもいたが、田村自ら現場をフォローするという事で、制作スタッフも徐々に集まっていった。

夏目は、この映画のヒロイン“苗子”役に、一ノ瀬信子(中島ひろ子)という女優を打診していたが、信子は既に第一線を退き、劇団の制作スタッフをしていた。マネージャーの広井の勧めにも、信子は何故か頑なに出演を拒んだ。

一方、社長の坂本は、大きすぎるリスクに、依然として、夏目に映画を諦めさせようと考えていたが、脚本まで書き上げ、新しい世界の扉を開こうとしている夏目の想いに三沢達スタッフの冒険心は触発され、ついに映画制作へと乗り出してゆく。

配給会社のプロデューサー滝川(大友康平)は、夏目の押す一ノ瀬信子には耳をかさず、有名女優である芦川ゆかりを強引に顔合わせとして押し付けてくる。得心のいかない夏目は、無愛想な態度で接し、芦川の機嫌を損ねてしまう。数日後、スポーツ誌に“異業種監督”夏目を避難する芦川のコメントが掲載された。劇団でその記事を目にした信子は、出演を決心する。スタッフが揃い、細かな打ち合わせが始まった。美術、衣装などの勝手のわからない夏目は、気付かないうちにスタッフに摩擦の種をまいてゆく。

そしてクランクイン…。
ストーリーは、売れないミュージシャン“新田”(河相我聞)と女優を目指す“苗子”のラブストーリー。苗子が先に売れ始め、あせりと嫉妬心によって新田は苗子から離れてゆく。お互いの心にあった文化のあるべき姿が崩れてゆく…。

誰も気がつかなかったが、実はその物語は監督である“夏目”と“信子”の過ぎ去った青春であった。撮影中、信子は時折感情が不安定になったりした。が、ふたりはその輝いていた過去の時間を、静かに、そして素直に振り返る事が出来た。しかし、一方で慣れない新人監督・夏目と映画スタッフとの間の溝はさらに深まっていた。
撮影は「遠い海辺」のロケとなった。新田がミュージシャンとして成功し、別れた苗子と再会するシーンである。信子の台詞が突然出なくなった…何度やり直しても台詞が出てこない…。
撮影は順延となった。

“夏目と信子の物語”といっても、脚本に書かれている苗子(=信子)の気持ちは、夏目の一方的な感情でしかなかったからである。苗子の台詞…つまり、信子の気持ちは信子自身でしかわからない。信子は、夏目の書いた台詞がどうしても納得出来なかった。
「夏目くん…」
監督と女優の立場を超え、初めて互いの気持ちが交錯する。その時、スタッフから信子を避難する声が聞こえてきた。いきなりスタッフに殴りかかる夏目。摩擦はピークを迎えてゆき、夏目はスタッフからしだいに無視されていった…。

撮影日程の遅れもあり、現場も焦りはじめてきた。バラバラになったスタッフを懸命に仕切り、堪えていた田村。夏目はその田村ともついに意見が対立し、言い争いとなってしまう。田村は撮影を降りてしまった。
配給見送りの通達が追い打ちをかけ、映画は暗礁に乗り上げてしまう…。

スタッフ

監督・脚本・音楽: 小田和正
プロデューサー: 吉田雅道
柘植靖司
桜井 勉
石矢 博
撮影: 西浦 清
今井裕二
照明: 市川元一
録音: 安藤邦男
美術: 小川富美夫
助監督: 武田秀雄
製作担当: 梶川雅也
スクリプター: 長坂由起子
製作: ファーイーストクラブ
バンダイビジュアル
ファンハウス
製作・配給協力: シネマ・クロッキオ
配給: ファーイーストクラブ

キャスト

夏目草介: 渡部篤郎
   
一ノ瀬信子: 中島ひろ子
カメラマン・田村: 尾藤イサオ
ミュージシャン・和泉: 河相我聞
助監督・真下: 林 泰文
スクリプター・松井: 角替和枝
レコード会社・朝妻: 武田鉄矢
照明技師・しげさん: 泉谷しげる
プロデューサー滝川: 大友康平
   
オフィス松山社長: 津川雅彦

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す