神。その翳(かげ)と光。 ロッテルダムの運河に、家族の愛と哀しみが揺れる。

☆98年アカデミー賞外国語映画賞受賞 ☆97年カンヌ国際映画祭批評家週間出品 ☆97年東京国際映画祭ヤング・シネマ・コンペティション出品 ☆98年パリ映画祭グランプリ受賞

1996年オランダ映画/カラー/ヴィスタサイズ/ドルビー/2時間5分 製作:ファースト・フロア・フィーチャーズ/提供・配給:アルシネテラン

2001年2月2日DVD発売 1998年9月12日より、シネマスクエアとうきゅうにて公開!

公開初日 1998/09/12

配給会社名 0013

解説

窓辺に一人の女性が佇んでいる。視線は曇ったガラス窓を通じて遠くに放たれてはいるが何かを見ているということでもないようだ。髪を無造作に後ろでたばね、肩から手編みのショールをかけて手にはタオルのようなものを下げている。倉庫のような巨大な建物の薄暗い部屋の隅に一人の人物が座っている。カメラは真正面のその人物に迫っていく。やがてその人物の鋭い目と残薄な表情がカメラに捉えられる。額に刻まれた深いシワ。顎まで覆う白いヒゲ。…オランダの誇る画家フェルメールやレンプランドの名画の数々を思わず重ね合わせてしまう作品、それが98年のアカデミー賞の外国映画賞を獲得したオランダ映画『キャラクター/孤独な人の肖像」です。舞台は1920年代のロッテルダム。この運河の町に住むある男とその息子、その母親、この3人の愛と憎しみの物語が烈しく緊張感をもって描かれます。人間にとってもっとも基本的な“家族”という人間の関係。映画は重い雲の垂れ込むロッテルダムという古い港町に、そうした厄介で永遠の課題を丹念に、重厚に繰り広げていきます。映像は美しく、カメラは流麗で、俳優たちは上い、アカデミー賞受賞のゆえんがここにあります。

ストーリー

ロッテルダムでヤコブという青年が逮捕された。容疑は殺人である。強欲で鳴る金融業の老人ドレイブハーブンの死体が発見され、生前、最後に会ったのがヤコブだった。彼には動機が十分にあったと見なされていた。時代はさかのぼる。港町ロッテルダムを仕切る酷薄な税務執行官ドレイブルハーブンはある日、メイドのヨバに強引に関係を迫る。ヨパは彼の許を去り、やがて男の子を出産する。ヤコブである。ドレイブハーブンは無骨極まりない男で実はヨブに惚れていたのだった。同じ町にひっそり暮らすヨバに何回も郵便で結婚を申し込むがヨバは頑として受け付けない。貧しいが母と子の暮らしは平穏だった。やがて“父なし子”とからかわれるヤコブの心にいつしか父親像が育っていく。肉体労働をしながらたくましく育ったヤコブはなかなかの商才を発揮し、商売を始めるが結局は失敗、破産宣告を受ける。彼に思想的影響を与えたのは下宿人となったヤンだった。彼は社会主義政党に属する理想主義者だった。やがてヤコブは弁護士事務所で働くようになり、そこで本格的に弁護士を目指して勉強を始める。そして、その事務所の美しい女性秘書ローナに恋をする。残薄な男ドレイブハーブンが自分の父であることはいつの頃からか知ってはいたが、その父が彼の人生にこの辺りから深くからんでくる。ある時に債権者として、ある時は彼がピンチを救う金貸し業者として。その変容ぶりはヤコブにはとても理解出来ないが、実はドレイブメハーブンの心奥には常人には理解しえない、屈折した想いが“息子”ヤコブに対して育まれていたのであった。弁護士資格を習得した嬉しい夜、ヤコブはたった一人で時を過ごすドレイブルハープンの事務所に乗り込む。今までの抑えに抑えていた感情を激しくぶつけあう二人。憎悪のありったけを剥き出しにして殴り合う二人。そして翌朝、ドレイブルハーブンの死体が発見された。

スタッフ

監督 ………… マイケ・ファン・ディム
脚本 ………… マイケ・ファン・ティム
ローレンス・ヘールス
ルット・ファン・メーヘン
製作 ………… ローレンス・ヘールス
撮影 ………… ロヒール・ストッフェルス

キャスト

ヤン・デクレール
フェジャ・ファン・フェット
ベティ・スヒュールマン
タマル・ファン・デン・ドップ

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