★「キネマ旬報」誌86年度ベストテン第10位 ★「映画芸術」誌86年度ベストテン第4位

1986年(大映)/日本映画/Cビスタビジョン/上映時間85分

2008年02月22日よりDVDリリース

公開初日 1986

解説

「維新で世の中は変わったけれども、民衆の気持ちはそこに反映していただろうか。”ええじゃないか”に見られるように、世の中を変えたのは本当は民衆の力にあったというのがぼくの持論。あの時代にジャズがあったら、世の中もっと変わっていたのでは・・なんて幻想を抱いて撮っています。」
(岡本喜八・昭和61年3月8日読売新聞記事より)

ストーリー

 南北戦争が終わり、解放された黒人奴隷のジョーはバーモント近くの激戦地跡で弟サム、従兄ルイ、叔父ボブの三人と再会。彼らはニューオリンズから船に乗り、故郷アフリカへ帰る為に楽隊をやって船賃を稼ごうと演奏を始めた。ボブのクラリネット、ルイのコルネット、サムの太鼓、ジョーのトロンボーンで演奏するうち、曲は次第に陽気になり四人は夢中になって来た。四ヶ月経ちメキシコ商人にだまされた四人は香港行きの船の中だった。ある日ボブが鳴らなくなったクラリネットを前に病気で死んだ。太嵐の中、三人はボートで船から逃げ出した。ボートは駿河湾の庵原藩に打ち上げられた。藩主・海郷亮勝は大の音楽好き。彼には女らしい文子と、少年のように勇ましい松枝という二人の妹がいた。三人は医師・幻斉の所に運び込まれる。亮勝らは彼らに人目会いたいと望むが、家老の石出九郎は許可しない。江戸幕府からは黒人達の処分は亮勝に任せるとの命令が入った。亮勝は城の地下座敷牢に三人を入れた。江戸からお世継ぎ誕生の知らせが来た。亮勝は喜ぶが、松枝の一言でこの子が不義の子だとわかる。監督不行届を恥じた九郎右絵エ門は切腹すると騒ぎ出す。亮勝は切腹と引き換えにジョー達に会い、鈴川門之助を通訳に、この地にだとり着くまでの話を聞いた。そして、サムが桶を引っくり返して火鉢で叩き始め、三人はジャズ演奏を始める。亮勝はボブのクラリネットを直して吹き始めた。格子戸を外した座敷牢はステージに一変した。彼らの演奏に城中の物が鼓に横笛、琵琶、琴、桶、鍋、三味線等で加わり、大ジャズセッションが始まった。その上を討幕派、幕府の兵、一揆の百姓達が駆け抜ける。亮勝が彼らの為に、城を開通させたのだ。やがて夜があけ新政府軍、殿銃隊が朝もやの中に消えて行く。時は「明治元年」。イエーッ!

スタッフ

製作:山本洋、小林正夫
企画:島田開、鈴木良紀
プロデューサー:室岡信明
原作:筒井康隆
監督・脚本:岡本喜八
脚本:石堂淑郎
撮影:加藤雄大
美術:竹中和雄
録音:田中信行
照明:佐藤幸次郎
音楽:筒井康隆、山下洋輔
制作協力:大映映像株式会社、株式会社喜八プロダクション

キャスト

海郷亮勝:古谷一行
石出九郎右絵エ門:財津一郎
文子姫:神崎愛
松枝姫:岡本真実
玄斉:殿山泰司
鈴川門之助:本田博太郎
由比軍太夫:今福将雄
中山八兵エ:小川真司
過激派(赤坂数馬):利重剛
メキシコ商人(アマンド):ミッキー・カーチス
薩藩(益満休之助):唐十郎(特別出演)
ジョー:ロナルド・ネルソン
ルイ:ファーレズ・ウィッテッド
サム:レニー・マーシュ
アンクル・ボブ:ジョージ・スミス
特別出演:細野晴臣、山下洋輔、タモリ

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す