原題:Trouble Everyday

逃げられない哀しみの中に囚われた、2人の怪物(ガーゴイル)

2001年/フランス・日本/カラー/100分/アメリカンビスタ/ 配給:キネティック

2005年03月04日よりビデオレンタル開始 2005年03月04日よりDVDリリース 2003年10月23日よりDVD発売開始 2003年10月03日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年11月2日よりシネ・アミューズにて公開

公開初日 2002/11/02

配給会社名 0026

公開日メモ 逃げられない哀しみの中に囚われた、2人の怪物(ガーゴイル)

解説


最愛の人をそばに置き、互いに求めあいながらも、愛し合う喜びを分かちあうことはできない。姿かたちは人間でも、内に巣食う抑え難い欲望。日々肉体と精神を蝕まれながら、愛する者を守るために、別の対象を見つけなければならない2人の哀しいガーゴイル——。
クレール・ドゥニ監督の最新作『ガーゴイル』は、心と性の闇の部分を、極限的な状況のなかに描き出した衝撃のラブストーリー。2001年カンヌ国際映画祭の招待作品としてワールド・プレミアされ、深夜2時を回って終了した上映会場は割れんばかりのスタンディング・オベーションに包まれた。その喝采の中央に、主役たちに囲まれたクレール・ドゥニの姿が、そして製作に援助を惜しまなかったアニエスb.の姿があった。

ハネムーンで冬のパリを訪れたアメリカ人のシェーンとジューンは、誰の目にも幸せの真っ只中に見えた。しかし、夫のシェーンはなぜか妻を抱こうとしない。一方、パリ郊外の屋敷で、夫に監禁されて暮らすフランス人コレ。部屋の鍵を壊しては夜の街をさ迷う彼女の行動は、真実を知る夫セムノーの心を悩ませていた。愛し合いながらも危険な匂いをはらませた二組のカップル。無関係にみえた謎が交差するとき、愛の哀しみは恐怖の叫びに変わる…。

“ガーゴイル”とは、恐ろしい魔物に姿を変えられてしまった神である。愛の業火に焼かれた二人の主人公、シェーンとコレの心の姿を哀しく象徴している。シェーン役には、監督・俳優・ミュージシャン・画家としてプロフェッショナルな才能を発揮しつづけるヴィンセント・ギャロ。記録的大ヒット作『バッファロー66』で演じたナイーブでナチュラルな役柄とは一転し、新妻だけは自分の犠牲にするまいとして、ついにホテルのメイドを殺してしまう悲劇を見事に体現している。共演のコレ役にはその過激な肉体性で映画を輝かせる永遠のファム・ファタル、ベアトリス・ダル。新妻ジューン役は、ジム・ジャームッシュ監督の『ゴーストドッグ』(99)で可憐な存在感を示したトリシア・ヴェッセイ。夫の心を理解できない悲しみをその大きな瞳に映す演技が印象的だ。
不吉な夕焼けに映えるセーヌ川。衝撃の結末さえも目の離せないものにするスタイリッシュな映像。撮影は名手アニエス・ゴダール。そして、恋人たちの運命を予言しながら、パリの街を密やかに包み込む叙情的な音楽をティンダースティックスが書き下ろしている。

ガーゴイル[gargoyle]
伝承モンスター
背中にコウモリのような翼を生やした、恐ろしい姿をした怪物。
西洋の家屋や教会に設置されていることが多い。
本来は家屋の雨樋や噴水に置かれ、その口から水を吐いている。
元々神であったものが、キリスト教の普及で魔物に変化したと思われる。
豊穣の神であり、冥界の住人で、水を司る存在であったらしい。
ガーゴイルという名は、古フランス語ガルグイユ[gargouille]からきている。
これは、「喉」をあらわす単語である。

ストーリー


ハネムーンでパリを訪れたシェーン=ブラウン(ヴィンセント・ギャロ)とその新妻ジューン(トリシア・ヴェッセイ)。誰の目からも幸せそのものに見えるアメリカ人のふたり。
しかしシェーンにはハネムーンのかたわら、この街で自分の病の鍵を知る昔の同僚、レオ・セムノー医師(アレックス・デスカス)とコレ(ベアトリス・ダル)を探すという隠された目的があった。彼はもはや抑え難い衝動を肉体と精神に抱えていたのだ。それは、愛の行為のさなかに、相手を死に至らしめてしまうほど異常に高まってしまう衝動。決して自分に触れようとしない夫が何を考えているのか分からないジューンは戸惑うが、彼女は夫の過去と真実を知る由もない。
一方、パリ郊外の屋敷で夫に監禁されながら暮らすコレは、シェーンと同じ衝動に支配され、今や末期的な症状に苦しんでいた。ようやくセムノー家を探し当てたシェーンが見たものは、血まみれの彼女の姿だった。その鮮血は彼女の欲望の果てに噛み殺された隣家の美しい青年のものだった。シェーンは全てを理解し、この世界の苦悩から解放してやるため彼女に手をかける。もしコレが未来の自分の姿だとしたら、ジューンヘの愛は恐ろしい結果を生むに違いない。何も真相を知らない美しいジューンを連れ、シェーンはパリを後にする。その後、彼らが宿泊していたホテルから、無残に殺された美しいメイドの死体が発見される…。

スタッフ

監督:クレール・ドゥニ
脚本:クレール・ドゥニ、ジャン=ポール・ファルジョー
プロデューサー:ジョルジュ・ブネコン、ジャン=ミッシェル・レイ、フィリップ・リエジョワ
共同プロデューサー:三尾和子、塚田誠一
アソシエイトプロデューサー:フランシス・ダグリエルミ
撮影:アニエス・ゴダール
編集:ネリー・ケティエ
プロダクション・デザイナー:アルノード・モレロン
コスチコーム・デザイナー:ジュディ・シュールスペリ
キャスティング:ニコラ・リュプラン、リシャール・ルソー、ジェームズ・カレリ
音楽:テインダースティック
ファーストアシスタントディレクター:ガブリエル・ジュリアン=ラフェリエール
サウンドミキサー:エマヌュエル・クロセ
レコーディング:ドミニク・エスカン
サウンド:ジャン=ルイ・ユゲット
サウンドエディター:クリストフ・ウインディング
スクリプトスーバーバイザー:ゾー・ズルストラッセン

キャスト

シェーン:ヴインセント・ギヤロ
ジューン:トリシア・ヴェッセイ
コレ:ベアトリス・ダル
レオ:アレックス・デスカス
クリステル:フロランス・ロワレ=カイエ
エルヴァン:ニコラ・デュヴオシェル
リュド:ラファエル・ネル
ショアール:ジョゼ・ガルシア
マレコー:エレーヌ・ラピオヴァル
フリッセン:マリル・マリー二
ジャンヌ:オロール・クレマン
夜警:パカリー・サンガール
受付:リオネル・コルドスタン
パーにいた女性:セリーヌ・サミ
トラックドライバー:アルノー・シュラン
クリステルの友だち:スリマーヌ・プライミ
地下鉄の若い女性:アリス・ユーリ
地下鉄の女性:ヴェラ・シディヴァル
ホテルのメイド:シーラ・ルカス・モルナール
ホテルのメイド:ネリ・ザルガリアン
ホテルのメイド:ローザ・ニュリー

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