2016年/フランス=ベルギー合作/フランス語/カラー/シネマスコープ/1時間55分/ 配給:キノフィルムズ/木下グループ

2017年9月30日、 シネスイッチ銀座他にて全国順次ロードショー

© Nord-Ouest

解説

『青いパパイヤの香り』『夏至』『ノルウェイの森』の
トラン・アン・ユン監督が、
花と緑に囲まれたフランスの美しい邸宅を舞台に
3世代の女性たちの命の輝きを描く感動の物語
ヴァランティーヌがジュールと結婚した理由は、19世紀末フランスの上流階級においては少し変わっていた。親が決めた婚約を自分で破棄したのだが、それでも諦めないジュールに初めて心を動かされたのだ。夫婦の愛は日に日に深まっていったが、病や戦争で子供たちを失ってしまう。そんなヴァランティーヌに再び喜びをくれたのは、無事に成長した息子のアンリと幼なじみのマチルドの結婚だった。マチルドの従姉妹のガブリエルと夫のシャルルとも頻繁に交流するようになり、大家族のような賑やかで幸せな日々が続く。だが、運命は忘れた頃に意外な形で動き始める──。
長編映画監督デビュー作『青いパパイヤの香り』でカンヌ国際映画祭のカメラ・ドールとユース賞をダブル受賞し、その後も『シクロ』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝くなど、世界がその才能に感服したトラン・アン・ユン。近年では、村上春樹の大ベストセラー『ノルウェイの森』の映画化を許された名匠の最新作が、遂に日本にもやって来る。
原作はフランスで最も権威のある文学賞の一つであるフェミナ賞の最終候補にもなった作家のアリス・フェルネが、華やかなベル・エポックから幕を開け、やがて激動の時代へと突入していくフランスを舞台に書いた小説。12歳の時に戦争から逃れるために故郷ベトナムを離れ、脈々と続く家系や親族同士のつながりを知らずに生きてきたトラン・アン・ユンが、そこに描かれた大家族の絆に心を揺さぶられて映画化を決意。時に運命に揺れながらも日々の暮らしを慈しみ、あふれる愛を未来へとつないでゆく3世代の女性たちの人生を描く。

フランス3大女優の稀有なる共演で贈る
観る者すべてを幸福感に包む人生讃歌

ヴァランティーヌには、大ヒット作『アメリ』で世界中の映画ファンを虜にし、『ココ・アヴァン・シャネル』でセザール賞と英国アカデミー賞にノミネートされたオドレイ・トトゥ。17歳で婚約し、喜びも悲しみも抱きしめながら、何人もの孫に囲まれるまでの女の一生を演じきった。マチルドには、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』から感動作『オーケストラ!』まで、多彩な役を演じ分けるメラニー・ロラン。初恋の相手と結婚し、夫と子供への愛に生きた女性を艶やかに演じた。ガブリエルには、『アーティスト』でアカデミー賞®とゴールデン・グローブ賞にノミネートされたベレニス・ベジョ。親が決めた結婚に戸惑いと不安を抱いていたが、愛とは自分たちで育てていくものだと気付く女性をドラマティックに演じた。その他、ヴァランティーヌの息子で、マチルドの夫のアンリに、『サンローラン』でセザール賞にノミネートされたジェレミー・レニエが扮している。
映像の名手と言われるトラン・アン・ユンと、名画のような美麗な映像を作り上げたのは、トラン・アン・ユンの『夏至』と『ノルウェイの森』を担当し、『花様年華』で全米批評家協会賞など数々の賞に輝いたリー・ピンビン。


その美しさと類稀なる演技力で世界から称賛される、フランスの3大女優の夢の競演で描かれるのは、伝統を大切にする人たちの丁寧な暮らしぶり。季節の花が咲き誇る庭に、代々受け継がれてきた調度品が並ぶ邸宅。そこで営まれる、お茶の時間や一族の食事会、子供たちのピアノやバレエの練習風景が丹念に映し撮られる。さらに、穏やかな日々にさざ波を立てる、結婚や誕生の歓喜の時と、死や別れの悲しみの時。そのすべてが人生の美しい瞬間であり、世代から世代へと愛が受け継がれることで、私たちの輝きも“エタニティ=永遠”なのだ。命の素晴らしさを祝福するラストシーンで、観る者すべてを幸福感に包む人生讃歌が完成した。

ストーリー

 19世紀末、フランス。色とりどりの花々が咲き誇り、樹木が茂る広い庭のある邸宅で、両親から深い愛を受けて育ったヴァランティーヌ(オドレイ・トトゥ)。17歳になった彼女は、先方からの希望でジュールと婚約するが、考えた末に解消する。しかし、ジュールは諦めず、そんな彼の純粋さに惹かれたヴァランティーヌは結婚を決意する。

6人の子供たちに恵まれ、満ち足りた人生を送っていたヴァランティーヌに、生まれて間もない赤ん坊が亡くなるという、初めての不運が襲い掛かる。それを機に、まるで手にしたものが奪われるように、結婚20年目を迎えた年にジュールが急逝する。夫を失った悲しみが消えることはなかったが、子供たちの中に宿る夫の存在をふと感じるたびに、心が癒されるのだった。

ところが、第一次世界大戦が始まり、一番上の双子の息子たちが徴兵される。まもなくヴァランティーヌは、同じ日に2通の戦死通知を受け取る。母は息子たちの最後の顔さえも見ることは叶わなかった。

そんなヴァランティーヌを静かな幸せで満たしてくれたのは、二人の娘たち、マルゴとエリザベットの成長だった。だが、そのエリザベットも病のために若く美しい命を散らす。

暗雲に覆われた日々に、息子のアンリ(ジェレミー・レニエ)が、明るく暖かな光を届けてくれる。両家の親が望んでいた、幼なじみのマチルド(メラニー・ロラン)との結婚を決めたのだ。その輝きも、マルゴが修道院へ入ることを決めた時に翳りを見せるが、やがて初めての孫を抱く喜びが、再びヴァランティーヌを元気づける。

マチルドには、互いに“幸せでいてほしい”と心の底から願う親友がいた。ガブリエル(ベレニス・ベジョ)という姉妹同然に育った従姉妹だ。ガブリエルは親同士が決めた相手、シャルル(ピエール・ドゥラドンシャン)と結婚する。最初はうまくいくか不安に駆られていたガブリエルだが、まだ愛していないが、愛は学ぶものであり、君を愛し続けると約束すると率直に語るシャルルの誠実さに、安らぎと情熱を見出していく。

マチルドとアンリ、ガブリエルとシャルルは同じ建物の部屋に暮らし、毎日のように行き来していた。ヴァランティーヌも、失った娘たちに代わって、マチルドを実の娘のように可愛がり、その親友であるガブリエルも受け入れる。それぞれの子供たちも増えていき、さながら大家族のような賑やかで心躍る日々が続いていく。だが、光が輝けば影もまた強くなり、胸躍る出会いの後には、切ない別れが訪れる。──ヴァランティーヌとその愛しい家族たちの運命が、激しく動こうとしていた──。

スタッフ

監督:トラン・アン・ユン

キャスト

オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョ、ジェレミー・レニエ、ピエール・ドゥラドンシャン

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