原題:ANIMALS

探しものは自分。

1998年カタルーニャ国際映画祭最優秀監督賞受賞、最優秀作品賞ノミネート 1998年カルロヴィ・ヴァリ国債映画祭 クリスタル・グローブ賞ノミネート 1999年ファンタスポルト国際映画祭ファンタジー映画賞ノミネート

1998年12月30日フランス初公開

1997年/アメリカ映画/カラー・一部モノクロ/ドルビーSRS/103分 配給:キングレコード=シネマストリーム

2002年3月6日DVD発売/2002年3月6日ビデオ発売&レンタル開始 2001年5月26日よりシアター・イメージフォーラムにて公開

公開初日 2001/05/26

公開終了日 2001/06/22

配給会社名 0109/0108

公開日メモ 世界は魔法に満ちている。

解説



『夢の旅路』は、ある平凡な男が三人の”賢者たち”に出会い、人生の楽しみや哀しみを経験していく様子を描いた、切なくてやさしいラブ・ファンタジーである。若き新鋭監督・脚本家であるマイケル・ディ・ジャコモによるこの長編映画は、彼にとってスクリーン・デビュー作であり、ティム・ロスを始め多くのベテラン俳優たちによって創り上げられた彼の自信作である。

今回、監督・脚本を務めたマイケル・ディ・ジャコモは、ニューヨーク大学在学中に、数々の短編映画を撮り、学生時代から彼の才能はすでに話題になっていた。ロサンゼルス・タイムズでは、「この非凡な才能に溢れた若き監督は、すでに独自の映像美と文学的感覚を表現できる数少ない人物である。」と絶賛している。彼の短編映画”the lost treasure of captain cornelius ‘deadeyes’tuckett”は、映画芸術アカデミー賞(学生部門)で受賞したほか、数々の賞を受賞してきた。

ディ・ジャコモがこの作品の企画を温めていた時、彼自身、友人や知人たちが次々と自分たちの夢を失い、ドラッグや酒で命を落とすといった悲しい現実を見、その体験を元に人が誰しも一度は考える人生の分岐点、理想と現実の姿というものを映像に残したいという思いから、脚本に着手している。ちょうどその頃、ハリウッド映画に辞易していたティム・ロスに出会い、お互いの感性と才能の一致を見た二人は、今作のコラボレートをスタートさせた。実際ディ・ジャコモが脚本を書いている横で、ティムが即興演技をして台詞を考えたりといった二人の共同作業で脚本が練り上げられていったという。(ティムは本作の撮影終了後・初監督作『素肌の涙』の製作に入っている)。

この”夢”という存在し得ないものを映像化しようとしたディ・ジャコモの創造的意図からもわかるように、本作品にはシンボリックな描写が随所に見られる。ファティマがヘンリーとの初夜を迎えた後、ロウソクの芯を彼の足の指にくくりつける場面は、彼らの結婚式を意味している(ロウソク=人生、芯をくくりつける=結婚指輪をはめる)。またヘンリーがファティマのかぶった塩を持ち帰り、ベッドに敷きつめて寝る場面は、実はヘンリーとファティマの間接的性行為を意味している。さらに作品中たびたび登場する天使は、ヘンリーの心情の変化を微妙に表現しており、彼にとって守護神に見えたり悪魔に見えたりする。などなど、本作には他にもたくさんの隠れた意味がちりばめられており、観客一人ひとりが、自らの解釈で自由に想像し、楽しめる構成になっている。監督のディ・ジャコモは言う。「この作品はぜひあなたの心や頭で感じてほしい作品です。多くのハリウッド作品のように、心じゃなく腹で感じるような作りにはなっていないからね」。

ストーリー


序章:料金所の監視員
1933年、アメリカ・ユタ州の砂漠の真ん中にひとりの料金所監視員がいると聞いて、フランスのドキュメンタリー撮影のグループは彼を探しに出かけた。彼は誰も通らない料金所を監視しており、お気に入りのチューバを片手に愛犬とつつましい暮らしをしていた。
そんなある日、ついに一台の車が料金所に向かってやってきやのだ!料金所の横でチューバを吹きながら歓迎する監視員。しかし車はあっけなく料金所のわきを通り過ぎていった。こうして、撮影を終えたフランス人達もその場を後に、監視員に別れを告げた。

ニューヨークでしがないタクシー・ドライバーとして働くヘンリーは日々の喧騒の中、退屈な自らの人生に対する憤りを感じていた。ある日、タキシードに身を包んだ男が客として彼のタクシーに乗っていたが、ヘンリーはその彼に持ち金を全て持って行かれてしまった。そこへ、どこからともなく現れた三人の老人たちが彼のタクシーに乗り込み、ヘンリーは仕方なく彼らの言うとおりに車を走らせた。途中ヘンリーは三人の老人の様子から、彼らが金を持っていないこと、目的地は決まっていないことなどを知る。

旅の途中、ヘンリーの乗せた三人の老人の一人が突然亡くなってしまった。二人の老人はヘンリーに”愛する運命の人”を探すよう旅に出ること勧め、運命の人は出会った瞬間にわかる筈だと告げた。こうして、ヘンリーの人生の旅がはじまったのだ。

ヘンリーは当てもなくタクシーを走らせていたが、突然彼の前に自転車で現れた女性を見かけ、瞬く間に恋に落ちてしまった。彼女の名前はファティマ。ヘンリーはファティマに求愛するが、彼女にはヘンリーの思いをはねのけてしまうほどの暗い過去があった。
そんないとおしいファティマを見ていたヘンリーは、二人で”楽園”に向かって旅立つことを決意した。二人は”楽園”を目指してタクシーを走らせるが、なかなか目的地に辿り着けなかった。というのも、二人にとって目的地である”楽園”たどこにあるのかわからなかったからである。こうしてある崖に辿り着いた二人。ヘンリーはこの崖を超えれば”楽園”たあると信じ、ファティマも制止を振り切り、ひとり車で崖に飛び込んでしまう。

コーダ(終章)
崖から落ちたヘンリーは、あのフランス人の撮影チームに出くわし、自分が違う世界に行ってしまった事に気づく。ここに存在する人たちは何故か楽しそうにしており、遠くでは、あの料金所の監視員がお得意のチューバを高らかに吹いていた…。

スタッフ

脚本&監督:マイケル・ディ・ジャコモ
製作:ガブリエル・ターナ
撮影:エリック・サカロフ
音楽:ロバート・シミノ
衣裳デザイナー:パメラ・スミス
編集:デービッド・レオナルド
キャスティング・デザイナー:ジュリエット・メナガー、リサ・フィンカノン、スージー・ランドー

キャスト

ヘンリー:ティム・ロス
ファティマ:ミリー・アヴィタル
タキシード男:ジョン・タトゥーロ
料金所の監視員:ミッキー・ルーニー
フォンティナ:ロッド・スタイガー
若きローラン:ローテル・ブリュトー
イッセー:オーラン・ジョーンズ
スウィート:ポタタ:クリス・フェンネル
ファティマの母親:バーバラ・ベイン
フェリッペ:ラウール・デルフォッソ
アンリ:フランシス・ボウク
若きアンリ:ジャニー・ロフラー
黒天使:ジョニー・シニコーラ

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