原題:LA VIE DE JE

1997年カンヌ国際映画祭、カメラドール特別賞、 1997年ジャン・ヴィゴ賞他多数受賞 1997年モントリオール国際映画祭出品 1997年トロント国際映画祭出品 1998年シンガポール国際映画祭出品

1997年6月4日フランス公開

1997年/フランス/96分/ 配給:ビターズ・エンド

2001年5月12日よりBOX東中野にてロードショー公開

公開初日 2001/05/12

公開終了日 2001/06/22

配給会社名 0071

公開日メモ フランス北部、バイユール。父を亡くし母親と二人で暮らす青年フレディは、職もなく、恋人マリーと自宅で愛を確かめ合ったり、同じように職のない仲間たちとバイクで街を飛ばす毎日を送っている。

解説


◆バイクを飛ばす、無軌道な少年のやり場のなさを描く『ジーザスの日々』。若さが抱えるさまざまな問題を圧倒的な描写で捉えたこのデビュー作で、デュモンはすでに、いわゆる青春映画のイメージとは一味違った人物像を投げかけ、独自の世界を創出する。主人公のフレディは、恋人マリーや仲間の目の前で、てんかんの発作を起こしてしまったり、バイクの急停止が出来ずに転んで肩をすりむいたりと、自分自身をうまくコントロールすることができず、苛だち、不機嫌さを抱えている少年である。その一方で、彼は人並み以上のやさしさを持っている。彼は友人の兄のエイズ死に出会って動揺しながらも、その友人に気遣ったり、飼っている小鳥に鳴き方を教えて町の鳴き声コンテストで優勝するまでになる。そうした彼の“生(なま)”の姿を丸ごとと捉え、時には危なっかしく、滑稽でもある彼の日常と、心の揺れを丹念に見つめていく。
日々の退屈さはフレディとマリーをセックスの喜びに埋没させる。彼らはフレディの部屋で、そして人気の無い野原に遠出して何度も激しく求め、抱き合う。また、フレディと彼の仲間たちは、バイクで町外れまで遠出して走り回ったり、町のブラスバンドに入隊し、休日のパレードに参加したりしている。仕事のない彼らは、時に車との”チキンレース”をしたり、少女へのレイプ騒動さえ起こしたりと、無自覚なまま行動をエスカレートさせていく。しかし、映画は人種差別問題で決定的に急転する。マリーに付きまとうアラブ人少年カデールの出現がフレディの心に歪みを生む。彼をアラブ人故に差別することに何の疑問を持つこともないフレデイは、恋敵だからだけではない、激しい憎しみを募らせる。そして、カメラは、その憎しみが生んだ狂気—カデールヘの暴行の瞬間を、手を下すフレディの顔と眼差しを捉えることで、強烈に刻み付ける。そこには、極限的な狂気の恐ろしさが、圧倒的な強さで映し出される。◆デュモンによれば、この長編第1作のアイデアは、エルネスト・ルナンの同名の著書「イエスの生涯」に始まっているという。イエスを、奇蹟を起こす聖人としてではなく、一人の人間として描いたルナンを受けて、脚本はその精神と理念、ヒューマニズムを残し、新たな物語として書かれた。この作品のプロデューサーとなったジャン・ブレアとラシド・ブシャルの目に触れた脚本は、たちまち彼らを魅了し製作が決定する。プロデューサーはさまざまな俳優をキャスティングに提案したが、デュモンは確信を持って、この第1作のキャストをすべて素人でいくことを主張したという。その結果、キャストはバイユールの町の求職者ファイルからオーディションによって選ばれそれぞれが他に代ることのできない独自の魅力を発揮している。現代という幻滅の時代の閉塞の中で、未来を見出せない若者が差別から起こす暴力を描き切ったこの作品は、人間誰もが一歩間違えれば落ち込むかもしれない心の闇を覗きこむ。そして、逮捕後、主人公のフレディが警察での尋問を飛び出し、罪を犯した現場で涙を流すとき、映画は、償いへのわずかな希望を映し出すのである。

ストーリー


フランス北部、バイユール。父を亡くし母親と二人で暮らす青年フレディは、職もなく、恋人マリーと自宅で愛を確かめ合ったり、同じように職のない仲間たちとバイクで街を飛ばす毎日を送っている。癲癇を持つ彼は、治療を受けに病院通いをしているが、発作をみて気遣うマリーに、自らをもてあまし、発作の話はするなと声を荒げてしまう。その一方で、鳥を飼ったり、仲間の兄がエイズで死んでしまうと海までドライブをし、その仲間を励ましてやったりする優しさを持ってもいたフレディ。だが、マリーに思いを寄せるアラブ人青年カデールが現れて、彼の心は揺らぎ、差別と暴力という形となってカデールに向けられていく。そして、事態は悲劇的な展開を迎えた…。

スタッフ

監督、脚本:ブリュノ・デュモン
製作:ジャン・ブレア、ラシド・ブシャル
撮影:フィリップ・ヴァン・レーヴ
編集:ギ・ルコルヌ、イヴ・デシャン
美術:フレデリック・シュシュ
衣装:ナタリー・ラウル、イザベル・サンチェス
音楽:リシャール・キュヴィリエ

キャスト

フレディ:ダヴィット・ドゥーシュ
マリー:マージョリー・コットレール
イヴェット:ジュヌヴィエーヴ・コットレール
カデール:カデール・シャトゥーフ
ジェジェ:セバスチャン・デレベール
クィンクィン:セバスチャン・バイユール

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