フリークスも人間も
原題:OF FREAKS NAD MEN
『ロシア映画の全貌2001』 ソヴィエト連邦が解体して10年、激動の世紀を歩んだ映画大国 ロシアの名作群を共和国の作品も含め一挙69作品上映!
1998年カンヌ国際映画祭監督週間正式出品作品 1999年香港国際映画祭出品
1999年9月8日フランス公開
1998年/ロシア/93分/セピアカラー/35mm/ 配給:アップリンク
2001年6月22日DVD発売&レンタル開始 2001年6月22日ビデオ発売&レンタル開始 2001年2月17日(土)よりユーロスペース、吉祥寺バウスシアターレイトショー同時公開決定!! 2001年、三百人劇場にて公開。8/4 6:00、8/6 12:15、8/9 2:30より
公開初日 2001/02/17
配給会社名 0009
公開日メモ 今世紀初頭のサンクトペテルブルク。2つの裕福なブルジョワ家庭の幸福が、エロティック写真のスタジオを経営する、不吉な男によって破壊されていく……。
解説
セピア色の耽美な世界で・・・
今世紀初頭、リュミエールのシネマトグラフが初めて上映された頃のサンクトペテルブルクを舞台に、二つのブルジョワ家庭がそれぞれのもつ密やかな欲望ゆえに崩壊していく姿を描く。抑えた感情のなかに潜む、倒錯した性欲、金銭欲、かくされたものを観たいという欲望。それらがやがて一人の男によって絡み合わせられ、それぞれの運命を翻弄していく・・・。この映画におけるセピア色の耽美な世界では、腐蝕さえも不思議な魅力を放っている。
ソクーロフ以降のロシア新世代を代表する才能の出現
彼の長編第三作目にあたる前作『サンクトペテルスブルク・ブラザー』は、大衆的な娯楽作品として、ロシア国内で1997年のナンバー・ワン・ヒットを収めた。かたや、第四作目となる本作は、芸術性を追及した純粋なアート映画となっている。商業性と芸術性の両面を兼ね備えた、彼のような才能の出現が、自由な時代を迎えたロシアの象徴とも言えるだろう。
資本主義時代のロシアにおける映画製作
共産主義下で教育を受けた彼が、映画の仕事を始めたとき、ロシアは資本主義国家への道を歩み始めていた。そのため、彼の作品は、一度も検閲を受けたことがない。共産主義との完全なる決別であるかのように、レンフィルムをやめた彼は、自ら映画製作会社CTBを興した。CTBは、99年に5本の映画を製作し、レンフィルムを抜いてロシア国内でNo.1の製作数を持つ会社となった。
新人監督にしてカンヌの常連、バラバノフ
『フリークスも人間も』は、1998年のカンヌ国際映画祭監督週間部門に出品され、大絶賛を受けた。それ以前にも、長編第一作の『SCHASTLIVIJE DNY(HAPPY DAYS)』と『サンクトペテルスブルク・ブラザー』の2作品がカンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されており、彼は、新人ながらもカンヌの常連となっている注目の監督である。本作『フリークスも人間も』は、日本で初めて公開される彼の作品である。
ストーリー
今世紀初頭のサンクトペテルブルク。2つの裕福なブルジョワ家庭の幸福が、エロティック写真のスタジオを経営する、不吉な男によって破壊されていく……。
ヨハン(セルゲイ・マコヴェツキー)とそのアシスタントたちは、SM写真の製作を専門としている。謎めいた魅力を備え持つヨハンは、それらの写真とともに有能な鉄道技師ラドロフと高名な医師スターソフの平和な家庭に近づき、彼らの平穏な生活をじわじわと浸食していく。
ラドロフの愛娘、リーザ(ディナラ・ドルカロワ)は、窓から汽車を眺めては、西に行くことを夢見る美しい乙女。しかし、ヨハンの写真への密かな興味から、彼女の純粋な心は次第に汚されていく。そして父ラドロフの愛人であり、ヨハンの陰の共謀者でもある召使のグルーニャによって、リーザの運命は翻弄されていくのだった。
医師スターソフは、目の不自由な妻エカテリーナと暮らしていた。彼らの楽しみは、養子に迎えたモンゴルのシャム双生児の天使のような歌声を聴くことだった。しかし、ヨハンの手下であるヴィクトルの出現により、この家庭もまたラドロフ家と同じ崩壊への運命を辿るようになる。ここの召使もまた、ヨハンのスタジオで撮られたエロティック写真を常に抱えていたのだった……。
ヨハンは新しい技術“シネマトグラフィー”を使って、女性の鞭打ちの映像を撮ろうとする。彼はリーザに目をつけていた。ヨハンは、彼特有の病的な“方法”でリーザに耽溺していたのだった……。
『フリークスも人間も』は、過ぎし日のロシアを舞台に、イノセンスを眩惑する性的倒錯の中で繰り広げられた、秘密と復讐とが支配す奇怪な物語である。人間の心の内奥に隠された情熱や抗うことのできないエロティシズムへの欲望を、耽美なセピアの世界に描いた。
スタッフ
監督・脚本:アレクセイ・バラバノフ
製作総指揮:マクシム・ヴォロジン
製作:セルゲイ・セリヤノフ、オレグ・ボトゴフ
撮影:セルゲイ・アスタホフ
録音:マクシム・べロヴォロフ
美術監督:ヴェーラ・ゼリンスカヤ
編集:マリーナ・リパルチア
衣装:ナージャ・ワシリエワ
メイクアップ:タマーラ・フリド
キャスト
ヨハン:セルゲイ・マコヴェツキー
リーザ:ディナラ・ドルカロワ
エカテリーナ:リカ・ネヴォリナヴィクトル:ヴィクトル・スホルコフ
コーリャ&トーリャ:アリョーシャ・デョ&チンギス・ツィデンダバエフ
プチー口フ:ワジム・プロホロフスターソフ(医師):アレクサンドル・メゼンツェフ
ラドロフ:イーゴル・シバノフ
グルーニャ:ダリヤ・レスニコワダーリヤ:タチヤナ・ポロンスカヤ
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