原題:Il caiman

「Viva!イタリアvol.2」 第59回おカンヌ国際映画祭コンペ部門出品 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞作品賞・監督賞等6部門受賞

2006年/イタリア/カラー/112分 配給:パンドラ

2015年6月27日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町にて公開

公開初日 2015/06/27

配給会社名 0063

解説


公私ともにさえない日々を送る映画プロデューサーのブルーノ・ボノーモは、ある日、若い女性から渡された脚本の映画化を、二つ返事で引き受ける。だが、それは、とんでもない内容だった・・・。
『夫婦の危機』は、家庭、仕事、イタリア政治の危機を描いた作品である。イタリア公開時には、ベルルスコーニ自身のニュース映像も使い、真っ向から権力批判をした内容の過激さと、モレッティの辛辣で才気あふれる演出ぶりが、観客に熱狂的に迎えられた。カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にイタリア代表として出品され、惜しくも賞は逸したが、イタリア・アカデミー賞に相当する、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の作品賞、監督賞など6部門を制覇している。
原題のIl Caimanoとは、カイマンという巨大な顎をもった種類のワニのこと。思考には向かない小さな脳みそ。巨大な顎は美味しいものを独り占めにして、貪り食うだけの為にある。<カイマーノ>は映画内映画の題名であり、ベルルスコーニを暗喩している。そのベルルスコーニ役はトリプルキャストで、三人目を演じたのはモレッティ監督自身、という複雑な構造だが、難解さとは程遠く、めまぐるしく交わされる会話を味わい、イタリアの政治状況に思いを馳せ、ブルーノに感情移入しているうちに、映画の時間は過ぎてゆく。見事な出来栄えの、まさに快作と言えよう。

ストーリー


ブルーノ・ボノーモは、タランティーノより遥か前に、B級映画の価値を見出したほどの目利きの映画プロデューサーだったが、このところはヒット作に恵まれず、銀行からは借入金返済を迫られ、お抱え監督からは逃げられ、と目も当てられないような毎日。私生活では、かつてはブルーノが製作するB級映画に出演し、人気を博していた妻のパオラは、女優を引退し二人の息子を育てながら、コーラスの練習に励み、充実した日々を送っていた。そしてお定まりのように、ブルーノの度重なる浮気のため、夫婦の仲は今や離婚寸前。新作『コロンブスの帰還』は資金がショート。そんなある日、自作の上映会場で、赤ん坊を抱いた監督志望の若い女性テレーザから、<カイマーノ>の脚本を渡される。切羽詰まっていたブルーノは、短編経験しかないテレーザを、無謀にも<カイマーノ>の監督に起用したが、案の定、現場は混乱。改めて脚本をじっくり読むと、イタリア首相ベルルスコーニ(※)を糾弾する映画だった。だが、分かった時には後の祭り・・・。

※ベルルスコーニ  シルヴィオ・ベルルスコーニ Silvio Berlusconi
1936年ミラノ生まれ。イタリアの元首相で実業家。1994年から2008年まで通算9年間、首相の座にあった。テレビ局を始め多くの企業の経営者であり、世界有数の資産家。汚職やセックス・スキャンダルにまみれていて、物議をかもす発言も多いが、批判されても頓着することなく、言いたいことを言い、したいことをする人物として知られている。

スタッフ

監督:ナンニ・モレッティ

キャスト

シルビオ・オルランド
ジャスミン・トリンカ

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