原題:Las brujas de Zugarramurdi

<スペイン・アカデミー賞(ゴヤ賞)>最多8部門受賞 (助演女優賞(テレール・パベス)、編集賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイク&ヘアメイク賞、特殊効果賞、録音賞、プロダクション賞) <トロント映画祭 2013>MIDNIGHT MADNESS 部門出品 <サンセバスチャン国際映画祭 2013> アウト・オブ・コンペティション部門出品 <ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭> インターナショナル・コンペティション部門 最優秀作品賞受賞 <第 34 回ファンタスポルト>長編コンペティション部門 特殊効果賞受賞

2013 年/スペイン/スペイン語/カラー/114 分/R-15 配給:松竹

2014年11月22日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田 2014年11月29日(土)より、名古屋ピカデリー、福岡中洲大洋 ほか全国順次公開

(C)2013 ENRIQUE CEREZO P.C., S.A.? LA FERME PRODUCTIONS?ARTE FRANC ECINEMA

公開初日 2014/11/22

配給会社名 0003

解説


孤高の天才か、それとも狂気の破壊者か!?
スペインが世界に誇る型破りな才能、 監督:アレックス・デ・ラ・イグレシアの世界

パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリといった不世出のアーティストを輩出してきたスペインは、言わずと知れた芸術と情熱の国。映画史上においてもルイス・ブニュエル、ペドロ・アルモドバルらの希代の才能を生み出してきたこの国は、世界的に見ても極めてユニークな映画の産地として名高い。そんなスペイン映画界で今、偉大なる先達たちの濃厚なラテンの血を受け継ぐかのように、驚異的な傑作&怪作を連打している型破りなフィルムメーカーがいる。その名もアレックス・デ・ラ・イグレシア。俗に言う“天才と狂気は紙一重”なる表現が、これほどふさわしい監督にはそうそうお目にかかれるものではない。
これまでのイグレシア作品は、特集上映やDVDリリースを含めるとほとんどが日本に輸入されてきたが、いずれもひっそりと紹介されたため、一部のファンの熱狂的な支持を獲得するにとどまってきた。そして、このたびゴヤ賞8部門を独占した『スガラムルディの魔女』(13)と奇想天外なブラック・コメディ『刺さった男』(12)の連続公開が決定。はたしてアレックス・デ・ラ・イグレシアとは孤高の天才か、それとも狂気の破壊者か。あなた自身の目で、しかと見極めてほしい。

“崖っぷちの男”を玩ぶ魔女たちの秘密と、 “どん底の男”が命懸けで魅せるショータイム!
究極の驚きに満ちたイグレシアの2作品を連続公開

はちゃめちゃなクライム・アクションとして幕を開けるイグレシアの最新作『スガラムルディの魔女』は、あらゆる観客を行き先不明のジェットコースターに乗せ、ノンストップで疾走するエンターテインメント快作だ。
主人公は職を失い、妻に逃げられてブチ切れ、同じような境遇の仲間をかき集めて白昼堂々と強盗計画を実行した三十男ホセ。幼いひとり息子とともにタクシーに飛び乗って逃走した彼が、パトカーの追跡を交わしてたどり着いたのは何と食欲旺盛な魔女たちが巣食う村! 母子3世代の魔女にまんまと捕らえられたホセたちは、人類の命運をも左右する邪悪な儀式の生け贄にされるのだった……。

伝説の魔女の村に足を踏み入れてしまったダメ男たちの生きるか死ぬかの脱出サバイバルを描く本作は、イグレシアの全作品に共通する異常なテンションの高さに全編が貫かれ、まさに究極のラテン系マジカル・アトラクション・ムービーとなった。妖婆やセクシー美女の姿を借りた魔女たちの大暴走が、スラップスティックなギャグとスリル満載で展開するにとどまらず、クライマックスにはまさかの巨大クリーチャーが出現し、一瞬たりとも目が離せない。おまけに女難に悩む“崖っぷちの男”ホセを翻弄する魔女たちの物語を、男性中心の社会を痛烈に皮肉った女性賛歌として描いている点にも、イグレシアの懐の深さがうかがえる。

『スガラムルディの魔女』の前作にあたる『刺さった男』は、やはりスペインの経済不況のとばっちりを食った中年男ロベルトが主人公。就職活動に失敗したある日、かつて新婚旅行で訪れた思い出の街に立ち寄った彼は、ローマ劇場の遺跡発掘現場にさまよい込み、高所から転落してしまう。からくも一命は取り留めたものの、鉄筋が後頭部に突き刺さって身動きがとれなくなったロベルトは、大勢のマスコミに取り囲まれ、一躍世界中が注目する時の人に……。

失業によって自信を喪失した“どん底の男”ロベルトを襲う悪夢のような運命を描く本作は、頭に鉄筋が刺さるというこのうえなくシンプルかつ仰天必至の設定でぐいぐい見せる衝撃作。他人の不幸は蜜の味とばかりに取材攻勢をかけるマスメディアの本質をシニカル&ポップなタッチで暴きつつ、それを逆手にとって“命懸けの金儲け”に打って出る主人公の奮闘を描出。ブラックな笑いあり、油断禁物のサスペンスあり、ちょっぴりホロリとさせる家族愛ありと、イグレシア的なカオスが満喫できる一作に仕上がっている。

ストーリー







白昼のマドリード、プエルタ・デル・ソルの広場でド派手な銃撃戦が発生した。イエス・キリスト、兵士、透明人間、スポンジ・ボブ、ミニーマウスのコスプレ大道芸人に成りすました5人組の即席ギャング団が、宝飾品買い取り店を襲撃して 2 万 5000 個の金の指輪を強奪したのだ。リーダーは失業による結婚生活の破綻でヤケになり、キリストに変装したホセ。仲間のふたりが逮捕され、ひとりが射殺される大混乱のなか、幼い息子のセルジオ、兵士に扮した若い男アントニオとともに偶然通りかかったタクシーに乗り込んだホセは、からくも逃走に成功する。

とんだ災難に巻き込まれて脅えっぱなしのタクシー運転手マヌエルから行き先を尋ねられたホセは、北部のバスク州経由でフランスへ国外逃亡するルートを選択。ところが執拗に追跡してくるパトカーを巻く際に道に迷ってしまい、森の中にぽつんと建つバーに立ち寄ることに。なぜかはるか昔のテレビ番組やニュース映像を流しているそのバーには怪しいムードが充満していた。年老いた白髪の女主人に道を尋ねたマヌエルは、スガラムルディという地名を耳にしてゾクリと背筋が凍りつく。それは何世紀も前、魔女の集団が火あぶりにされたという忌まわしい言い伝えのある村だった。

バーを後にした一行は、おそるおそるスガラムルディの村の中心部を通過するが、バーの女主人の娘と称するグラシーという中年女に夜道で出くわし、彼女を自宅に送り届けてやることに。その廃墟のような洋館はあまりにも巨大かつ不気味で、グラシーの娘エバは人間離れした色気をまきちらす美女だった。一行は再びフランス国境をめざしてタクシーを走らせるが、ホセが金の指輪を詰め込んだバッグを忘れたため、やむなく洋館へ舞い戻るはめになる。そこでホセらを待ち受けていたのは、ついに邪悪な本性を露わにした母子3代の魔女の恐るべき“おもてなし”だった!

外界からこの地にさまよい込んできた人間たちの肉を常食とする魔女たちは、ホセ、アントニオ、マヌエルを食堂に拘束し、村じゅうからゾロゾロと集まってきた女だらけの一族に人肉ディナーを振る舞おうとする。しかも魔女たちはホセの息子セルジオを生け贄にして、地中深くに眠る“偉大なる母”を復活させ、長らく男たちに支配されてきた現実社会の転覆をもくろんでいた。

あれよあれよという間に壮大な人類存亡の危機が持ち上がるなか、はるばるマドリードから追いかけてきたホセの別れた妻シルビアとふたりの刑事が食堂に乱入したため、往生際の悪い人間たちと執念深い魔女軍団の壮絶バトルが勃発。はたして崖っぷち犯罪者ホセは、愛する我が子と金の指輪を取り戻せるのか。それともスガラムルディの魔女たちによる世界への復讐の裁きが下されるのか……。

スタッフ

監督・脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア

キャスト

ウーゴ・シルバ
マリオ・カサス
カルメン・マウラ
テレール・パベス
カロリーナ・バング

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