国を越えた2つの救出劇を巡る、感動の物語—。

2015年/トルコ・日本/カラー/??分/ 配給:東映

2015年12月5日 公開

(C)2015 Ertugrul Film Partners

公開初日 2015/12/05

配給会社名 0004

解説


今から123年前の1890年9月16日、その事件は起こった。

トルコの使節団を乗せた軍艦エルトゥールル号が、明治天皇への謁見を終えて帰国する途中、和歌山県串本町大島の沖合で座礁、沈没。乗組員618名全員が、暴風吹き荒れる夜の海に投げ出される日本海難史最大の事故でした。
この海難事故に際し、真っ先に救護活動にあたったのが、貧しい漁村に暮らす名もなき日本の海の男たち、女たち。献身的な処置によって、岸にたどり着いた生存者69名が命を救われました。村人は自分たちの日々の食糧にも乏しいなか、体力回復にと村中の食糧を提供。収容された遺体は、棺に納められ、丁重に埋葬されました。

「日本人がトルコ人を助けてくれた。この恩を我々は忘れない…」
トルコで「エルトゥールル」が語り継がれたのに反し、日本では、時と共に風化し、忘れ去られていきました。しかし、海難事故から95年後の1985年。それを思い出させる事件が、日本を遠く離れたイランで起こったのです。

世界史上、類を見ない奇跡の物語は、ここに第二幕を迎える。

1985年3月17日。イラン・イラク戦争のなか、イラクのフセイン大統領が48時間後以降にイラン上空を飛ぶ飛行機を全て攻撃すると宣言しました。
イランに滞在していた外国人は、こぞって国外脱出を図りましたが、日本人だけは取り残されていました。日本政府は安全の確保が難しいと専用機の派遣に踏み切ることができません。まさに、絶体絶命の危機でした。
その時、日本人の救出に尽力してくれたのがトルコでした。専用機を2機飛ばし、自国民よりも日本人を優先して搭乗させてくれたのです。
この時のトルコの対応について、マスコミを含め多くの日本人が首をかしげました。
「何故、トルコ人は日本人を助けてくれたのだろう?」
記者の質問にトルコのオザル首相は、当たり前だという顔で答えます。
「95年前、日本がトルコ人を助けてくれた。だから今回、トルコが日本人を助けるのは当たり前のことだ。トルコ人は皆そう思っている。」と…
日本人のほとんどが忘れてしまっていた「エルトゥールル」。トルコの人々は、覚えているだけでなく、その時の恩に報いようと動いてくれたのでした。

ストーリー







1890年の和歌山県紀伊大島樫野(現:串本町)。この地に暮らす医師・田村(内野聖陽)は、貧しい者を親身になって診察することから村民の信頼を集めていた。彼の傍には許婚を海難事故で亡くしたショックから口がきけなくなったハル(忽那汐里)が、いつも助手として就き従っている。同年9月、日本への親善使節団としての使命を終え、帰路についたトルコのエルトゥールル号は台風に遭遇した。暴風雨の中、船は樫野崎沖で沈没。島中に響き渡る船の爆発音を聞いた住民たちは、岸壁で漂着した膨大な数の死体と船の残骸を発見する。住民は総出で救出活動を行い、田村とハルは救護所でけが人の手当てに追われる。救護所に運び込まれた海軍機関大尉のムスタファ(ケナン・エジェ)は呼吸が止まっていたが、ハルの懸命な心臓マッサージで息を吹き返した。翌日、生き残った乗組員は69名と判明。実に500名以上が犠牲になった大惨事だった。自分が生き残ったことに罪悪感を覚えて苦悩するムスタファは、やり場のない怒りを田村にぶつけた。田村は漂着物を綺麗に磨いて、母国の遺族に返そうとする村人たちの姿をムスタファに見せる。ムスタファの胸には、人を想う日本人の深い真心が刻まれた。
 1985年のイラン・テヘラン。空爆が続く地下避難壕でトルコ大使館の職員ムラト(ケナン・エジェ)と日本人学校の教師・春海(忽那汐里)は出会った。やがてサダム・フセインが48時間後にイラン上空を飛行するすべての飛行機を無差別攻撃すると宣言。日本大使・野村(永島敏行)は救援機を要請するが、日本では迅速な対応が難しい状況にあった。その間にも他の国々では救援機が到着し、徐々に日本国民だけが取り残されていく。日本から来た技術者・木村(宅間孝行)は、イラクからの砲撃が続く状況に危機を感じながらも、すでに家族と脱出を諦めていた。だが春海は子供たちを救うために奔走し、野村にトルコに救援機を頼むように進言。野村の要請を受けたトルコのオザル首相は、救援機を飛ばすことを承諾する。ところがテヘランの国際空港には日本人の他に、救援機を待つトルコ人たちで溢れていた。その状況を見た木村たち日本人は、飛行機に乗ることを諦めかける。そのときムラトはトルコ人に対して、かつて日本人から自分たちが受けた真心の歴史を語り始めた……。

スタッフ

監督:田中光敏
脚本:小松江里子

キャスト

内野聖陽
忽那汐里
夏川結衣
小澤征悦
竹中直人
笹野高史

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