天の茶助
第65回ベルリン国際映画祭コンペティション部門
2015年/日本/カラー/107分/ 配給:松竹、オフィス北野
2016年01月08日よりDVDリリース 2015年6月27日(土)ロードショー
© 2015『天の茶助』製作委員会
公開初日 2015/06/27
配給会社名 0003/0020
解説
人生は、運命は変えられるのか!?
愛と情熱が疾走する沖縄ファンタスティックムービー!
その男は天から降りてきた。自分のミスから、うっかり変えてしまった下界の運命を正すために。たったひとりの女性を守るために……!
監督デビュー作『弾丸ランナー』(1996)以来、国内はもとより海外からも熱い視線を浴び続けるSABU監督の最新作は、異世界をめぐる独特のファンタジーでありながら、南国・沖縄を舞台に笑いと涙、愛とスリルの人間ドラマが弾ける痛快エンタテインメントだ。
SABU監督自ら筆をとったオリジナル小説をもとに、思いを寄せる少女を命の危険から救うべく、天界の茶番頭・茶助の冒険を描くこの物語。SABU監督の持ち味であるスピーディーな語り口と微笑ましいお笑い感覚は変わらず健在だ。おなじみの疾走シーンがさらなる進化を遂げているほか、個性的な人間のるつぼとなる下界のドタバタを二転三転のドラマ構成の中に溌剌と見せていく。中でも、茶助と口のきけない可憐な少女ユリがラストで本物の奇跡を呼ぶラブストーリーには思わず涙する向きも多いだろう。激しい暴力描写があっても、SABU作品にはそれを凌駕する生への情熱と思いやりの誠実さがあふれている。運命と戦う物語は、そのまま目前の人生と戦う物語でもあるのだ。SABU監督は人間を信じる。人間が持つ明日への可能性に賭ける。それが熱い。それが楽しい。
主演は、これが『うさぎドロップ』に続くSABU監督との再タッグとなる松山ケンイチ。コメディーから重厚な時代劇まで演じてきた演技巧者の彼だからこそ、純情一本気な茶助役はまさに経験の全てを生かすに足るハマリ役。
松山の個性を前作で的確に見切ったSABU監督らしい粋な贈り物であるといってもいいだろう。茶助をめぐる面々には大野いと、伊勢谷友介、田口浩正、玉城ティナ、お笑いコンビ「キング・オブ・コメディ」といったニューフェイス組に加え、SABU組常連の大杉漣、寺島進がさらなる支えに回って見事な脇固め。地元エキストラの全面協力により沖縄ゆかりの祭事、祭礼が混沌と再現されるクライマックスのダイナミックな映像表現も大きな見どころだ。
名匠・北野武を擁するオフィス北野が製作を担当。SABU監督の作家性が100%保証された本作品は、第65回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にも選出された。
SABU伝説に新たな1ページを刻んだ魂の秀作、見逃すことは天が許さない!?
ストーリー
天界——。白い霧が漂い、どこまでも続くような広間。そこでは数えきれぬほど多くの脚本家が白装束で巻紙に向かい、下界の人間たちの「シナリオ」を書いていた。人間たちは彼らが書くシナリオどおりに人生を生き、それぞれの運命を全うしているのである。茶番頭の茶助(松山ケンイチ)は脚本家たちに茶を配りながら、そんなシナリオの中で生きている人間たちの姿を興味深く眺めていた。中でも、口のきけない可憐で清純な女性・新城ユリ(大野いと)への関心には恋心にも似た感情があったといっていい。
あるとき、広間の上空に「斬新〜」との声を轟かせて白龍が現れる。それは脚本の総指揮でもある「あの方」からのメッセージだった。康夫(今野浩喜)という男のシナリオを書いていた脚本家に「斬新なアイデア」を求められた茶助はその場しのぎのいいかげんな助言を伝えたのだが、それが原因でユリが康夫の車に跳ねられて死ぬ運命に陥ってしまったことを知る。ユリを救う道はただひとつ。シナリオに影響のない天界の住人・茶助が自ら下界に降り、彼女を事故から回避させるしかない。
沖縄——。気がつくと茶助は、エイサー祭りで賑わう商店街の路上にいた。骨董品屋を営む種田潤一(大杉漣)とラーメン店主の彦村ジョー(伊勢谷友介)と懇意になった茶助は、康夫が女性にフラれて車を暴走させるきっかけとなるカラオケ店に向かう。しかし、チンピラに絡まれた上、白塗り顔の異様な警官までもが立ちふさがり、茶助はどうしても康夫に近づけない。どうやら茶助の行動を好ましく思わない脚本家がいるらしい。なんとか茶助はユリのもとへ先回りするが、車を暴走させた康夫にユリ共々跳ねられてしまう。
茶助には天界人ならではの不思議な力が備わっていた。事故から一命を取り留めると、茶助は昏睡状態にあったユリを回復させ、さらに「奇跡の力」の評判を聞きつけた多くの難病患者の治療を次々に引き受ける。苦しい人生を送っている人々を救うことは、その人生を書いた脚本家たちへの茶助なりの抵抗でもあった。やがて、土佐生まれのヤクザであったという生前の記憶も復活し、実の妹の茶子(玉城ティナ)とも感動的な再会を果たした茶助だったが、喜びも束の間、茶助とのイザコザで指を落とした暴力団「紅竜会」の若頭・黒木(寺島進)が密かに刺客を放っていたのだった……。
スタッフ
監督・脚本:SABU
原作:SABU『天の茶助』(幻冬舎文庫)
プロデューサー:市山尚三
製作:川城和実、大角正
エグゼクティブプロデューサー:森昌行
音楽プロデューサー:安井輝
ラインプロデューサー:的場明日香
撮影:相馬大輔
照明:三善章誉
録音:横澤匡広
美術:黒川通利
衣装:西留由起子
ヘアメイク:橋本申二
編集:相良直一郎
音楽:松本淳一
主題歌:Ms.OOJA
助監督:塩崎遵
制作担当:堀田剛史
VFXスーパーバイザー:大萩真司、藤井義一
グレーディングアーティスト:長谷川将広
音響効果:渋谷圭介、佐藤祥子
企画開発:大成祐爾
キャスト
松山ケンイチ
大野いと
大杉漣
寺島進
伊勢谷友介
玉城ティナ
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