第25回東京国際映画祭 コンペティション部門出品 第15回台北映画祭出品

2012年/日本・中国合作/カラー/144分/ 配給:太秦

2014年5月17日公開

© 2012 Black Square Film Gootime Cultural Communication Co.,Ltd

公開初日 2014/05/17

配給会社名 0864

解説


一枚の絵が紡ぐ、時を超えた儚い愛の記憶
   60年前、あの大陸で何があったのか——
中国・北京の芸術村で暮らす画家のチャオピンは、画廊で「黒四角」という名の、黒一色に塗りつぶされた絵を目にする。翌日、チャオピンは空を飛んでいく黒い物体を発見し、それに誘われて荒涼とした大地にたどり着く。そこで突然現れた裸体の男。その男は自分の名前さえ憶えておらず、どこから来て、どこへ向かうのかも分からないと言う。しかし、チャオピンとその妹のリーホワは、既視感を覚え、遠い記憶の中に男の面影を探そうとする——。そして物語は60年前、悲惨な戦争に従軍した日本兵と中国人兄妹の切ない愛と友情の記憶へと変転していく。

近くて遠い国・中国で、ひとりの日本人監督が作り上げた問題作。
中国本土での公開は未だ認められぬなか、ついに日本での公開が実現。

釜山国際映画祭グランプリ『タイムレス・メロディ』(00)、ロッテルダム国際映画祭・最優秀アジア映画賞『波』(01)、『青い車』(04)の奥原浩志監督、5本目の長編作品。独特の空気感で人と人との関わりを描いてきた奥原は、2008年に文化庁の在外研究制度で中国へ渡る。反日デモが吹き荒れるなか、中国のインディーズ映画人らと積極的に交流し、日中気鋭のスタッフを集め製作した本作は、2012年の尖閣諸島問題がまさに先鋭化するなか行われた東京国際映画祭で、ワールド・プレミア上映された。日本と中国の「戦争と現在」という危ういテーマを扱った本作は、未だ中国本土での公開が認められていない。両国の猜疑と反目が深まる今、監督・奥原が伝えたかった想いとは——。

『2001年宇宙の旅』のモノリスを彷彿とさせる
“黒四角”が私たちを導く。
物語の鍵となるのは「黒四角」という名の一枚の絵だ。空に浮遊するそれに誘われるように、荒野にたどり着くチャオピン。そして、突然現れる裸体の男。男と出会ったことにより、チャオピンは不思議な世界へと導かれていく。この男は一体誰なのか?何を意味するのだろうか?過去の作品にない大らかなユーモアと、過去の作品以上に切ない叙情に満ちている本作は、主人公が裸で登場し、ユニークな人物と関わるうちに、前世の愛が繙かれるという展開になっている。

ストーリー



「過去、現在、未来…。僕は君に会ったことがある…」。
舞台は北京郊外の芸術家村。売れない芸術家チャオピンは、ある画廊で「黒四角」という名の黒一色に塗りつぶされた不思議な絵を目にする。その絵には非常に高額な値がつけられ、そのうえ、「SOLD OUT」となっていることに呆れてしまう。しかし、何故かチャオピンはその絵に心を奪われてしまう。

翌日、チャオピンは空を飛んでいく黒い物体を発見し、それに誘われて荒涼とした大地にたどり着いた。厚みの無い黒い物体は荒れ地に降り、ただそこに立っている。すると突然、そこから裸体の男が現れる。その男は自分の名前さえ憶えておらず、どこから来て、どこへ向かうのかも分からないと言う。チャオピンは男に服を貸してやり、家に連れて帰る。そして、男を「黒四角」と名付け、お金を渡し、町へ出て仕事を探すように勧める。

チャオピンは、男の眼差しに奇妙な懐かしさを覚え、遠い記憶の中に男の面影を探そうとするがうまくいかない。そしてそれは妹のリーホワも同じだった。不確かな過去の記憶と幻想の世界を行き来しながら、男とリーホワは次第に惹かれあっていく。「過去、現在、未来…。僕は君に会ったことがある…」と、男は言う。手を取り合い、北京の胡同を歩く二人。すると突然、二人の前に一人の日本兵が現れたのだった…。

そして物語は60年前、悲惨な戦争に従軍した日本兵と中国人兄妹の切ない愛と友情の記憶へと変転していく。

スタッフ

監督・脚本・編集:奥原浩志 
プロデューサー:李鋭、奥原智子 
制作:路潞 
撮影監督:槇憲治 
照明:高根沢聡志 
美術:高鵬 
録音:張陽 
音楽:サンガツ 
視覚効果:オクティグラフィカ 
助監督:東伸治 
協力:尾崎元英 星空壹禾影視發展有限公司 
配給:太秦

キャスト

中泉英雄 
ダン・ホン 
チェン・シーシュウ 
鈴木美妃 
ゴウズ 
ジャン・ツーユー 
ワン・ホンウェイ

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