原題:Still the Water

神の島・奄美大島を舞台に、 二人の少年少女の初恋と成長を通して描く、つながっていく命の奇跡。 この夏、「映画の力」をもう一度、信じたくなる—。

2014年日本・フランス・スペイン/カラー/121分/シネスコ/5.1ch 配給:アスミック・エース

2015年01月21日よりDVDリリース 2014年 7 月 26 日(土) 全国ロードショー

© 「FUTATSUME NO MADO」JAPANESE FILM PARTNERS, COMME DES CINÉMAS, ARTE FRANCE CINÉMAS, LLUIS MIÑARRO.

公開初日 2014/07/26

配給会社名 0007

解説


1997年『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞して以来、2003年の『沙羅双樹』(コンペティション部門選出)、そして2007年には『殯の森』でグランプリ(審査員特別賞)受賞と、作品を発表するごとに世界の晴れ舞台で注目を集めてきた映画監督・河瀬直美。

「目に見えるものだけがすべてじゃない。目に見えないものをスクリーンに焼きつけたい」。デビュー当時から一貫してそう語ってきた監督は、これまで生まれ故郷の奈良を舞台に、人の想い、光や風、今は亡き者たちの面影を映像へと昇華してきた。風景がもうひとつの主人公であると評されるように、生きとし生けるものに等しく向けられる眼差しに支えられた独自の世界観——それこそが、言語の違いや文化・宗教を越えて、世界の映画ファンを魅了してきたといえるだろう。

そして2014年、三たび、同映画祭コンペティション部門に選出された『2つ目の窓』の舞台として彼女が選んだのは、いまなお自然と神と人が共存する奄美大島。生命の源である海と深い森が放つ濃密なエネルギーが漲っている——そんな奄美の圧倒的な自然を余すところなく映し出したのは、『沙羅双樹』をはじめ、河瀬作品の撮影を数多く手がけ、監督が全幅の信頼を置くベテラン・カメラマン山崎裕。幻想的な水中シーンをはじめ、母から子へ、子から孫へと連綿と受け継がれ、つながってゆく人間の命、その輝きの瞬間をスクリーンに深く焼きつけている。

これまでも演技経験の有無ではなく、映画を生き切る可能性を秘めたまっさらな感性を、自らの目で選んできた監督が今回見出したのが、村上虹郎と吉永淳。奄美の自然が内包する野性の力に呼応するかのように、島の高校生、界人(かいと)と杏子(きょうこ)を繊細かつ力強く演じている。ふたりを見守る家族には、杉本哲太、松田美由紀、渡辺真起子、村上淳ら、日本映画界を支える実力と個性を兼ね備えたキャストが結集。生と死をあるがままに受け入れ、命をつないでゆく。目に見えないけれど、そこにたしかに“在る”ものを映し出した本作は、見る者の心の奥深くに届くことだろう。
河瀬監督自らが「最高傑作であり自身のターニングポイントである」と語り、世界中に待ち望まれた最新作『2つ目の窓』。「映画の力」をもう一度信じたくなる、いまだかつてない作品が、この夏、ここに誕生する。

ストーリー








琉球列島の北端に位置する奄美大島。マングローブ、ガジュマル、アダンの木々が生い茂り、サンゴ礁の海が広がる——そんな亜熱帯の島では、ユタ神様が祭祀を司り、人びとは自然と神への畏敬の念とともに日々暮らしている。

旧暦8月、島を挙げて行われる8月踊りの満月の晩、高校生の界人は海に浮かぶ男の溺死体を発見する。衝撃を受け、その場から走り去った彼を見ていた同級生の杏子に、翌日問いかけられながらも、界人は自分の中にあるわだかまりを口にすることができない。

ユタ神様として、島人の心の拠りどころになっていた杏子の母イサは病を抱え、死期を迎えつつあった。「たとえこの世を去っても、お母さんの想いはここにたしかにあるし、ぬくもりはあなたの心に残るのだから」。ユタの親神様にそういわれても、肉体が消えたら会えないという現実を、杏子は受け入れることができない。だが、イサは「自分の命は杏子につながっているし、いつか杏子が生む子どもともつながってゆく。だから死ぬことはちっとも怖くないの」と、娘に優しく語りかける。

自らの死期を悟ったイサは、病院から自宅に戻り、杏子は親子三人、穏やかな気持ちで残り少ないときを過ごしていた。いっぽう、多感な界人はいつも男の影を感じさせる母・岬の女の部分にけがらわしさを感じてしまう自分を持て余し、幼いころに別れた父を東京に訪ねていた。岬との出会いは運命だったという父親に、「運命だったら別れたりないし、ずっと一緒にいることが運命なんじゃないの」と、界人は自分の気持ちをぶつける。

それぞれの胸の裡を知り、互いを想いながらも、今はただ島の自然に包まれ、寄り添い合う界人と杏子。自分が杏子に求められていると知りながら、界人には、どう応えればよいのかわからなかった。
ある晩、些細なすれ違いから、岬の言動を激しくなじり、外に飛び出した界人が戻ると、家にはひと気がなく、岬の姿はなかった。いなくなって初めて、母親の存在の大きさに気づいた界人は、嵐のなか、岬を探しまわり……

スタッフ

監督・脚本:河瀬直美
プロデューサー:青木竹彦、澤田正道、河瀬直美
ラインプロデューサー:山本礼二
音楽:ハシケン
撮影:山崎裕 
照明:太田康裕 
録音:阿尾茂毅 
美術:井上憲次 
助監督:近藤有希 
編集:Tina Baz 
音編集:Oliver Goinard、Roman Dymny 
サウンドデザイナー:Oliver Goinard 
製作幹事:WOWOWFILMS/COMME DES CINÉMAS
製作:WOWOW/アスミック・エース/組画/ポニーキャニオン/COMME DES CINÉMAS/ARTE FRANCE CINÉMA/LLUIS MIÑARRO  
企画・制作プロダクション:組画/ COMME DES CINÉMAS
配給:アスミック・エース 

キャスト

村上虹郎
吉永淳
杉本哲太
松田美由紀
渡辺真起子
村上淳
榊英雄
常田富士男

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