原題:Cloclo

2012年/フランス/カラー/149分/ 配給:カルチュア・パブリッシャーズ

2014年01月24日よりDVDリリース 2013年7月20日よりBunkamuraル・シネマ他、全国順次ロードショー!

© Tibo & Anouchka

公開初日 2013/07/20

配給会社名 0194

解説


あるスーパースターの華麗で波乱万丈な生涯を描いた『最後のマイ・ウェイ』は、構想13年、製作費はフランス映画最高額の24億円(2000万ユーロ)!

撮影において、ヨーロッパ映画史上最多記録を更新した230ものセット・デコレーション!

2012年3月14日にフランス最大規模の905館で公開され、公開1週目で動員100万人を記録し全仏第1位に輝いた!

フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」を作ったのは39歳で夭逝したフランスのスーパースターだった。

 フランク・シナトラの名曲「マイ・ウェイ」を作った男。ミュージシャンとなった自分を生涯許さなかった父へこの曲を最後に聞かせたかった。彼の名はクロード・フランソワ、フランスのスーパー・スターにして、200を超える作詞、作曲をし、生涯に6,700万枚のレコードを売り上げ、現在も更新中。時代を先取りしたマーケティングのプロ。酒もドラッグも無縁で禁欲的に体を鍛え、歌って踊って、振り付けもし、他のアーティストのためにも曲をプロデュース。出版社を立ち上げ、ファッション写真家、“ファンクラブ”を世界で初めて作り、フランスのテレビに初めて黒人、白人混成の女性ダンスユニットを出演させた。今日なおフランスの音楽界にこれほど多様な才能を持つ人物は現れていない。しかし、1978年、フランスで成功を収めアメリカデビューが決定した直後に39歳で夭逝し、世界に彼の名を伝えることはなかった。

 物語は1939年、エジプトで始まる。フランス人の父はスエズ運河の通行管理の仕事をする裕福な実業家、母はおおらかで派手好きなイタリア人。しかし、17歳の時に第二次中東戦争が勃発し、一家はモナコへと移住する。父の失業により、生活は苦しくなり、クロードは銀行に勤め家計を支えていたが、楽団でドラマーに抜擢され、ヴォーカルとしても人気を博すようになる。しかし、厳格な父は死ぬまでミュージシャンとしての仕事を認めることはなく、息を引き取るのだった。彼は生涯、自分を認めてくれなかった父への想いを抱え続けることとなる。フィリップス・レコード社からソロ・デビューし、セカンド・シングル「ベル! ベル! ベル!」がヒット・チャート1位をマークし、200万枚以上を売り上げる驚異的なセールスを記録。64年にはフランス音楽界の殿堂オランピア劇場のステージにも立ち、押しも押されぬトップ・スターとなった。しかし、成功の裏には、大スター、ジョニー・アリディへの闘志、フランス・ギャルと極秘の熱愛、彼女の成功への嫉妬、話題作りに病気を装い新聞の一面を飾り、2人の息子のうちの1人の存在を隠し続け、ありとあらゆる手を使って17年間トップスターでいるための戦略をとり、自分の生活を隠し続けることがあったのだが・・・。

主役のクロード・フランソワを演じるのは、実力派俳優、ジェレミー・レニエ。『イゴールの約束』(96)の主役に抜擢され、カンヌ映画祭で国際芸術映画評論連賞を受賞。『クリミナル・ラヴァーズ』(99)、カンヌ映画祭パルムドール大賞の『ある子供』(05)に出演。レニエは17歳から39歳までのクロードを演じるためにヘア・ウィッグが5種類、80着ものオーダーメイドの服が用意され、5ヵ月間にわたり、ヴォーカル、ドラムとパーカッション、歌にダンス、肉体トレーニングのコーチにつき、徹底的に役作りの準備をした。名マネージャー、ポール・ルデルマンを演じるのはブノワ・マジメル。『人生は長く静かな河』(88)の主人公モモ役に始まり、『年下のひと』(99)『ピアニスト』(01)でカンヌ映画祭主演男優賞を史上最年少で受賞、シリ監督作品『スズメバチ』(02)他の常連である。母のショウファ・フランソワを演じたのはモニカ・スカティーニ。フランシス・フォード・コッポラ監督の『ワン・フロム・ザ・ハート』(82)、ロブ・マーシャル監督のミュージカル映画『NINE』(09)と国際的に活躍するイタリア女優。クロードが尊敬するフランク・シナトラを演じるのは、テレビシリーズ『プリズン・ブレイク』の白人至上主義者で残忍なティーバック役で一大ブレイクし、人気テレビシリーズ『HEROS/ヒーローズ』でも活躍のロバート・ネッパーなどが脇を固めている。

『そして友よ、静かに死ね』(11)を製作したプロデューサーのシリル・コルボー=ジュスタンは、13年の構想を経て、本作の映画化に辿り着いた。監督にはフローラン=エミリオ・シリ。『Une Minute de silence』(99)は、ナムール国際映画祭で優秀フィクション映画賞を受賞。『スズメバチ』(02)、ハリウッド進出も果たした『ホステージ』(05)、『いのちの戦場 -アルジェリア1959-』(07)があり、本作品は5作目となる。脚本・台詞は、映画監督の父、作曲家の兄、と芸術一家に育ったジュリアン・ラプノー。『幸せはシャンソニア劇場から』(09)、『あるいは裏切りという名の犬』(04)でセザール賞優秀脚本賞にノミネートされた。オリジナル音楽は、『クィーン』(06)、『英国王のスピーチ』(10)でアカデミー賞にノミネートされているアレクサンドル・デプラ。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1、PART2』(10・11)を担当。クロードの数々のヒット曲に彼の歌声を再現するとともに、素晴らしいオリジナル音楽を作り上げた。衣裳は、数々の名作を手がけるミミ・レンピカ。リュック・ベッソン監督の『グレート・ブルー』(88)でスタートし、『ニキータ』(90)、『裸足のトンカ』(97)、『銀幕のメモワール』(01)などを手掛ける。

極端に上昇志向が強く、嫉妬深く、小心者。しかし、彼は他人にはその姿を決して見せなかった。自分の弱い部分をコントロールするために、絶望的なまでにそれを押し殺そうとした。そして、恋人や家族を虐げてまでもすべての成功をつかんだ。この波乱に富み、60年代から70年代の熱気を再現した物語は余すことなく、彼の成功と実像を映し出し、胸を揺り動かさずにはいられない。それは、共同製作に彼の2人の息子クロード・フランソワ・ジュニアとマルク・フランソワが参加したことが大きな要因といえるだろう。2人の息子たちは、父の欠点や苦悩を描くことに不安もあったが、「フランスで国民的スターになり、アメリカ進出が決まったその直後に39歳で夭逝した父の果たせなかった夢、つまりフランス語圏を越えてファンを獲得すること、この映画によって父を世界に伝えるチャンスを与えてやりたかった。」と語り、本作の映画化に全面的に協力した。クロードが、自分を生涯認めなかった父にシナトラの「マイ・ウェイ」を最後に聞かせたかったように、クロードの息子たちも父に『最後のマイ・ウェイ』を捧げたと言えるだろう。

ストーリー

誰にも決して見せることのなかった真実の半生——。彼の歌がこんなに心を揺さぶるのは、何故なのか?

 エジプトのイスマイリア。スエズ運河の建設と共に栄えたこの町で、1939年2月、クロード・フランソワは生まれた。フランス人の父エメ(マルク・バルベ)は、運河の通航管理の仕事をする裕福な実業家。厳格で几帳面な性格の彼は、ビジネスを継がせたいと期待をかけるクロードに熱心な英才教育を施す。そんな父と、おおらかなイタリア人の母ショウファ(モニカ・スカティーニ)、そして優しい姉のジョゼット(サブリナ・セイヴク)に見守られながら、クロードは恵まれた少年時代を過ごした。が、その生活は、1956年、スエズ運河がエジプトに国有化されたことによって終わりを告げる。

 エメの失業に伴い、一家はモナコへ移住。成人したクロード(ジェレミー・レニエ)は銀行に勤めて家計を支えるが、生活は苦しく、仕事に夢を持つこともできなかった。そこで楽団のオーディションを受けたクロードは、未経験ながらドラマーに抜擢され、さらにヴォーカルとしても人気を博すようになる。そんな彼を、「大道芸人はいらない」と言って突き放すエメ。クロードがクラブ歌手として成功をおさめても認めようとしなかった父は、1961年3月、息子に会うことを拒んだまま息を引き取った。

 同じ年、より大きな成功を追い求めるクロードは、ダンサーの妻ジャネット(モード・ジュレ)と共にパリへ進出。フィリップス・レコードに猛烈な売り込みをかけた。フランク・シナトラを真似た歌唱法を「時代遅れだ」と酷評されても、めげずにフィリップスに通い詰めるクロード。その甲斐あって、翌年には「ラ・ナブー・ツイスト」でレコード・デビューするチャンスを得たが、このシングルはまったく売れなかった。失意のクロードはジャネットに当たり散らすようになり、そんな彼に失望したジャネットは、舞台で共演したジルベール・ベコーの元へ去って行った。

転機が訪れたのは、その直後のことだ。自ら歌詞を書き直したセカンド・シングル「ベル!ベル!ベル!」が200万枚を超える大ヒットを記録。一躍クロードは、ジョニー・アリディに続くフィリップスの看板スターとなった。そんな彼の良きアドバイザーとなったのが、敏腕マネージャーのポール・ルデルマン(ブノワ・マジメル)だった。「気を抜くと半年後には転落する」というルデルマンの忠告を胸に、つねに新しいことへ挑戦する姿勢を忘れなかったクロードは、フランスの音楽界をリードするスーパースターへと登りつめていく。憧れのオランピア劇場でソロ公演を打ち、パリ郊外に別荘を購入。「お父さんに見せたかった」という母の言葉が、クロードには嬉しかった。一方、私生活ではアイドルのフランス・ギャル(ジョゼフィーヌ・ジャピ)と交際。しかし、「恋するシャンソン人形」で世に出た彼女にクロードが嫉妬したことから、2人の恋は破局を迎えた。

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スタッフ

監督:フローラン=エミリオ・シリ
脚本・台詞:ジュリアン・ラプノー
脚色:ジュリアン・ラプノー、フローラン=エミリオ・シリ
製作:シリル・コルボー=ジュスタン、ジャン=バティスト・デュポン
共同製作:クロード・フランソワ・ジュニア、マルク・フランソワ
著作と伝記のアドバイザー:ファビアン・ルクーブル
オリジナル音楽:アレクサンドル・デプラ
撮影:ジョヴァンニ・フィオレ=コルテラッチ
プロダクション・デザイン:フィリップ・シッフル
編集:オリヴィエ・ガジャン
エクゼクティヴ・プロデューサー:ダヴィド・ジョルダーノ
製作主任:マルタン・ジョベール
アート・ディレクション:ドミニク・カララ
衣裳デザイン:ミミ・レンピカ
ヘアー:ジェラール・ポルトナール
メイク:カーテフ・ヴァン・ダム
キャスティング:オリヴィエ・カルボン

キャスト

クロード・フランソワ:ジェレミー・レニエ
ポール・ルデルマン:ブノワ・マジメル
ショウファ・フランソワ:モニカ・スカティーニ
ジョゼット・フランソワ:サブリナ・セイヴク
イザベル・フォレ:アナ・ジラルド
フランス・ギャル:ジョゼフィーヌ・ジャピ
ジャネット:モード・ジュレ
エメ・フランソワ:マルク・バルベ
ジャン=ジャック・ティルシュ:エリック・サヴァン
カタリン:ソフィ・メイステール
ソフィア:ジャニケ・アスケヴォルド
ティッキー・オルガド:エデュアール・ジアール
クリスチャン・モリズ:ジェレミー・シャルボネル
フランク・シナトラ:ロバート・ネッパー
ジャン=ピエール・ブールタイル:アルバン・オマル
ヴリーヌ・ブジー:レティシア・コロンバニ
ジャック・ルヴォー:ベルトラン・コンスタン

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