原題:Il villaggio di cartone

2011/87分/イタリア/イタリア語/35mm/カラー/ビスタ/SRD/日本語字幕:吉岡芳子 配給:アルシネテラン

2013年8月17日より岩波ホールほか全国順次ロードショー

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公開初日 2013/08/17

配給会社名 0013

解説


『木靴の樹』『ポー川のひかり』などの名作で知られるイタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督の最新作です。かつてオルミ監督は、『ポー川のひかり』(06)を自身の映画人生における最後の劇映画と語りました。しかし5年後、前言を翻して、現代の黙示録ともいうべき本作『楽園からの旅人』を発表。世界の状況が一層混迷するなか、この作品をとおして、よりよい社会への思いを改めて示さずにはいられなかったのです。
「世界を温もりのあるものに戻す」という彼の人間性への信頼は失われることはなく、不安に満ちた現代社会のなかで、旅人たちの神々しさを示し、すべては破局の中から新しく始まり、未来は私たちが築くものと語る『楽園からの旅人』は、まさに希望の映画です。また、オルミ監督は今日におけるキリスト教の意味を、これまでも誠実に問い続けてきました。本作はその集大成ともいえます。前作と同様にキリストを彷彿とさせる人物が登場し、聖書の挿話も織りこまれ、イスラム教との対話と共存も暗示しています。

ストーリー

イタリアのある街で、取り壊されようする教会堂にひとりのこる老司祭。長い年月彼は神の愛を唱えてきたが、人々の望みは別のものに代わろうとしていた。夜、教会堂に、アフリカからさまよう人々が長い旅を経てやってきた。かれらはみな不法入国者だった。そして即席の小さな村が作られてゆく。この村にはいくつかのグループがあった。あるグループは、身重の女性以外は、みな旅の途上で亡くなっていた。ほかのグループにも多くの犠牲がでていた。あるグループはイスラム原理主義者だった。そのリーダーはこの世界をよくするためには暴力しかないという。それに対し、技師は言葉の力を信じていた。ひとりの少年は難破船でノートを拾っていた。ノートには世界が始まる頃の美しい大地の様子がえがかれ「すべての子はひとつの母から生まれた」という言葉で結ばれていた。身重の女性が出産する。人々は赤子の世話をし、老司祭はキリストの誕生を思い、祈りを捧げた。若者たちには恋も生まれようとしていた。そこへ地区の保安委員が不法移民を取締りにやってくる。人々のなかに密告者がいたのだ。老司祭は「教会はすべての人に開かれている」と抵抗し、いったんは保安委員らを退けることができた。そして翌朝、人々は次の地へと旅立とうとしていた…。

スタッフ

監督:エルマンノ・オルミ

キャスト

マイケル・ロンズデール
ルトガー・ハウアー
アレッサンドロ・アベル
マッシモ・デ・フランコヴィッチ

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