ジ、エクストリーム、スキヤキ
★ムーンライダーズ・岡田徹が、音楽を担当! ★あの名曲が、映画でよみがえる
2013年/日本/カラー/111分/ 配給:スールキートス
2014年06月04日よりDVDリリース 2013年11月23日、テアトル新宿他にて全国ロードショー
(C)2013「ジ、エクストリーム、スキヤキ」製作委員会
公開初日 2013/11/23
配給会社名 1051
解説
一度知ったらクセになる!? 前田司郎ワールド 全開!
演劇界・文学界・テレビ界とボーダレスに活躍する
最注目のクリエイターが、映画監督に初挑戦!
劇団・五反田団を主宰し、演劇「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞、小説「夏の水の半魚人」で三島由紀夫賞、ドラマ「お買い物」(NHK)ではギャラクシー賞優秀賞を受賞するなど、ジャンルを飛び越えボーダレスに活躍する最注目のクリエイター前田司郎が、自身の同名小説で映画監督に初挑戦。これまで『生きてるものはいないのか』(12年/石井岳龍監督、原作・脚本:前田司郎)や『横道世之介』(13年/沖田修一監督、脚本:沖田修一・前田司郎)など、原作や脚本という形で映画と関わってきたが、満を持して映画監督デビューを飾る。
前田の真骨頂といえば、やはり台詞。一見脱力系に見せながら、人間同士の〝わかりあえなさ〟と〝わかりあいたさ〟のせめぎ合いを鋭く描いた、高スペックな前田ワールド。それは笑いだけに留まらず、やがて果てしない宇宙的哲学にまで昇華し、これまで小説では読者を、演劇では観客を魅了し続けてきた。そして、今回、映画という空間的な広がりのある世界を手に入れた時、前田が描くのは、たった4名の男女が旅する物語。移動中に繰り広げられる会話劇は、これまでの前田ワールドの魅力が遺憾なく発揮されている。
一度、知ってしまうと、ハマらずにはいられない、この神的世界に心酔してしまうひとたちが、急増中だ!
井浦新×窪塚洋介、『ピンポン』の名コンビが復活!
ムーンライダーズの名曲と共に、エクストリームな旅に出かけよう。
前田司郎という才能のもとに集まった俳優陣にも注目が集まる。『かぞくのくに』(12年/ヤン・ヨンヒ監督)で第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞するなど、今、最も旬な映画俳優・井浦新。そしてここ数年、映画出演だけでなく、蜷川幸雄の舞台、レゲエDJとしての音楽活動など、新たなステージに挑戦をし続ける窪塚洋介。『ピンポン』(02年/曽利文彦監督)の時はまだ20代。その後も、プライベートでも親交が深かったふたりは「またいつか、どこかで一緒に共演したい」と話していたという。それぞれの道を歩み人間的にも厚みを帯びた30代となり、大人の成熟と俳優としての実力が加わったふたりの、息のあった絶妙な掛け合いは、本作の最大の見どころのひとつだ。
そして、そんなどこか夢見がちな男ふたりを、クールに、でも温かく受け止めるヒロインを市川実日子と倉科カナが好演し、前田ワールドを見事に体現、生き生きとした存在感を放つ。そのほか『横道世之介』の沖田修一監督や同作の主演・高良健吾も友情出演、前田の監督デビューに華を添えている。
また音楽は、惜しまれながら2011年に活動休止を発表、35年の活動に終止符を告げたムーンライダーズのメンバー・岡田徹が担当。初監督作にはムーンライダーズの楽曲を使いたいという前田監督の強い希望から、劇中でも“思い出の曲”としてムーンライダーズの音楽がBGMとして流れ、ドライブ中の4人の男女の心を、やさしく包み込む。
忘れられない青春の影とスキヤキ鍋をもって、彼らと一緒に、楽しくて、ちょっぴり切ない、特別(エクストリーム)な旅に出かけよう。
ストーリー
洞口(井浦新)の人生の頂点は大学時代だった。
その後15年もの年月を無為に過ごしてしまった洞口は、生きることに見切りをつけて自殺を図るが、死ぬことすらできず途方に暮れてしまう。もう一度、輝いていた青春を取り戻したい。忘れられないあの時の感情をもう一度感じてみたいという願いを抱いた洞口は、15年ぶりに学生時代の親友・大川(窪塚洋介)を訪ねる。
だが2人は絶縁関係にあった。15年前のあることをきっかけに。
大川 「縁切った人と会っちゃったら、それ縁切れてねぇじゃねぇか? 俺の言ってることわかる?」
洞口 「だから、つないだんだよ」
大川 「つないだり切ったりできんのかよ」
洞口 「できねえのかよ」
二度と会うことはないと思っていた洞口の突然の来訪に眉をひそめる大川。けれど、洞口は過去のわだかまりがなかったかのようにあっけらかんと振る舞う。
死のうとしたことをおくびにも出さず、ひたすらハイテンションにはしゃぐ洞口に、大川はなんだか抗えなくて、ずるずると行動を共にしてしまう。
大川もまた日々の生活に手持ち無沙汰を感じていたところだった。その悩みを解消すべく、生きるための武器を持とうとブーメランを作ってみたり、映画を撮ろうと宣言してみたりと、突飛ではあるが、大川なりの試行錯誤を繰り返すものの確かな手応えのないまま、日々をダラダラと過ごしていたときに現れたのが洞口だった。
人生に明確な進路が見えず、社会性がないという点において共通の悩みを抱える洞口と大川が、突破口を求めて出た行動は、ブーメランを飛ばしに行くこと。
この唐突で漠然とした計画に、大川の同棲相手・楓(倉科カナ)と、洞口の昔の恋人だった(?)京子(市川実日子)を半ば強引に巻き込んで、洞口の車は一路海へーー。
洞口はどこかでスキヤキをやろうと、カッパ橋で手に入れたスキヤキ鍋も積み込んだ。
寄せ集めの4人の関係は、どうにもちぐはぐでギクシャクしていた。初対面の楓と京子は、どうしていいのか困惑を隠せないし、洞口と大川と京子の間にも微妙な空気が流れている。
3人は大学時代は仲の良い友達で毎日つるんでいたものの、もうひとりの仲間、峰村が突然自殺をはかり、彼らの前から消えてしまったことをきっかけに疎遠になっていたのだ。
この15年もの間、3人は、死んだ峰村のことをどこかで引き摺りながらも、忘れたフリしてなんとか生きてきた。しかし、就職したり恋愛したりそれなりに新しい人生を送ってみたものの、何をしたって悩みはついてまわる。中でも最も過去を引きずって動き出せないでいる洞口のことが、京子は気になってならなかった。
4人はそれぞれの思いを胸に、浜辺に立つ。
洞口と京子、大川と楓、それぞれが海を見ながら、ちょっといい感じになった後、旅館で一泊することにした。
夜、昔の思い出や最近のことなどをいろいろ語り合い笑い合ううち、こわばった気持ちが少しずつほぐれていく。気付けば、ちょっと照れくさい青春めいたセリフを口に出していた。
京子 「お先真っ暗とか言うでしょ? お先は真っ暗だけど、やっぱそっち見ないとさ」
洞口 「言うけど、そういう意味なの?」
京子 「わかんないけど、未来なんて真っ暗でしょ? まだ、無いんだから」
翌朝4人は公園でスキヤキを作って食べた。
15年間、何もないまま時が止まっていたと思っていた洞口だったが、学生時代と比べて料理が作れるようになっていたように、徐々に変化があるものなのだと噛み締める。大川の無意味だったり奇妙に見える数々の言動も「なんか凄い」とまぶしく見えてきた。
帰りの車中、学生時代に聴いたムーンライダーズのカセットテープを流し、京子と昔話をしながら、洞口は自分の時間が未来に向かって動き出すことを感じていた。
洞口 「忘れたいこともあるけど、そう都合よくは出来てないね、」
京子 「、、、そうだね」
海岸線を走る4人の人生は、じわじわと、ゆっくりと“特別(エクストリーム)”なものになっていく。
スタッフ
原作・監督・脚本:前田司郎
音楽:岡田 徹 エンディング・テーマ:「Cool Dynamo,Right on」ムーンライダーズ(moonriders records)
製作:重村博文 森山 敦 木幡久美 井上 潔
プロデューサー:宮崎 大 山下義久
アソシエイト・プロデューサー:田口智博
撮影:平野晋吾
照明:小川大介
音響:黄 永昌
美術:平井淳郎
スタイリスト:伊賀大介
ヘアメイクデザイン:勇見勝彦
写真:黒田光一
編集:佐藤 崇
助監督:松尾大輔
製作担当:岸根 明
製作:キングレコード スールキートス アグン・インク
企画・製作プロダクション:アグン・インク
配給:スールキートス
宣伝協力:ブラウニー
原作小説:「ジ、エクストリーム、スキヤキ」 (集英社刊) ※10月発売予定
オリジナル・サウンドトラック:「ジ、エクストリーム、スキヤキ」(ウルトラ・ヴァイヴ)
※11月6日(水)発売予定
キャスト
井浦新
窪塚洋介
市川実日子
倉科カナ
黒田大輔
西田麻耶
内田 慈
安倍健太郎
高良健吾 (友情出演)
沖田修一 (友情出演)
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