原題:楽之路

2012 チャイニーズ・アメリカン・フィルムフェスティバル in L.A. 最優秀助演男優賞受賞<ジミー・ハン>

2011/台湾映画/中国語/90分 配給:ワコー

2013年6月1日(土)より ユーロスペース 他にて 全国順次ロードショー

©Smash and Grab Productions

公開初日 2013/06/01

配給会社名 0321

解説


日本でも大ヒットした2008年公開の映画『海角七号〜君想う、国境の南〜』の成功以降、市場を拡大し続けている台湾映画。その大きな特徴のひとつに『あの頃、君を追いかけた』(2011年東京国際映画祭で上映)のような、映画界以外の異業種で活躍していた人たちが、ヒット作を生み出す例がある。本作もまた同様、2001年『流星花園〜花より男子〜』で<F4>メンバーとしてデビュー、アジア中の女子を虜にしたヴァネス・ウーが、友人のジミー・ハン、エリック・トゥーと映画製作会社を立ち上げ、製作した長編第1作目。
脚本・音楽等本作で5役を務めるジミー・ハンもまた異業種からの参加。台湾のボーカルグループ<TENSION>のメンバーとして歌手デビュー後、少しずつ自身のプロモーションビデオに疑問を持ち、自ら映像を撮り始める。19歳でアメリカから音楽の勉強のために来日した時期に、メモパッドに書き綴った文章がこの映画の企画になった。俳優陣の素顔を知るジミーは、5人の出演を決めてから脚本を作成。彼らに何をさせたらおもしろいか、何ができるのかを考え、役柄に反映させた。また台湾の音楽シーンを知り尽くす彼は、フィクションもノンフィクションも脚本の中に盛り込み、観客が知らない音楽業界の裏側を見せてくれる。
劇中のロックバンド≪SMASH≫のボーカリスト・マイク役のヴァネス・ウーは、デビュー以来映画『カンフーシェフ』やドラマ「秋のコンチェルト」「王子様の条件〜Queens Loves Diamonds〜」への出演等途切れる事なく活躍を続け、作品毎に新たなファンを獲得。今や台湾映画・ドラマの主演俳優として欠かせない存在である。本作ではプロデューサーも務める。
リーダー・イー役のディーン・フジオカは、日本生まれだが台湾を中心に活動し、映画『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』やドラマ等に出演。甘いマスクと天性の語学センスを活かしたボーダレスな俳優として活躍中。ジェイソン役のクリス・ルンは、2009年台北電影節で観客賞を受賞した映画『一席之地』等に出演の実力派。タカ役のエリック・トゥーは製作会社設立メンバーで、本作のプロデューサーでもある。ラジオDJを務める他、2010年ソウルドラマアワードで監督賞にノミネートされた「Home Coming」への出演等俳優としても活躍。ジョー役のジミー・ハンは、ドラマ「ブラック&ホワイト」でボス役を演じながらアクション監督も務めた。小さい頃から父サモ・ハンの撮影現場に同行し、「父の姿を見て影響を受けたと思う」と語るように、俳優だけではなく、映像に関してマルチな才能を発揮している。本作では父サモ・ハンが、エグゼクティブ・プロデューサーとして参加している。
キャストの5人は撮影の3ヶ月前からそれぞれが担当する楽器のレッスンを開始。撮影開始時には全員が実際に演奏出来るまでになった。更にこの映画のもうひとつの魅力となる楽曲は、撮影の合間にスタジオにジミーが皆を集め、彼らの意見を取り入れながら作り上げた。
「撮影現場が本当に楽しければ、それが必ず作品に現れる」そうジミーが語るように、全てのシーンにおいて5人の固い絆がスクリーンに映し出され、映画の雰囲気を盛り上げている。

ストーリー


音楽で成功する夢をかなえるために、ジョー(ジミー・ハン)はアメリカから一人、台湾にやってくる。レコード会社の人を紹介すると言ったリー(サモ・ハン)とは連絡が取れない。ギターケースを片手に町をさまよっていると、突然数人の青年に襲われ、ギターを奪われる…。

ジョーが仲間のタカ(エリック・トゥー)のギターを盗んだと思い、取り返すために追ってきたのはバンド≪SMASH≫のメンバー、マイク(ヴァネス・ウー)、イー(ディーン・フジオカ)、ジェイソン(クリス・ルン)。ベーシストのタカにギタリストになれと迫っていたマイクの気をそらすため、タカが「ギターを盗まれた」と嘘をついたため、偶然居合わせたジョーが犯人と勘違いされたのだ。

誤解を解き、ジョーはアメリカから来た理由を彼らに話す。ちょうどギタリストを探していたメンバー達は、ジョーを自分たちのバンドに引き入れる。ボーカルのマイク、リードギターのイー、ベースのタカ、ドラムのジェイソンにギターのジョーが加わり、新生≪SMASH≫が誕生する。

数日後、ようやくジョーはリーと連絡が取れ、メンバー全員で会いに行く。その夜、リーの紹介で大手レコード会社のプロデューサー・チェンが彼らの演奏を聞き、すぐに契約が決まる。早速デビューに向け意気揚々と準備を始めた彼らだったが、最初のステージはパッとせず、観客がほとんど立ち去ってしまい、大失敗。初のTV出演も、MCからの質問に答えることができず、ほぼ映らないまま終了。マネージャーからきついダメ出しを受ける。

楽屋の出待ちをするファンが一人もいない状況にもめげず夢に向かって邁進する彼らに、念願のファーストコンサートを上海で開く機会が訪れる。それが転機となり、テレビ局の入口には少しずつ彼らを待つファンが増え、アルバムは評判を呼び、ついにはアルバム賞を獲得する。いつしか押しも押されぬスターへと成長した≪SMASH≫。そんな彼らの生活は一変し、徐々にメンバーの絆にも変化が訪れる。

密かにメンバーのための曲を作っていたジョーは、ある日マイクに呼び出される。指定の場所に行くと、酔って交通事故を起こしたマイクが待っていた。陰に隠した車の中には知らない女性がケガをして意識を失っていた。誰にも言わない約束で、ジョーはその場を処理する。

翌日マイクがジョーに一方的にケンカを仕掛ける。知らない間に、マイクがバーで酔う姿、事故を起こした事、そのすべてを隠し撮りされていた。それを自分を追い落とそうとするジョーの企みと勘違いしたマイクと、訳がわからないジョー。殴り合いのケンカになり、ジョーの大切なギターが壊れてしまう。ジョーは部屋を飛び出し、マイクはひとり残される。

2人の関係が修復される間もなく、屋外での収録が始まる。炎天下での撮影中に顔色が冴えないマイクが突然倒れた。医者の診断は「不整脈原性右心室心筋症」。心臓に問題があり、予断を許さない状態だった。マイクがよくなるまでは沈黙を守り、≪SMASH≫は活動を休止することに。
突然の休止発表に、ありもしない噂がマスコミを騒がせる・・・。

スタッフ

監督 : セブン・リー(李劭尹)
脚本・音楽 : ジミー・ハン(洪天祥)
エグゼクティブ・プロデューサー : サモ・ハン(洪金寶)
プロデューサー : ジミー・ハン(洪天祥) 、エリック・トゥー(涂百鋒) 、ヴァネス・ウー(呉建豪)
撮影 : チェン・ジエンリー(陳建利) 
音効 : トゥー・ドゥーチー(杜篤之)
照明 : チョウ・フアグアン(周華光)
編集 : ジミー・ハン(洪天祥)、クー・シャオイー(顧暁芸)
美術 : チアン・イーユエン(江益元)
衣裳 : チュウ・イエンハオ(朱彦豪

製作 : Smash and Grab Productions)

キャスト

ヴァネス・ウー(呉建豪)
    ジミー・ハン(洪天祥)
    エリック・トゥー(涂百鋒)
    ディーン・フジオカ(藤岡靛)
    クリス・ルン(隆宸翰)
    シエンズ(弦子)

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