私の男
原題:My Man
第 36 回モスクワ国際映画祭 コンペティショ部門
2013年/日本/129分/5.1ch/シネマスコープ/カラー/デジタル/R15+ 配給:日活
2015年02月03日よりDVDリリース 2014年6月14日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー!
(C)「私の男」製作委員会
公開初日 2014/06/14
配給会社名 0006
解説
原作:桜庭一樹 × 主演:浅野忠信・二階堂ふみ × 監督:熊切和嘉
世界を挑発する、濃密で美しい衝撃作
冬のオホーツク海、流氷の上で起きた殺人事件。
暗い北の海から逃げるように出ていく父と娘は、
互いに深い喪失と、ふたりだけの濃厚な秘密を抱えていた・・・。
禁断の愛を描いた直木賞受賞のベストセラー小説が、
運命のキャストにより待望の映画化!
10歳で孤児となった少女・花は、遠縁にあたる淳悟に引き取られる。孤独だったふたりは、北海道紋別の田舎町で寄り添うように生活を送っていた…。理屈を超えた禁断の愛のかたち。オホーツク海の流氷が魅せる一大スペクタクル。その刺激的なテーマと極限的な舞台設定から、映像化不可能と言われた桜庭一樹による40万部超のベストセラー小説「私の男」。第138回直木賞を受賞した本作の映画化が、タイミングが違えば決して叶うことのなかった“運命”のキャストによって遂に実現した。
憂いと影を帯びながらも、どこか優雅な男「淳悟」を演じるのは、数々のハリウッド大作に出演する一方、今年「ロング・グッドバイ」(NHK)で自身にとっても連続ドラマ初主演するなど、日本を代表する役者としてますますその演技と活動の幅を拡げている浅野忠信。昨年、俳優生活25周年を迎えた浅野は、「今までのキャリアをぶつけるのにこれ以上のものはなく、自分にしかできない役」という覚悟と意気込みで本作に挑んでいる。そして、孤児となり淳悟に引き取られる少女「花」を演じるのは、16歳にしてヴェネチア国際映画祭最優秀新人賞を受賞した二階堂ふみ。昨年も『地獄でなぜ悪い』、『四十九日のレシピ』、『脳男』の熱演で、ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。どんな役柄であっても、圧倒的な存在感を放つ稀有な女優である。本作は、二階堂が18歳になるのを待ってクランクイン。自身も“運命の役”と語り、10代とは思えない妖艶さで、体当たりの演技を披露している。
さらに、物語の鍵を握り、淳悟と花を見守る地元の名士でふたりの遠縁にあたる大塩を藤竜也が演じており、大島渚監督の『愛のコリーダ』で世界を挑発した藤が、本作でモラルの象徴として登場することも興味深い。また、東京に移った淳悟と花の心の変化を映す存在として登場する青年・美郎を高良健吾が演じる。そして、大塩の死に疑問を抱く地元の警察官・田岡にモロ師岡、淳悟の恋人・小町に河井青葉、幼少時の花にNHK連続テレビ小説「花子とアン」への出演が決まっている山田望叶(新人)がそれぞれ扮し、物語にさらなる奥行きと深みを与えている。
日本の映画界を支える名優と気鋭の若手俳優たちが、監督・スタッフと共に共犯関係を築きあげ、2014年、世界を挑発する濃密で美しい衝撃作を完成させた。
ダイナミックな流氷を舞台に繰り広げられる
切なくも美しい極限エンターテインメント!
監督は、その緻密な心理描写と美しい映像表現が国内外で高く評価されている熊切和嘉。作者である桜庭一樹が絶賛するほど原作の持つエッセンスを見事に抽出した脚本を手がけたのは、宇治田隆史。撮影は、『桐島、部活やめるってよ』、『横道世之介』など話題作を次々と手がけている近藤龍人。音楽を担当したのは、日本映画に造詣が深く、若松孝二監督、青山真治監督の映画音楽も手がける世界的ミュージシャンのジム・オルーク。熊切監督が、宇治田、近藤、ジムと組んだ『海炭市叙景』、『夏の終り』に続き、抜群のチームワークで叡智を集結した本作は、熊切和嘉の集大成であり、「禁断のラブストーリー」にして、ある殺人事件を発端とする映画的な興奮とスリルに満ちた「至高のサスペンス」だ。
そして、この物語に欠くことのできないのが、流氷で起こった殺人事件であり、この流氷での撮影シーンこそが、原作権を預けながら、長らく映画化が頓挫してきた最大の理由のひとつだった。実際に流氷の上で芝居をした藤が「まるで我々の撮影を待っていたかのように、流氷がロシアから南下してくれた。この映画は、祝福されていると思った」と語る。毎日早朝から、熊切監督が流氷の状態を確認、カメラマンの近藤やチーフ助監督と共にその日の撮影ポイントを決めて、シーンの繋がりが損なわれないように、造園するかのように流氷の形を整えていく。監督をはじめとする撮影スタッフのプロ魂と意地が、流氷のいち早い接岸を導いたと言っても過言ではない。35mmフィルムに収められた広大な美しい流氷の上で繰り広げられる人間ドラマは、激しく魂と魂がぶつかり合う映画ならではの唯一無二のシーンとなっている。
北海道の壮大な風景を舞台に、観客の心を激しく揺さぶる日本映画の新たな傑作が誕生した!
ストーリー
奥尻島を襲った大地震による津波で家族を失った10歳の花は、遠い親戚と名乗る男・腐野淳悟に引き取られることになった。家庭に居場所がないと感じながらも、一度に全てを失い茫然自失の花。淳悟もまた、家族の愛を知らないまま、白銀の冷たく閉ざされた町で独り生きてきた。「今日からだ」。紋別に向かう車の中、失ったものとこれからの不安とで、堰を切ったように泣く花の手を握りしめ話しかける淳悟。「俺は、おまえのもんだ」。孤独な魂が共鳴するように、ふたりはお互いの手を握り続けた。
冬には流氷がギィーッギィーッと軋むような音を立てながら接岸する紋別の田舎町。春から中学生になる花と、海上保安庁で働く淳悟は、ふたり寄り添うように暮らしていた。淳悟は地元の銀行に勤める恋人・小町と情事を重ねていたが、どこか心はここにあらず。小町は、すべてを見透かしたように淳悟への真っ直ぐな思いを自分に語る花に苛立ちを隠せずにいた。地元の名士であり、小町の祖父で淳悟と花の遠縁にあたる大塩も、孤児になった当初から花のことを気にかけ、ずっとふたりの生活を見守っていた。
4年後の冬。町が雪に包まれ、流氷がやってきた。高校生になった花と淳悟のただならぬ関係に気がついた大塩は、花を淳悟から引き離そうと画策する。ある日、町中で大塩とばったり会った花は、大塩に旭川の親戚の家に身を寄せるよう助言される。大塩への不信感と怒りとが芽生えた花は、海に向かって歩き出す。花を追いながら「あんな男に所詮、家族なんてのは無理だよ! 分かってたよ!」と話しかける大塩。一心不乱に歩く花の先には、一面の流氷が広がっている。「アンタ知らないんだ! アンタとあの男は…」。決定的な事実を告げようとする大塩に、花は全身で思いの丈を叫んだ—。その日を最後に、大塩は姿を消した。町を挙げての捜索の末、海の上で氷になって見つかった大塩。淳悟と花は、人知れず暗い北の海から逃げるように町を後にする。
半年後、東京。高校に通う花と、タクシー運転手として働く淳悟は、古い平屋でふたりひっそりと暮らしていた。ある昼下がり、夜勤に備えて一人自宅で休んでいた淳悟のもとに、思いがけない訪問者が現れる。それは、紋別で大塩の世話になり、小町に想いを寄せていた警察官・田岡だった。田岡はあれから独自に大塩の事件を捜査していた。かつて花のものだったメガネを見せられすべてを悟った淳悟は、血の気が引くのを感じた。ふたりだけの秘密を守るために、お互いを庇い合い暴走していく淳悟と花を待ち受けるものは—。
スタッフ
監督:熊切和嘉
原作:「私の男」(桜庭一樹/文春文庫刊)
製作:藤岡修、由里敬三、分部至郎、木村良輔、宮本直人
エグゼクティブプロデューサー:永田芳弘
プロデューサー:西村信次郎、西ヶ谷寿一
ラインプロデューサー:金森保
原作:桜庭一樹
脚本:宇治田隆史
撮影:近藤龍人
照明:藤井勇
録音:吉田憲義
美術:安宅紀史
装飾:山本直樹
衣装:小里幸子
ヘアメイク:清水ちえこ
編集:堀善介
音楽:ジム・オルーク
助監督:海野敦
スクリプター:田口良子
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
ロケーション総括:中村哲也
制作担当:刈屋真
アソシエイトプロデューサー:西宮由貴、小松重之
キャスト
浅野忠信
二階堂ふみ
高良健吾
藤竜也
モロ師岡
河井青葉
太賀
相楽樹
三浦誠己
安藤玉恵
三浦貴大
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