原題:Warriors of the Rainbow I : Sun Flag

第48回台湾金馬奨 グランプリ・最優秀助演男優賞・映画音楽賞・音響効果賞・観客投票賞 第68回ヴェネチア国際映画祭 正式出品 第7回大阪アジアン映画祭 観客賞 アカデミー外国語映画賞 2011年台湾代表作品

2011年/台湾/カラー/セデック語・日本語/第一部「太陽旗」144分・第二部「虹の橋」132分・計276分/HD 提供:マクザム、太秦 配給:太秦

2014年8月23日(土)より9月15日(月・祝)まで新宿K’s cinemaにて公開 2013年8月3日、渋谷ユーロスペースでのアンコール上映 2013年4月20日、渋谷ユーロスペース、吉祥寺バウスシアターほか全国順次ロードショー

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公開初日 2013/04/20

配給会社名 0864

解説


1930年、日本統治下の台湾で起きた壮絶な事件を渾身の映画化

1895年(明治28年)から1945年(昭和20年)までの50年間に及んだ台湾の日本統治時代。統治下の台湾では日本人化運動が推し進められ、新しい文化文明がもたらされる一方、原住民族独自の文化や習慣がないがしろにされたり、一部では過酷な労働と服従を強いられるようになっていた。そんな中1930年、日本人警察官との間で起こった小さないざこざが原因で発生した先住民による武装蜂起、日本統治時代後期の最大規模の抗日暴動が「霧社事件」である。
映画『セデック・バレ』は、“文化”と“信仰”の衝突という視点で「霧社事件」を描いた、4時間36分に及ぶ歴史超大作である。第一部『太陽旗』では日本の統治下で苦しい生活を強いられてきたセデックの人々が、ある事件をきっかけに部族の誇りをかけ、武装蜂起するまでが描かれる。そして、セデック族のあいだで「死後に渡る」と信じられてきた虹の橋を象徴とする第二部『虹の橋』では、蜂起したセデック族に対する日本の警察および日本軍の報復、セデック族の人々を襲う悲劇と多大な犠牲が、憎しみや恨み、家族愛、苦悩、葛藤などさまざまな感情の交錯をまじえながら、生々しく描かれる。

構想10余年、台湾の新鋭ウェイ・ダーション監督(『海角七号/君想う、国境の南』)のもとに
安藤政信、ビビアン・スーら国境を超えたキャストが集結

監督はデビュー作『海角七号/君想う、国境の南』で台湾映画史上歴代第1位の大ヒットを記録したウェイ・ダーション。「霧社事件」を扱った漫画を読み、血がたぎるような想いにかられ映画化を決意したというウェイ監督は1999年から本作の脚本に取りかかり、5分ほどのトレーラーを作って資金を集めることを繰り返し、最終的に『海角七号〜』をヒットさせることで自らの実力を証明し出資を募った。そして、国際的映画監督ジョン・ウーがプロデューサーに加わり、日本映画美術界を代表する種田陽平がプロダクションデザインを担当。徹底した歴史考証に基づき、壮大なスケールで霧社の村を見事に再現した。
セデック族のキャストには原住民を起用。頭目のモーナ・ルダオの晩年を演じたリン・チンタイの本職は(現在も)牧師であり、若きモーナ・ルダオを演じたダーチンは本作への出演で俳優としてのスタートを切った。原住民キャスト以外の脇を固めるのは、多くの海外映画に出演する国際的俳優・安藤政信、俳優・監督として映画界でも活躍する人気芸人・木村祐一、母親が原住民族出身の台湾人女優ビビアン・スー。構想から10年以上、アジアの映画人が結集し、エンタテインメントを凌駕する一大巨編が誕生した。

かつて誰も味わったことのない獰猛な映画体験
価値観が乱される4時間半!!第一部&第二部、一挙公開!!

本作はほぼ無名の俳優たちをメインの役柄に起用したにも関わらず台湾でメガヒットを記録し、第48回台湾金馬奨にて最多11部門にノミネート、見事グランプリを受賞。観客投票賞でもグランプリに選ばれたほか、助演男優賞、映画音楽賞、音響効果賞を獲得した。2011年ヴェネチア国際映画祭のワールドプレミア上映では世界の映画人たちから注目を集め、アカデミー外国語映画賞台湾代表作品にも選出された。さらに、ここ日本でも2012年3月に開催された第7回大阪アジアン映画祭では、4時間36分の完全版(台湾ドメスティックバージョン)での上映が大きな話題となり、圧倒的な支持を得て観客賞に輝いた。ウェイ監督からの強い希望を受け、劇場公開でも完全版での上映が決定した。
本作のタイトル『セデック・バレ』とは“真の人”を意味するセデック語。これは死を覚悟しながら、それぞれが信じるもののため戦った者たちの命の尊厳を問う物語である。その生き様に全身が打ち震えるだろう。

ストーリー

第一部:太陽旗

台湾中部の山岳地帯に住み、虹を信仰する誇り高き狩猟民族—セデック族。彼らは山深い桃源郷で大地と共存し、周囲の動植物と調和を保ちながら生きていた。その一方で、戦った相手の首を狩るという古くからの風習も残っていた。そのセデック族の中に勇猛果敢に猪を追う一人の若者がいた。セデック族の一集落であるマヘボ社を統べる頭目の子モーナ・ルダオ。彼は、初めての首狩りで瞬く間に2つの首を狩り、村の内外にその名を響き渡らせた。だが、その勇名は、同じセデックのトンバラ社のタイモ・ワリスとの間に長年に渡る遺恨を残すきっかけともなる。

1895年、日清戦争で清が敗北したことにより、彼らの暮らす山奥にも日本軍が押し寄せてきた。必死に抵抗するも、圧倒的な軍事力によって日本軍は次々と集落を支配していき、平穏な生活を奪っていった。マヘボ社にも入ってきた日本軍に反抗するモーナだったが、最後には従うしかなかった。

彼らは“蕃人(野蛮人)”として扱われながら、日本人として生きるよう教育された。日本の文化を学び、独自の文化や風習は禁じられ、さらには過酷な労働と服従を強いられる。日本の統治下に置かれて35年の月日が流れ、セデック族の頭目となったモーナは日々を耐え抜いていた。先祖が作り上げた狩り場が、日本の統治下で徐々に失われていくことが彼の心を痛めつける。自らが守る狩り場で鍛錬をし、顔の刺青によって真のセデック族になってこそ、死後は祖先のいる虹の橋を渡ることができるのだ。

そんな中、マヘボ社に配属された日本人警察官・吉村とセデック族の一人がセデック族の婚礼の場で衝突してしまう。その騒動をきっかけに、長らく押さえ込まれてきたセデック族の若者が頭目であるモーナに日本軍への反撃を迫ることとなる。これは完全な負け戦であり、セデック族滅亡の危機になりかねないことは分かっていたが、命を賭け民族の尊厳のために決起してこそ“セデック・バレ=真の人”になれると考えたモーナは、行動を開始。この35年、モーナは密かに大量の火薬を集め、奪われた狩り場を取り戻す準備をしていたのだった。

わずか一日の間にマヘボ社の青年が伝令に走り、各社で決起に賛同する人々が集結した。まずは日本人警察官の駐在所を襲撃。やがて決起部隊は霧社公学校へ。各集落のセデックの群衆を前にモーナは叫ぶ。「よく聞け、セデックの男たちよ! 敵の首を狩れ。魂を血で洗い清め、虹を渡り、永遠の狩り場へ行こう!」

その日、霧社公学校では日本軍と警察組織の運動会が開催され、高官から一般人まで200人余りが集まっていた。日本国旗が掲揚され、国歌斉唱が始まろうとしたまさにその時、民族衣装に身を包んだ300人の男たちが運動場の四方から飛び出し、逃げ惑う日本人を襲った。一瞬にして、運動場は修羅場と化した。

スタッフ

監督・脚本・編集:ウェイ・ダーション(魏徳聖)
製作:ジョン・ウー(呉宇森)、テレンス・チャン(張家振)、ホァン・ジーミン(黄志明)
撮影:チン・ディンチャン(秦鼎昌)
プロダクションデザイン:種田陽平
提供:マクザム、太秦
配給:太秦

キャスト

リン・チンタイ(林慶台)
ダーチン(大慶)
安藤政信
マー・ジーシアン(馬志翔)
ビビアン・スー(徐若瑄)
木村祐一
ルオ・メイリン(羅美玲)
ランディ・ウェン(温嵐)

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