原題:Un heureux événement

2011年/フランス/カラー/107分/R-18/ 配給:アニープラネット

2012年12月22日(土)新宿武蔵野館ほかにて全国順次ロードショー!

(C)2011 MANDARIN CINEMA?GAUMONT?RANCE 2 CINEMA?SCOPE PICTURES-RTBF

公開初日 2012/12/22

配給会社名 0406

解説


愛する人の子供を授かった! 喜びに包まれたバルバラは、自分の身体に起きる初めての変化に興味津々。妊娠したら母性は目覚め、出産後は赤ちゃんとの楽しい生活が始まるもの……。そんな幻想を抱いて飛び込んだ新生活は、戸惑いの連続だった。ホルモンのバランスが崩れて精神的にも肉体的にも不安定になるバルバラに対し、パートナーのニコラはのほほんとマイペース。出産してからは育児の負担と責任がバルバラの肩にのしかかり、息切れ寸前だ。育児への考えの違いからふたりの仲も険悪になっていき……。

 妊娠、出産、育児は明るくポジティブなイメージで語られることが多いが、子供中心の生活になじめず、誰にも言えない葛藤が芽生えるのも事実だ。日本以上に出産、育児支援制度が充実し、特殊合計出生率がV字回復し、2.00越えを果たしたフランスでも、母親への負担は大きいという。神学ミステリー「クムラン」シリーズなどで、日本でも人気の小説家エリエット・アベカシスもそう感じたひとりだ。彼女自身の体験をモデルにしたベストセラー「UN HEUREUX EVENEMENT」を、フランスの新鋭レミ・ブザンソン監督が映画化した。ブザンソンは監督2作目「Le premier jour du reste de ta vie」(08)がフランスで大ヒットし、09年にセザール賞で、最優秀オリジナル脚本賞、最優秀監督賞、最優秀作品賞の3部門にノミネートされた注目株だ。

 主演は、リュック・ベッソン監督のアドベンチャー大作『アデル/ファラオと復活の秘薬』(10)で主演に大抜擢された、クールビューティのルイーズ・ブルゴワン。ヒロインのバルバラの体型の変化を見せるために、ラテックス製の大きなお腹を特殊メイクで取り付けたり、情熱的なベッドシーンにも挑戦している。ブルゴワンの相手役には、ブザンソン監督とは2作目となる若手実力派のピオ・マルマイ。映画とゲームを愛するオタク青年から、家族を支える父に成長するニコラを、愛嬌たっぷりに演じている。他に、『彼女の彼は、彼女』など、フランス映画界で長年活躍する女優兼監督のジョジアーヌ・バラスコが、バルバラの母親役で登場。『黄色い星の子供たち』(10)のティエリー・フレモンも、ニコラを支えるトニ役でとぼけた味わいを添える。

 出産の喜びと離婚の危機が紙一重だなんて、誰も教えてくれなかった。ここまで赤裸々に出産前後の真実に迫った映画はあっただろうか。これから結婚、出産を経験する人は必見の感動作だ。

ストーリー





 出産を目前に控えたバルバラ(ルイーズ・ブルゴワン)は、パリのアパルトマンで沈んでいた。もうすぐ母になるのに、なぜうれしさより、世界から切り離されたような、言いようのない孤独を感じているのだろうと。
 数ヶ月前、バルバラはレンタルビデオ店で、イケメン店員のニコラ(ピオ・マルマイ)を見かけた。ニコラのボス、トニ(ティエリー・フレモン)の後押しもあり、あっという間に情熱的な恋に落ちたふたりは、すぐに同棲を開始。やがて、妊娠が判明する。

 しかし、ニコラは映画監督志望のフリーターで、バルバラは大学院で哲学の博士課程中の身だ。経済的に不安定なふたりが親になることに、バルバラの母クレール(ジョジアーヌ・バラスコ)は肩をすくめるしかなかった。クレール自身、シングルマザーとして娘ふたりを女手ひとつで育て上げた苦労人なのだ。一方、ニコラの母は孫の知らせに大喜び。まだ見ぬ孫の名付けにしゃしゃり出てきて、バルバラはつい身構えてしまう。
 出産予定日は3月5日。皮肉にも、バルバラの博士論文も3月が締め切りだ。出来次第で助教授の椅子が用意される大チャンスだというのに、激しいつわりに襲われ、ホルモンバランスの乱れのせいで、感情は乱高下。その上、定期検診、赤ちゃん用品の買い出し、母親教室参加と、バルバラは落ち着いて論文を書く暇もない。安定期に入ると、性欲が異常に増すという意外な変化が現れた。しかし、ショックなことに、お腹が目立ち始めてから、ニコラが萎えてしまう事態が発生する。バルバラはバイブレーターで我慢するしかなかった……。

 バルバラが出産に向けて喜びと不安を感じている最中、ニコラも大黒柱として家族を背負う覚悟を決めた。映画監督になる夢を諦めて、サラリーマンになるのだ。子育て向きの部屋への引越しも決まった。

 破水から始まったバルバラの出産は過酷だった。出産を担当する産婦人科医が、ニコラの叔父なのだ! その上、ニコラの母が出産に立ち会いたいと病院に押しかける。パニックになりかけたバルバラだったが、陣痛に耐えて玉のような女の子を無事に出産。バルバラとニコラは感動の涙を流して喜んだ。

 娘はバルバラの希望通り、レアと名付けられた。レアのすべてが愛おしく感じられ、バルバラは母になった実感を噛みしめる。ところが退院当日、「もう少し入院していたい」と、看護師に泣きつく。初めての育児に怖じ気づいたのだ。

 新居で3人の生活が始まった。レアはバルバラに似て、よく泣き、夜は寝ない性格だった。育児書を何冊読んでも対応策は見つからず、バルバラの生活は荒れる一方だ。コーヒーを飲むことはおろか、服を着替える余裕もない。寝不足でフラフラの状況をニコラにこぼしても「俺だって疲れてる」と一蹴されてしまう。睡眠不足解消のために始めた添い寝のせいで、セックスもご無沙汰だ。

 ストレス解消と夫婦仲修復のために、バカンスに出掛けた。ベビークラブにレアを預けたふたりは、開放感からひさしぶりに恋人気分を取り戻したが、それも一瞬のことだった。

 子供が生まれたら、幸せな家族になれると幻想を抱いていたバルバラとニコラ。現実は、夫婦関係はボロボロで、子供は泣き止まず手がかかるばかり。挫折続きで自信を失ったバルバラは、以前にも増して完璧な母親を目指し、育児にのめり込んでいく。そんな彼女に違和感と疎外感を感じたニコラは、思わず不満を爆発させてしまった。

 バルバラはなぜ、理想の母親像や完璧な育児にこだわるのか? その答えは意外なところにあった。

スタッフ

監督:レミ・ブザンソン
原作:エリエット・アベカシス
脚本:レミ・ブザンソン、ヴァネッサ・ポルタル

キャスト

ルイーズ・ブルゴワン
ピオ・マルマイ
ジョジアーヌ・バラスコ
ティエリー・フレモン

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