横道世之介

吉田修一による“青春小説の金字塔”を、沖田修一監督が待望の映画化！

長崎県の港町で生まれた横道世之介（よこみちよのすけ）は、大学進学のために上京したばかりの18歳。
嫌味のない図々しさ、頼み事を断れない人の良さ、底が浅いのか深いのか測りかねる言動が人を惹きつける。
本作で描かれるのは、お嬢様育ちのガールフレンド・与謝野祥子をはじめ、世之介と彼に関わる人たちの青春時代とその後の人生。そして、35歳になった世之介がある出来事でこの世を去ってしまった頃、その愛しい日々と優しい記憶の数々は鮮やかにそれぞれの心に響きだす……。
原作は、「パレード」や「悪人」など、著作が次々と映画化されている吉田修一の「横道世之介」。
第23回柴田錬三郎賞、2010年本屋大賞3位を受賞した“青春小説の金字塔”と呼ばれる長編小説だ。
『南極料理人』、『キツツキと雨』の沖田修一監督が、不器用ながらも真っ直ぐに生きる世之介と周りの人たちを、優しさとユーモアに富んだ演出で包み込む。映画が幕を閉じても、観客全員にとって世之介は、思い出すたびにニヤニヤと微笑んでしまう大切で愛しい存在になっているだろう。

若手実力派から個性あふれるベテランまで、豪華俳優陣が沖田組に集結

「沖田監督の作品に出たい」—その思いに突き動かされた俳優たちがキャスティングされ、豪華俳優陣が勢揃いした『横道世之介』。主人公の世之介には、沖田作品4作目にして満を持しての初主演となる高良健吾。ガールフレンドの祥子には吉高由里子がキャスティングされ、『蛇にピアス』以来5年ぶりとなる共演が実現した。
世之介の大学の友達・倉持に池松壮亮、世之介が憧れる謎めいた年上の女性・千春に伊藤 歩、やはり大学の同級生で女性に興味がない加藤に綾野 剛ら若手実力派たちが、それぞれに世之介とのストーリーを紡いでいる。
その他、朝倉あき、黒川芽衣、柄本 佑、佐津川愛美ら若手から、井浦 新、江口のりこ、堀内敬子、そして國村 隼、きたろう、余 貴美子らベテランまで、個性的な俳優たちが、ユーモア溢れるアンサンブルを奏でている。

注目の才能、「五反田団」の前田司郎が脚本に参加

共同脚本に名を連ねるのは、劇団「五反田団」の主宰であり、劇作家、演出家、俳優、小説家としてその才能が注目を浴びている前田司郎。2008年、戯曲『生きてるものはいないのか』で第52回岸田國士戯曲賞受賞。2009年、小説『夏の水の半漁人』で三島由紀夫賞受賞。
映画やテレビドラマの脚本を単独で手がけたことはあるが、共同脚本は『横道世之介』が初。
中学時代からの同級生である沖田監督の作品ならばと、夢のコンビが実現した。
撮影の近藤龍人と照明の藤井勇は、『桐島、部活やめるってよ』（吉田大八監督）、『マイ・バック・ページ』（山下敦弘監督）、『ソラニン』（三木孝浩監督）などの作品に参加してきた名コンビ。沖田組の常連である美術の安宅紀史が構築する、1987年と2003年という2つの時代感も見所だ。

世之介の記憶を鮮烈に彩る、ASIAN KUNG-FU GENERATIONによる書き下ろし主題歌

走り出す世之介を捉えたラストの感動的な長回し。
それを引き受ける形で流れる主題歌の「今を生きて」を書き下ろしたのは、アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATION。「祝祭のようなエンディングを」という制作サイドのオーダーを受けたボーカル＆ギターの後藤正文は、
「映画を見て、今この時を生きていることを、もっと喜びたいなと思いました。家族や友だちや恋人や世界そのものがいとおしくなるような、そんな作品でした。そういう思いに、そっと花を添えるような、そんな楽曲を作ることができたと思います」とコメント。また、劇中曲をマルチ弦楽器奏者の高田漣が手がけ、世之介の人柄を表すような温かなスコアで物語を優しく飾っている。