原題:milocrorze

第35回香港国際映画祭の「I SEE IT MY WAY」部門正式招待 2011年NYAFF 2011年韓国・プチョン国際ファンタスティック映画祭

2011年/日本/カラー/90分/ 配給:ディーライツ

2012年11月24日よりシネクイントほか全国順次ロードショー

(C)2012「ミロクローゼ」製作委員会

公開初日 2012/11/24

配給会社名 0794

解説


◆愛の象徴=ミロクローゼ
 神秘的な美女に恋をする子どものような外見の会社員、草食系男子の悩みを一刀両断する恋愛相談員、何者かにさらわれた恋人を探す片目の浪人。「ミロクローゼ(=太陽)」のタイトルが示すように彼らはみんな、自分だけの「愛の象徴」を持つ。一見、曖昧に結びついているだけの三者三様のラブストーリー。だが3人は同じ時空を生き、愛に惑い、溺れ、一人の愛する女になりふり構わず突き進む愚かな男なのだ。果たして男たちは「ミロクローゼ」をその手につかむことができるのか。ハチャメチャな奮闘が、ペーソスを交えた笑いを誘いだしていく。

◆世界席巻、異様にしてキャッチー
2011年3月の香港映画祭を皮切りに、2012年8月のインドシネファン・フェスタまで、約1年半にも及ぶ地球一周の巡回上映を経て、映画『ミロクローゼ』がついに日本に逆上陸! アメリカのニューヨークアジア映画祭ではオープニング作品に選ばれ、主演・山田孝之が日本人初のライジング・スター・アワードを受賞。北米最大級の映画祭であるファンタジア・フェスティバルでも長編劇映画部門 最優秀監督賞含む4部門に輝くなど、世界中のシネフィルの熱烈な支持を集めてきた。
 コンテンポラリーでファッション性に優れた映像、リズミカルなカット割り、グルーヴィーなミュージック、異国情緒あふれる緻密な美術装置、ラストの絵巻を思わせる長回し。異様にしてキャッチーな『ミロクローゼ』は「何を、どう見せるか」にとことんこだわっており、そして生み出されたノンバーバル的なスタイルが世界の幅広い評価を獲得した。まるで音楽を聴くようなカジュアルな感覚で、この映画を楽しめるはずだ。

◆ポップ×アート×セクシー! 唯一無二の「石橋ワールド」
思想や概念を飛び越えた、型にまったくはまらない『ミロクローゼ』を手がけたのは石橋義正監督。インスタレーションや映像作品、あるいはメディアを駆使したパフォーマンスを国内外の美術館や劇場で発表し続けているほか、悪夢のような一夜の出来事を70年代歌謡曲にのせて描く『狂わせたいの』(97)、テレビ番組『バミリオン・プレジャー・ナイト』(00)などを製作。なかでも『バミリオン・プレジャー・ナイト』のワンコンテンツであるショートドラマ『オー!マイキー』は、登場人物がすべてマネキンというシュールな構図とブラックな笑いが話題を呼び独立展開。02年には『オー!マイキー』の英語吹替え版「ザ・フーコンズ」がベルリン映画祭に出品、現在も国内のコマーシャル、海外のテレビ放映など、シリーズとして根強い人気を誇る。
 そんな石橋監督が常に意識していること、それは「映画産業の新しい分野」の提示。漫画やドラマなどの原作を持つ映画ばかりが脚光を浴びる日本映画の現状。映画とテレビドラマは数年前からノーボーダー化し、オリジナルの企画が縮小気味な事態に石橋監督は「映画は新しさと価値を失いつつある」と危機感を覚えた。それが『ミロクローゼ』に取りかかったきっかけだ。そして着想から約6年——。新たな可能性を模索し、ついに唯一無二の「石橋ワールド」が完成した。『ミロクローゼ』で我々が得る新鮮さと刺激は、鈴木清順、中島哲也、もしくはクエンティン・タランティーノやティム・バートンがオーバーグラウンドを駆け上がったときの感覚に近いかもしれない。突き刺さるほどポップで、見とれるほどアーティスティックで、激しくセクシー。「石橋義正、ここにあり」を主張するには十分すぎる映画である。

◆山田孝之が一人三役に挑戦
いまもっとも熱視線を注がれる俳優・山田孝之が扮するのは、愛に突き動かされる3人の男。ソウルの帝王ジェームス・ブラウンばりのダンス、『マグノリア』(99)のトム・クルーズを彷彿とさせる怪演で見せ切る恋愛相談員・熊谷ベッソン。現代劇、西部劇、時代劇をわたり歩く浪人・タモン。絵本のような世界に生きるチャーミングなキャラクター、オブレネリ ブレネリギャー。そのカラフルな演じ分けは、固定のイメージを持たない山田孝之の「真骨頂」と言えるだろう。また、本作を象徴するヒロイン“偉大なミロクローゼ”にはマイコ。彼女をめぐってオブレネリ ブレネリギャーとひと悶着起こす“なきゃむら”には名優・奥田瑛二。さらに多聞が恋する女性ユリに石橋杏奈、美女揃いの女郎宿「天柘楼」案内人に岩佐真悠子、賭場の主人にプロレスラーの武藤敬司、賭場師には原田美枝子、そしてナレーションに美波といった個性派が顔を揃える。また『ツィゴイネルワイゼン』(80)で知られる名匠で、石橋監督に多大な影響を浴びせた鈴木清順監督が、伝説の刺青師をコミカルに演じているところも注目。
 主題歌『LOST AND FOUND』を手がけたのは、若者に絶大な人気を誇るONE OK ROCK。そのタイトルがあらわすように本作の世界観にあわせて書き下ろした、パワフルな楽曲だ。
ワールドスケールにふさわしいメンバーが集結した『ミロクローゼ』。退屈する暇は皆無。急転を重ねていく怒涛の90分に圧倒される!

ストーリー











 ごく平凡な毎日を送っている、少年のような姿の不思議な男性オブレネリ ブレネリギャー(山田孝之)はある日、公園のベンチに座って暇をつぶしていたところに、ひとりの神々しい美女がやって来る。彼女の名は“偉大なミロクローゼ” (マイコ)。一瞬にして胸がトキめいたオブレネリ ブレネリギャーは、これまでのサエない人生が一変。彼女のために必死に働き、一緒に住むために家まで購入。大好きな“偉大なミロクローゼ”との幸せな生活を手にいれて心躍るが、それもつかの間、関係がギクシャクしはじめる。さらに、“偉大なミロクローゼ”が別の男性と仲良く歩いているところを目撃。恋に破れたオブレネリ ブレネリギャーはショックで心にぽっかり穴が空き、鍋ぶたでそれを塞ぎながら孤独に生きることになる。

 一方、オブレネリ ブレネリギャーと面影の似ている青春相談員・熊谷ベッソン(山田孝之)。毒舌、白のタキシード、小太り、奇抜なヘアスタイルで異彩を放ち、狙った女は必ず落とす最高にダンディなこの男。「半年付き合っている彼女がいるのですが、本当に自分に気があるのか確かめたい」「新幹線の販売員に夢中になったのですが、どうしたらいいですか」「女の子に積極的に行動を起こす勇気がないのですが」——。そんなセンチメンタルでピュアな悩みを抱えた青年たちも、ベッソンにかかれば瞬時にプレイボーイへと大変身! 超上から目線、失礼極まりない罵倒に次ぐ罵倒、さらに秘書のオネーチャンと激しく踊りながら、めくるめくように問題を解決に導く。事務所にいる時はもちろんのこと、車に乗っている時も、彼のもとには電話がひっきりなしに飛びこんでくる。まさに、恋愛の神。イケイケなベッソンを止められる者なんて、もうこの世に存在しない。世界中の誰よりもテンションが上がった彼の車は、人を撥ねても気がつかず走り去っていく。

撥ねられたのは、恋人・ユリ(石橋杏奈)の行方を探す片目の浪人・タモン(山田孝之)。花屋で働くユリに惚れ、身長2メートルの彼氏との激闘の末に見事ハートを射止めるも、謎の盗賊団に彼女をさらわれてしまった悲劇の青年だ。最愛の人を取り戻すため、時空までも超えてあらゆる危険な場所で彼女を探し求めるタモン。それから数年の流浪を経て、ついに刺青師・蛾禅(鈴木清順)から重要な手がかりを得る。その情報をもとにたどり着いたのが、絶世の女郎たちが在籍する遊郭「天柘楼」。果たしてユリを見つけだすことができるのか。タモンは命をかけた闘いに挑む。

スタッフ

監督・脚本・美術・編集・音楽:石橋義正
主題歌:ONE OK ROCK「LOST AND FOUND」(A-Sketch)
音楽:久保田修、生駒祐子、清水恒輔
配給:ディーライツ

キャスト

山田孝之
マイコ
石橋杏奈
原田美枝子
鈴木清順
佐藤めぐみ
岩佐真悠子
武藤敬司
奥田瑛二

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