幸せパズル
原題:Rompecabezas
第60回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品 第57回サンセバスチャン国際映画祭 カサ・デ・アメリカ賞受賞 第25回グアダラハラ国際映画祭 国際批評家協会新人賞受賞 第24回フリブール国際映画祭 コンペティション部門正式出品
2010年/アルゼンチン・フランス合作アルゼンチン映画/スペイン語/1×1.85 ドルビーデジタル/90分 日本語字幕:松岡葉子 配給:ツイン
2011年10月1日(土)、TOHOシネマズシャンテ他にて全国順次ロードショー
公開初日 2011/10/01
配給会社名 0251
解説
主婦マリアが見つけた、 思いもよらなかった才能。
自分だけの時間が、 妻でもなく、 母でもない、
“本当のわたし” を教えてくれる。
日本から一番遠い国 ・アルゼンチンから届いた、
大人のための至福の人生讃歌。
『幸せパズル』はどこにでもいる主婦マリアが、ふとしたことで“ジグソーパズル”の才能に目覚め、“新しい自分”に出会っていく様を、温かさとユーモア溢れる視点で描いた極上の人間ドラマ。夫とは愛し合っているが昔のような情熱はもう存在しない。成長した息子たちはもうすぐ独立する。家族に尽くすことが喜びだったマリアに突如訪れる虚無な思い——本作は、状況や形は違えども誰にでも訪れるこれからの人生への不安と迷いを、ジグソーパズルという意外性ある素材をモチーフに浮彫にしていく。まるで心の隙間を埋めるかのようにピースをひとつひとつ埋めていくことに没頭するマリアと、そんな彼女の様子についていけない夫と息子たちとの関係の変化。自分の世界を守るために積み重ねていく家族への小さな秘密。そして、夫以外の男性に芽生える淡い恋心。夢中になれることが見つかったことで訪れる様々な変化は、マリアの心を自由に解き放ち、輝かせていき、やがて彼女の周りの人々をも変えていく。そして、そんな彼女が自らの手で選びとる、本当に大切なものとは——深い余韻漂うラストと、丁寧に繰り返される毎日に溢れるドラマの数々は“人生のありのままの姿”を鮮やかに映し出し、観る者の共感を誘う。そして、小さなことでもいい、自分だけの充足の瞬間を持つことの大切さを教えてくれるだろう。踊りだしたくなるような軽快なラテンのリズムに乗って描かれる、主婦マリアのささやかな日常の冒険には、明日の貴方への“幸せのコツ”がきっと隠されているはず。
アルゼンチンは『オフィシャル・ストーリー』(1985)『瞳の奥の秘密』(2009)と過去2回のアカデミー賞外国語映画賞歴を持つ知る人ぞ知る“映画大国”だが、実は『幸せパズル』のように一般市民の日常生活の中に豊かなドラマを切り取ることでも定評がある。監督は本作がデビュー作となるナタリア・スミルノフ。オリジナル脚本を何稿も重ね一切のムダを省き、何気ない日々の流れの中にふとした毒やほころびを見てしまうリアリティーを女性ならではの視点で描ききった本作は、初監督作にも拘わらず、2010年ベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出、「コンペ部門で最も刺激的」「傑作!」と大絶賛を受け、主演のマリア・オネットは「主演女優賞最有力候補!」と言われるほど評価が高かった(同年の主演女優賞は『キャタピラー』(若松孝二監督)の寺島しのぶ)。また、本作は同年のサンセバスチャン国際映画祭 カサ・デ・アメリカ賞、グアダラハラ国際映画祭 国際批評家協会新人賞も受賞。この作品の成功により、スミルノフ監督はアルゼンチン映画界で最も期待される監督の1人となっている。また南米映画は各国間のスタッフ協力が盛んであることも特徴のひとつ。本作には2004年カンヌ国際映画祭である視点部門・国際批評家協会賞を受賞した他、世界各国で20以上の賞に輝いたウルグアイ映画『ウィスキー』(2004)の撮影監督バルバラ・アルバレスが参加している。
ストーリー
日本から最も遠い国、南米・アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで。
マリア・デル・カルメン、専業主婦。夫フアンと2人の息子の幸せを生きがいに家族を支えてきた。親戚づきあいが窮屈な日もあれば、妻として、母としての務めに疲れることもある。でも、20年たった今も夫に愛され、息子たちも立派に成長した。50歳の誕生日、たまたまもらったプレゼントがきっかけで、人生が一変する。それまで気付かなかった才能——ジグソーパズルの才能に目覚めてしまったのだ。
叔母が教えてくれたパズル専門店で「パズル大会のパートナー募集」という広告に興味をそそられた彼女は、家族に内緒で新しい世界に足を踏み入れる。広告主は、パズル大会の常連という大富豪の独身紳士ロベルトだった。ジグソーの常識にとらわれない彼女独自の才能に驚いたロベルトは、一緒に世界選手権を目指そうと誘う。夫に嘘をついて外出の口実を作り、彼の邸宅に通ってゲームの規則を学んでいくマリア。一気に花開いていく彼女の才能なら、世界予選となる全国大会を制することも夢ではない。しかし、世界大会への出場は、遠くドイツへの旅を意味するのだった。
マリアは、思い切って全国大会出場の意志を家族に打ち明けた。しかし、夫からは「パズル?」と一笑に付され、息子たちも自分の独立準備に夢中で相手にされない。皆それぞれに自分だけの生活がある家族。自分の情熱に理解を得られず、マリアはますますジグソーにのめり込んでいく。
いよいよ全国大会の日がやってきた。初めての大会。周りの競技者たちの中に、マリアのような方法でジグソーを解いていく者は誰もいない。戸惑い焦る彼女を、ロベルトがそっとなだめた。「君のやり方でやればいいんだよ」
パズルが開いてくれた、目の前の広い世界。マリアは旅立つのか、それとも——。
スタッフ
監督・脚本:ナタリア・スミルノフ
撮影:バルバラ・アルバレス
美術:マリア・ユーゲニア・スエイロ
助監督・配役:ナタリア・ウルッティ
衣装:フリオ・スアレス
制作:ルチア・リエス
音声:フェルナンド・ソルデビラ
編集:ナターシャ・バレルガ
オリジナル音楽:アレハンドロ・フラノフ
製作:ガブリエル・パストーレ、カロリーヌ・ダイノー、ルイス・サルトル、ナタリア・スミノフ
製作総指揮:ガブリエル・パストーレ
キャスト
マリア・デル・カルメン:マリア・オネット
夫フアン:ガブリエル・ゴイティ
ロベルト:アルトゥーロ・ゴッツ
ガルロッタ:ヘニー・トライレス
次男フアン・パブロ:フェリペ・ビリャヌエバ
長男イバン:フリアン・ドレゲール
ラクエル:ノラ・ジンスキー
スサーナ:マルセラ・グエルティー
グラシエラ:ミルタ・ウォンス
カルメン:メルセデス・フレイル
フアンの恋人ビクトリア:デニース・グロエスマン
イバンの恋人カルラ:ジメーナ・ルイス・エチャズ
ペドロ:パチョ・グエルティー
リカルド:ネストール・カニグリア
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