2011年/日本/カラー/16:9/ステレオ/117分 配給:東京芸術大学

2011年09月22日よりDVDリリース 2011年3月26日(土) 渋谷ユーロスペースにて公開

©2011「紙風船」製作委員会

公開初日 2011/03/26

配給会社名 1032

解説


80年の時を経ても変わらぬリアルを、東京芸大生が映画化

大正から昭和にかけて活躍した劇作家、岸田國士。演劇界では小劇団から商業演劇まで、数多く上演され続け、1956年に巨匠成瀬巳喜男が氏の原作を映画化している。80年近く前に書かれた作品が、何故平成の今の世にも受け継がれているのだろうか?それは、ずっと前から変わらない人間同士の温かさや寂しさ、愚かさや愛しさといった、誰しも感じる感情が作品に満ち溢れているからだった。関係性が刹那的になってしまった「こんな時代」だからこそ、改めて気付かされる岸田の世界。企画プロデュース、制作から公開までの全工程を東京芸大が中心となって行なわれ、映画『紙風船』は誕生した。

物語に彩りを添える鎌倉・江ノ島というロケーション

“鎌倉・江ノ島”という歴史と文化が色づく街で、主な撮影が敢行された。「あの星はいつ現はれるか」では湘南藤沢フィルムコミッションに協力を依頼、七夕祭りを再現!「命を弄ぶ男ふたり」では、鎌倉・海蔵寺が待ち合わせ場所として登場し、「秘密の代償」では普段一般公開される事のない、国の登録有形文化財の旧華頂宮邸が、登場人物が暮らす家として登場。若き映画人の熱意に応える形で実現した鎌倉・江ノ島での撮影は、物語に彩りと深みを与えている。
ロケーションも見どころの一つとして是非、味わって頂きたい!

実力派キャスト陣が集結!

2010年で、デビュー25年を迎えた仲村トオル、映画、舞台と活躍が目覚ましい緒川たまき、高い演技力で魅了する国際派女優、大後寿々花、若き才能を支え作品に存在感を与えている、光石研と富田靖子。数多くの映画に出演、個性派俳優の水橋研二、日韓合作作品に出演など活躍が目覚ましい石田法嗣と、短編映画の特集上映が組まれる等高い演技力に定評のある佐津川愛美、そして、映画だけでなくテレビ、舞台と幅広く活躍している高橋真唯、自身も監督を務める等幅広い才能で魅了している吉行由実。さらに、森岡龍、桝木亜子、林剛史、清水大敬という実力派俳優・女優陣が集結。見応え充分の名演がスクリーン上で交錯する!

ストーリー

「あの星はいつ現はれるか」

江ノ島を舞台に繰り広げられる、淡いラブストーリー

江ノ島に住む絵ノ葉(大後寿々花)は、高校3年生。部活を引退し、進路に恋に迷いを抱えている。そんな絵ノ葉と同じクラスの男の子大隈(森岡龍)は、クラスも通っている塾も同じで、親も知る仲の良い幼馴染。英文学に興味を持っている大隈は、今日も翻訳家で、絵ノ葉の父(光石研)が訳した『不思議の国のアリス』の本を受け取りにやってくる。度々やってくる大隈のことを、父は『狙われているから気をつけろ』と心配するが、母(富田靖子)は、『勘違いの恋ほど辛いものはない』と断言し、別々の反応に絵ノ葉の気持ちは揺れていく。そんなある日、江ノ島で『七夕祭り』が開催される事を知る絵ノ葉。大隈を誘おうとするが、その日は塾での大事な試験があり、あっさり断られてしまう。結局賑やかな七夕祭りを横目に塾へ向かう二人だが、試験が終了し帰路についた絵ノ葉は、大隈に『話したい事がある』と海辺に誘い出す。そこで絵ノ葉は自分たちの事を“AさんとBくん” と例えて、想いを伝えていく。絵ノ葉がずっと伝えられなかった想い、大隈が出す答えが明らかになっていく。

「命を弄ぶ男ふたり」

世間と対峙する、男ふたりの不運なロードムービー

高校の教師である雅人(水橋研二)とその教え子、要(石田法嗣)が再会する。二人は、雅人の教え子で要の同級生の遥(佐津川愛美)、に呼び出されたのだ。遥との久しぶりの再会に喜ぶ雅人と要は、お互いが邪魔だと帰るように言い合うが、遥の思いつきで学校の屋上へ忍び込む。そこで宴を始める三人だったが、酔いが回ったところで遥が屋上から飛び降りてしまう。二人はプールに落下した遥の元に急いで駆けつけ、救急車を呼ぼうとする。しかし、学校であることに気づいた二人は、救急車を呼ばずに何とか自力で助けようとするのだった。二人は遥を保健室に運び応急処置を施しながら、呼び出された理由と、自由奔放で気まぐれな彼女についての印象を思い思いに語っていく。そこで、“それぞれが語る遥の姿”の違いに、違和感と嫌悪感を抱いていく二人。時は過ぎ、このまま保健室に置いておく訳にもいかず、二人は遥を運び出す。そして、自殺に見せかけるために線路に遥を置き去りにしてしまう。事なきを得た二人は線路を離れ、海へ向かおうとするが、そこには不条理な結末が待っていた。

「秘密の代償」

セレブな家族が巻き込まれる、痛快コメディ

美和(高橋真唯)は裕福な家族、生田家に家事代行として勤めていた。美和を自分の娘のように想っていた生田数子(吉行由実)は、美和の為にドレスをプレゼントし、ドレスに似合うからと言ってさらに金庫からネックレスを差出す。ここで電話が鳴り、数子がその場を離れた時だった。咄嗟に美和は金庫にあった他のアクセサリーを鞄の中に入れてしまう。電話を終えた数子のもとに何事もなかったかのようにやってきた美和は、仕事を辞めたいと申し出る。突然の申し出に驚いた数子は、理由を問い詰めるが美和はその理由をなかなか話さない。そんな美和の態度に数子は、夫の宏(清水大敬)と息子の守(林剛史)と何かあったのではないかと疑い始め、二人を呼び出すよう命じる。待ち合わせ場所には宏も守も現れ、鉢合わせてしまう二人。宏が仕方なく去ったと同時に現れた美和。美和に呼び出された事を喜ぶ守は、美和をクラブへ連れて行くが、数子に呼び出され仕方なく数子の元に向かう。一方宏は、美和と関係を持っていたのではないかと数子に疑われ、言い合いをしていた。そこに美和と守が現れ、四人がそろった時事態は大騒動になってしまう。

「紙風船」

夫婦が過ごす憂鬱な日曜日の会話劇
夫婦(仲村トオル、緒川たまき)は二人っきりの日曜日を持て余していた。夫は新聞のクロスワードパズルに熱中し、妻はよれよれになった雑誌を読んでいる。どこかに出かけようと提案する妻だが、夫にかわされてしまう。
ふと、結婚した夫婦がどうやって日曜日を過ごしているか考え始める二人。妻は名案があると言って、ある理想の一日について語り始める。夫を置いていき、一人でクラス会へ行って自由に過ごす。夫もその話にのっていくが、夫の態度に妻はふてくされてしまう。気まずい空気が流れる中、夫は妻の読んでいた『鎌倉旅行』の雑誌が目に入る。そこで、夫は鎌倉への小旅行を提案し、二人は“ごっこ遊び”で鎌倉へ向かう。電車に乗り、流れていく車窓を横目に楽しい時が過ぎていく。タクシーでは妻が運転手を、夫が乗客をつとめ、ホテルでは夫がボーイを、妻が客役を担当する。レストランでは夫がシェフをつとめるが、普段料理をしない夫は作り方が分からない。
そこで優しく手ほどきをしていく妻。加速していくごっこ遊びだったが、夫のある行動によって二人は現実に戻ってくる。そこで語られる夫の思いの丈と、妻の告白。二人の日常は、再び始まっていく。

スタッフ

「あの星はいつ現はれるか」
監督:廣原 暁
「命を弄ぶ男ふたり」
監督:眞田康平
「秘密の代償」
監督:吉川 諒
「紙風船」
監督:秋野翔一

エグゼクティブプロデューサー:堀越謙三
プロデューサー:山下佳奈子、牛久保舞、趙民映、山田彩友美
共同プロデューサー:今井由佳子、遠藤日登思、久保美夏
脚本:吉井顕之介、後藤那穂子、古田円香、元澤英悟
撮影・照明:北原岳志、宮本佳史、手嶋悠貴、西佐織
録音:渡辺一輝、宮崎圭祐、藤口諒太
美術:有馬佐世子、高井良崇、佐々木麗子、飯森則裕
編集:石井沙貴、川上響子、末松寛、片寄弥生
助監督:今橋貴、上田謙太郎、佐藤亮、長谷部大輔、早坂亮輔、堀江貴大、松尾健太、三間旭浩、ヤングポール
撮影・照明助手:浅見貴宏、安部雅行、金相守、国枝淳志、下川龍一、寶田陽太、竹野智彦、新里勝也、松谷達也
録音助手:伊藤大地、鎌田昇、重盛康平、中村潤一
美術助手:徐賢先、白諦、本間美由紀、森祥紀、李芳、宝隼也
劇中本製作:伊東めぐみ
劇中本表紙絵:石橋ユイ
衣装:後藤美奈、島村安有美、平石京子
制作助手:尾形龍一、佐藤宙信、諸田創、山田圭佑、岡田寛司、神香菜子、中野路子
撮影部応援:上田達也
美術部応援:梅川純平、小川尊、鈴木和人、中村有知、野田純平、秦知奈美
ヘア&メイク:橋本申二(atelier ismR)、小渕彰子(atelier ismR)、長窪美恵(atelier ismR)
脚本監修:筒井ともみ、井土紀州
録音指導:犬塚昭和、鈴木昭彦、南徳昭
宣伝:梶谷有里
デザイン:上野真平
スチール:高橋達
メイキング:伊藤丈紘
音楽:水谷貴次、重盛康平、simon
エンディング
作曲・演奏:藤口諒太、小谷周平、角田哲平
製作協力:角川文化振興財団
施設・設備協力:横浜市、ソニー株式会社、株式会社ナムコ
「紙風船」製作委員会:東京芸術大学、衛星劇場、アミューズ

キャスト

「あの星はいつ現はれるか」
大後寿々花
森岡 龍
桝木亜子
今井隆文
光石 研
富田靖子

「命を弄ぶ男ふたり」
水橋研二
石田法嗣
佐津川愛美

「秘密の代償」
高橋真唯
林 剛史
清水大敬
坪田秀雄
吉行由実

「紙風船」
仲村トオル
緒川たまき

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