時の笛が鳴り、人々は記憶のやどるその町を出ていった---

2012年/日本/カラー/132分/ 配給:トリクスタ

2013年9月7日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー

(c)ハーメルン製作委員会

公開初日 2013/09/07

配給会社名 1428

解説


  舞台となる廃校を求め、全国を探し歩いていた監督が、福島県大沼郡昭和村の旧喰丸小学校にたどり着いたのは、2009年1月。1980年に閉鎖されたこの廃校は解体が決まっていたが、監督の申し出に、村長をはじめとする村の人々が理解を示し、撮影終了までの校舎保存が決定。2009年夏から風景などの撮影を開始した。
 しかし、秋に予定されていたメインの撮影は、諸般の事情により一年延期に。その後も、四季ごとの風景の撮影は続けられて来たが、2010年秋のメイン撮影は、イチョウが色づく前に雪が降ってしまうという異常気象の影響により、開始2日前にして再びの中断。その後、脚本を春の設定に書き換え2011年5月の撮影再開に向けて準備を進めていた矢先の3月、あの大震災に見舞われた——。
 福島会津を舞台に、廃校となった学校で一人静かに暮らす年老いた元校長先生と、過疎が進むその村に暮らす人々の記憶を穏やかに優しく描く。作品の舞台となるのは、日本の原風景とも言われる奥会津の昭和村。1場面1場面が、絵画のように美しく、ゆったりと流れる時間の中に紡がれる人々の記憶の物語は、まさに大人のファンタジー。
  本作でメガホンをとったのは、「美式天然」で 第23回トリノ国際映画祭にて、史上初のグランプリ&最優秀観客賞のW受賞を果たし、その後も世界各国の映画祭に招かれ高い評価を得ている坪川拓史監督。主人公・野田を演じるのは実力派俳優、西島秀俊。野田を温かく見守る恩師の娘・リツコを日本の名女優、倍賞千恵子が演じている。

昭和村とは——
福島県の奥会津に位置し、”日本の原風景”とも言われる美しい山村。「からむし織」の里として知られ、原料となる苧麻(からむし)を本州で唯一生産している。宿根カスミソウの栽培面積でも全国1位を誇るなど、その豊かな自然を活かした伝統を受け継いでいる。本作は、昭和村にたたずむ築70年を超える旧喰丸小学校の廃校舎を舞台に構想から7年、撮影期間2年半を掛けて、じっくりと丁寧に作り上げられた。

ストーリー







あの子たち、どこへ行ったんでしょうねぇ。
  ある村の廃校に、その小学校の元校長先生(坂本長利)が暮らしていた。校長先生は、もう使われることのないこの校舎を修繕しながら、「消えゆく我が舎」をいとおしむように静かに日々を送っていた。しかし、いよいよその校舎も解体されることが決まる。
 ある日、かつてこの小学校で学んだ男・野田(西島秀俊)が博物館の職員として、校舎に保管されていた遺跡出土品の整理にやって来る。野田には、誰にも明かしたことのない「小さな秘密」があった。
 しかし校長や恩師であった綾子先生、その娘リツコ(倍賞千恵子)と接していくうちに、小学校での懐かしい記憶が呼び戻され、徐々に野田の心に変化が訪れる。そして校長の校舎に託する思いにも次第に共感を寄せるようになる。そんな折、村の老人施設にいた綾子先生が、隣町の大きな病院に移ることになる。娘のリツコに付き添われて村を離れる道すがら、綾子先生は学校に立ち寄り、校庭を見渡しながら小さく呟いた。「あの子たち、どこへ行ったんでしょうねぇ」。その時…。

スタッフ

監督・脚本・編集:坪川拓史
プロデューサー:筒井龍平
共同プロデューサー:白水聡一郎/日暮謙/坪川拓史
撮影:与那覇政之
照明:高橋拓
美術:畠山和久
衣裳:宮本まさ江
メイク:三沢友香
監督補:塩入秀吾/松本動
制作:波多野ゆかり/加藤綾佳
音楽:関島岳郎
特別協力:福島県大沼郡昭和村
配給:トリクスタ

キャスト

西島秀俊
倍賞千恵子
坂本長利
守田比呂也
水橋研二
内田春菊
小松政夫
風見章子

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