原題:A Single Man

世界が認めた。 トム・フォード──再び映画界を照らす輝かしき<新星>!

第82回アカデミー賞主演男優賞ノミネート ヴェネチア国際映画祭 最優秀主演男優賞受賞 各国主要映画賞14部門受賞、24部門ノミネート

2009年12月11日全米公開

2009年/アメリカ/カラー/101分/ 配給:ギャガ

2011年03月04日よりDVDリリース 2010年10月2日、新宿バルト9ほか全国順次ロードショー

©2009 Fade to Black Productions, Inc.All Rights Reserved.

公開初日 2010/10/02

配給会社名 0025

解説


世界が認めた。
トム・フォード──再び映画界を照らす輝かしき<新星>!

稀代のファッションデザイナー トム・フォードが描くのは、
自らの生き方をさらけ出し、愛の本質に迫る感動作。

グッチを立ち直らせ、イヴ・サンローランを改革し、2005年には自身の名前を冠したブランドを立ち上げた、稀代のファッションデザイナー、トム・フォード。彼が次なるステージに選んだのは、かねてから惚れこんでいた映画の世界だった。そして遂に完成したフォードの初監督作品が、2009年のヴェネチア国際映画祭を皮切りに、世界中の映画祭で熱狂を巻き起こした。
フォードの出現は、かつてアルモドバル、タランティーノ、テリー・ギリアム、フランソワ・オゾンら不世出の才能が、初めて世に出た瞬間に全世界に与えた衝撃と興奮を思い出させた。当時の彼らのように、映画で何が出来るのか果敢に戦いを挑んだ作品が高く評価され、20の映画祭で14部門受賞、23ノミネートという栄誉に輝いた。
さらに、現代のモード界に君臨するカリスマの、誰も知らない内面をさらけ出した物語に、多くの観客が共感の涙と賞賛の拍手を惜しみなく贈った。フォードが描いたのは、誰もが抱える孤独や喪失感。完璧な成功を手にした彼自身も例外ではなく、物質的な人生に虚しさを覚えて苦悩の日々を送ったという。努力の末にそれらを乗り越えたフォードは、困難な時代である現代にこそ、“今を生きる大切さ”を伝えたいと考え、同じテーマを持つC.イシャーウッドの同名小説に、自らの体験を盛り込んだ脚本を書き上げた。『シングルマン』は、美を創り出すことにかけては天賦の才に恵まれたフォードが、毎日のささやかな瞬間にこそ人生の素晴らしさが宿ることを、奇跡の映像美で描いた感動作である。

愛する者を失った人生に、意味はあるのか。
コリン・ファース、ジュリアン・ムーアの珠玉の演技に魂が共鳴する。

その日は、ジョージにとって特別な一日だった。16年間共に暮らしたパートナーが交通事故で亡くなってから8ヵ月、日に日に深くなる悲しみを自らの手で終わらせようと決意したのだ。ところが、今日が人生最後の日だと思って眺める世界は、ほんの少しずつ違って見えてくる。英文学を教えるLAの大学の授業でいつになく自らの信条を熱く語り、ウンザリしていたはずの隣家の少女との会話に喜びを感じ、かつての恋人で今は親友のチャーリーを訪ねると、身勝手で孤独な彼女に振り回されながらも慰められる。そして一日の終わりには、彼の決意を見抜いていた教え子のケニーの思いがけない行動に心を揺さぶられる。過去に生きていたジョージの瞳に、“今”が輝きだした運命の一日。果たしてその幕切れは──?
ジョージには、『マンマ・ミーア!』『ラブ・アクチュアリー』のコリン・ファース、チャーリーには『ハンニバル』『ブラインドネス』のジュリアン・ムーア。ハリウッドを代表する二人のスターが、台詞では表現できない孤独から悲しみの慟哭、そして静かな幸福までを、自身の人生の一幕を披露するかのようなリアルな演技で、見事に演じ切った。また、ジョージのパートナーのジムに『マッチ・ポイント』のマシュー・グード、教え子のケニーには『アバウト・ア・ボーイ』のニコラス・ホルトと、期待の若手俳優が扮し、それぞれの存在感溢れる美しさを放っている。聴く者の魂の深みに分け入るような抒情的な音楽は、フォードがたっての希望で指名した『花様年華』の梅林茂。
「愛する者がいない人生に意味はあるのか?」──ジョージと同じように、私たちは生きている限り、幾度となく問いかけるだろう。そして、この永遠の問いかけにひとつの希望を与えてくれる、そんな作品が誕生した。

ストーリー





誰の人生にも訪れる、愛する者との別れ。
その時、人はどう生きればいいのか—。

最愛のパートナーを亡くしてから8ヵ月。
ジョージは悲しみを終わらせる決意をするのだが──。
人生のすべてが詰まった、たった一日の物語。

1962年11月30日の金曜日、今日も新しい朝がやって来た。しかし、この8ヶ月間、ジョージ(コリン・ファース)にとって目覚めは、愛する者の不在を確認する苦痛に満ちた時間でしかなかった。16年間共に暮らしたジム(マシュー・グード)が交通事故で突然亡くなって以来、ジョージの悲しみは癒えるどころか、日に日に深くなっていく。電話が鳴っても、本を開いても、思い出すのはジムのことばかり。若く美しいジムの面影が不意に蘇っては、ジョージの心を砕くのだ。
「だが、今日こそ変えてみせる」ジョージは自らの手で悲しみを終わらせようと決意する。LAの大学で英文学を教えている内省的でシニカルなジョージと、輝くような生命力とユーモアに満ち溢れた建築家のジム。正反対の性格に惹かれ合い、固い絆を結んだ最愛のパートナーの元へと今日、旅立つのだ。
大学のデスクを片付け、銀行の貸金庫の中身をカラにし、新しい銃弾を購入し、ジョージは着々と準備を進める。一方で、今日が最後の日だと思って世界を眺めると、些細なことが少しずつ違って見えてくる。最後の授業では、いつになく自らの信条を熱く語った。講義に触発された教え子のケニー(ニコラス・ホルト)が、学校の外で話したいと追いかけてくる。彼の誘いを断って銀行に行けば、いつも騒がしくてウンザリしている隣家の少女と偶然出会う。ジョージは少女の可憐さに初めて気付き、彼女との正直な会話に喜びさえ感じる。また、通りすがりの魅惑的なスペイン男性と、言葉を交わすひと時を持つことで、美しさに感動する心を取り戻す。
それでも、帰宅したジョージは最後の仕上げにかかる。遺書、保険証書、各種のカギ、「ネクタイはウインザーノットで」のメモを添えた死装束──すべてを几帳面にテーブルに並べれば、あとは銃の出番だ。だが、かつての恋人で今は親友のチャーリー(ジュリアン・ムーア)から電話が入り、ジョージは破るつもりだった約束を守って彼女の家を訪れる。夫と子供に去られて孤独なチャーリーの身勝手な言動に振り回されながらも、未熟で奔放だった青春時代を共にロンドンで過ごした彼女となら、心から笑い合えるのだった。
そして、一日の終わりには、彼の決意を見抜いていたケニーの思いがけない行動が待っていた。果たして、輝き始めたジョージの“今”は、明日へと続くのか──?

スタッフ

監督・脚本・製作:トム・フォード 
原作:「A Single Man」クリストファー・イシャーウッド著
製作:トム・フォード、クリス・ワイツ、アンドリュー・ミアノ、ロバート・サレルノ
脚本:トム・フォード、デヴィッド・スケアス
音楽:アベル・コルゼニオフスキー
追加音楽:梅林 茂
撮影:エドゥアルド・グラウ
提供・配給:ギャガ GAGA

キャスト

コリン・ファース『マンマ・ミーア!』
ジュリアン・ムーア『ハンニバル』
マシュー・グード『マッチ・ポイント』
ニコラス・ホルト『アバウト・ア・ボーイ』
ほか

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