小屋丸 冬と春
ミラージュ イリミテ/アルテ フランス—ラ・リュカルヌ/ル・フレノワ国立現代芸術スタジオ 提携作品 越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009出品作品
2009年/フランス・日本/モノクロ/日本語・フランス語/デジタル/88分 配給:「大地の芸術祭の里」総合案内所
2010年10月2日、渋谷ユーロスペースにて公開
公開初日 2010/10/02
配給会社名 1160
解説
なつかしいユートピアがここにある
パリの街と新潟の里山が映画でつながる
『ニッポン国古屋敷村』『阿賀にいきる』の意志をつぐドキュメンタリーの名作が生まれおちた
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレから
ひとつのドキュメンタリー映画が誕生しました
新潟県十日町市・津南町で、アートによる地域再生を目指してスタートした「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」。アルベローラ監督はパリ在住の著名な現代美術作家で、2003年の越後妻有アートトリエンナーレで十日町市小屋丸集落に世界最小の美術館「リトル・ユートピアンハウス」を制作しました。小屋丸に、昔はどこにでもあった理想の共同体を見いだしたアルベローラ監督は、消えかけているその姿を残し、この時代を生きる道標として映画の製作を決意しました。
里山の大地につつまれた人々の暮らし 他者を受け入れるこころ
映画の舞台となる小屋丸は、十日町市の山奥にあり、美しい棚田と豪雪で知られます。先祖からの土地を耕す3軒と、小屋丸に惚れ込んだブルガリアとブラジルから来た国際的な音楽一家、合計4軒13人が暮らすこの集落に、アルベローラ監督は2007年から2年間、計10回にわたってパリから通い続けました。おじいちゃんおばあちゃんの話す越後方言に耳を傾け、厳しい冬でも日々の生活を楽しみ、春の訪れを待ちわびる人々の姿を、里山の風景の移り変わりと共に静かに見守ります。丹念に拾い上げられた自然や暮しの音、詩情に満ちた美しいモノクロ映像、訪れるひとを決して拒むことのない小屋丸の温もり——。
ストーリー
小屋丸集落について
新潟県南西部に位置し、旧松代町(現十日町市、2005年合併)の山奥にある集落です。
小屋丸集落がある地域には、600年以上前から人が住み着き、300年前に現在の集落の祖先が住み始めたといわれています。江戸時代中期以降から戸数が増え、明治45年(1912年)には松代小学校小屋丸分校が創立され、昭和35年(1960年)の全盛期には24軒、126人が住んでいました。昭和30年代後半ごろからの高度経済成長期を境に、生活が激変、道路事情が改善され、農業の機械化が進み、米の生産は飛躍的に伸びました。しかし昭和47年(1972年)に国の減反政策が始まると、農業に見切りをつけ、離村する人が急増、10年間で世帯数が半分以下となり、昭和58年(1983年)には小屋丸分校が閉校、その後、3世帯のみが暮らす“限界集落”となりました。平成12年(2000年)に、ブルガリア人の音楽家が移住、2003年にはブラジル人の妻を迎え、現在は先祖代々の土地を耕す3軒と、子供3人を含む音楽一家、計4軒13人が暮らしています。
主な生業は農業。冬季間は豪雪のため稼ぎが減るので、副業として藁細工や竹細工などを行いました。戦後は男性は関東を中心に全国へ出稼ぎに、女性は雪掘り(雪が多すぎるため、雪かきではなく雪に埋もれている中から掘りだす)をしながら、主人がいない子供たちと年寄りとの生活を守ってきました。積雪期が長く、約半年にわって大地が厚い雪に覆われるこの地域では、家を雪から守り、食料を確保し、薪炭や衣類の準備に雪国ならではの様々な工夫がされてきました。人力により田畑を拓き耕し、山の草木を採って食材とし、器物をつくり出す労力と技術により、里山の風景が作られていきました。小屋丸の生活は、現在も自らの力で生きていくための術が息づいています。
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレについて
1996年、新潟県が「ニューにいがた里創プラン」をスタートさせました。これは、県内にある広域行政圏が独自の価値発信によって地域づくりに取り組むことを目指すもので、十日町広域行政圏による「越後妻有アートネックレス整備事業」はその指定第1号となりました。新潟県とのパトナーシップのもとに、地域に内在するさまざまな価値をアートを媒介として掘り起こし、その魅力を高め、世界に発信し、地域再生の道筋を10年かけて築いていこうというものでした。「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、その成果を3年ごとに発表する場として構想されました。
2000年の第1回展では32ヵ国148組のアーティストが参加、15万人が来場。昨年の第4回展では40ヵ国353組のアーティストが参加し、37万5千人が来場しました。2010年からは、「大地の芸術祭の里」として1年を通してアートとともに学びや農業など、幅広い文化の発信地として活動しています。現在は2012年の第5回展に向けた準備が進められています。
基本理念「人間は自然に内包される」
文明が曲がり角を迎えている今、豊かな自然に包まれてある越後妻有の生活=里山は、地球環境に対する視座を見つめ直し、環境破壊をもたらした近代的パラダイムを変革するきっかけとなりうるものです。そこから「人間は自然に内包される」という基本理念が生まれ、この理念が、アートネックレス整備事業のすべてのプログラムに貫かれています。人間と自然がどう関わっていくかという可能性を示すモデル地域となることを目指して、越後妻有の地域づくりは進められています。
・第7回オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)受賞
・JTBの旅行商品「越後妻有 大地の芸術祭の里〜アートを道しるべに里山を巡る旅」がJATA(日本旅行業協会)の「もう一泊、もう一度大賞」のニューツーリズム開発部門賞及び審査員特別賞受賞
・第5回ふるさとイベント大賞受賞(総務大臣表彰)
・地域づくり総務大臣表彰
スタッフ
監督・撮影:ジャン=ミッシェル・アルベローラ
監督助手:ジョナタン・ルビン
現地コーディネーター:大木彩子(「大地の芸術祭」事務局)
技術:ジャン=ミッシェル・アルベロ-ラ ジョナタン・ルビン
録音:ジョナタン・ルビン
録音/編集:シモン・アポストル、ジョナタン・ルビン
音楽:ロシア民謡「トロイカ」
編曲:コセキ ユウジ
歌詞:ノムラ トシオ
歌:オリイ シゲ コロンビア合唱団
協力:在日フランス大使館/ブリジット・ブルーセル エレーヌ・ケルマッチャー
ギュルチュールフランス/アラン・レノドー
アートフロントギャラリー/北川フラム 前田礼 熊谷靖成
こへび隊/田中佐和子
まつだい「農舞台」
制作:ミラージュ イリミテ/ドミニク・ベロワール
後援:在日フランス大使館
助成:アントワーヌ・ド・ガルベール財団、カルチャーフランス、フランス基金
製作:ミラージュイリミテ、ジャン=ミッシェル・アルベローラ
キャスト
小屋丸の住民の皆さん
柳昇
柳ミチ
柳福門
柳ミツイ
柳啓一郎
柳キミエ
ボイコ・ストイアノフ
マルーシ
ペイショト
ストヤーノフ
ミシャエル
ペイショト
ストヤーノフ
ミカエラ
ペイショト
ストヤーノフ
ジフカ
アンドレーヴァ
ストイコヴァ
(声)
北川フラム
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 総合ディレクター祖田修
前福井県立大学 学長
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