戦争大国・アメリカ、内側の真実。8時間14分

2009年/日本/カラー/494分 配給:森の映画社

2010年6/12(土)〜7/9(金)下北沢トリウッドにてロードショー

公開初日 2010/06/12

配給会社名 0256

解説


 藤本幸久監督は、1954年三重県四日市市生まれ。
早稲田大学を卒業後、土本典昭監督の助監督として、水俣や内戦の続くアフガニスタンで、ドキュメンタリー映画製作を学び、「教えられなかった戦争−侵略マレー半島」(1992年)で、映画監督に。「Marines Go Home」の取材で沖縄に通う中、駐留する米兵たちのあまりの若さ(幼さ)に驚き、戦時下の国で、若者たちがなぜ兵士になるのかに関心を持ったといいます。

人々に寄り添い、丹念に言葉を集める姿勢は、新作「アメリカ—戦争をする国の人びと−」において、名インタビュアー・影山あさ子氏の静かな語り口を得て、より鮮明です。2006年から延べ7回、200日の撮影を経て完成した「アメリカ−戦争する国の人びと−」は、8部からなる長編ドキュメンタリー(8時間14分)ですが、その取材対象は、アメリカ軍兵士のリクルートの実情から始まり、イラク帰還兵、戦死者の遺族、ベトナム戦争の帰還兵、ホームレスの人びと、イラク派遣を拒否する将校、基地被害に苦しむ人々等多岐に渡り、戦争を続けてきた国・アメリカの影の部分を多角的に検証します。

ストーリー

戦争する国に暮らすということは、どういうことなのか・・・。
2006年から始まった1年半に渡る撮影の集大成。藤本幸久監督、渾身の8時間14分。どの戦争でも、兵士になるのはその国の普通の若者たちだ。
映画「ONE SHOT ONE KILL」が、その入り口を描いたものだとすれば、「アメリカ−戦争する国の人びと」は、若者たちのその後を描いたものといえるだろう。二十歳そこそこの若さで、戦争を経験した人々は、その後、どのような人生を生きてきたのか。

ベトナムからイラクまで—アメリカの戦争体験がここにある。
映画は8つの物語から構成されている。
(①高校、②イラク戦争、③戦死、④先住民、⑤見えない人々、⑥ベトナムの記憶、⑦抵抗、⑧それぞれの春)
それぞれ独立しつつ、響きあう8つの物語を通してみるとき、今まで知らされなかったアメリカの本当の姿が見えてくる。

<Episode 1: High School / 高校>
高校生が軍隊について持っているイメージを問えば、「強さ」、「大学の学費」、「社会保障」、「職業訓練」と答えが返る。カリフォルニア州バークレー高校。日々、軍隊の勧誘と宣伝のターゲットとなる高校生たちに、元教師のスーザン・キンランと元海軍兵士のパブロ・パレデスが、入隊を決める前に考えてほしいと、軍隊の実情や経験を語る。(30分)

<Episode 2: Iraq / イラク戦争>
イラク帰還兵たちが、戦場での経験を語る。間近に目撃した死、人を殺す経験、PTSD、劣化ウランによる被曝、そして彼らを支える家族たち。イラクやアフガンでの戦争にすでに150万人以上のアメリカの若者が送られた。(79分)

<Episode 3: Gold Star / 戦死>
イラクでの米軍の戦死者も4,000人を越えた。2004年4月にバグダッドで戦死したケーシー・シーハンの母シンディ、2004年8月にナジャフで戦死したアレックス・アレドンドの父、カルロスにとっても、他の4千余名の家族にとっても、子供を失う悲しみはは永遠だ。(31分)

<Episode 4: Indigenous / 先住民>
メキシコ系住民が多数を占めるサンアントニオ市にあるケリー空軍基地。周辺住民や基地労働者は、多発するがんや白血病に苦しめられ、健康被害は子や孫にも及んでいる。アメリカは戦争を繰り返しながら、領土を拡大してきたが、テキサス州もかつてはメキシコだ。住民たちこそ、元々、この地に暮らし続けてきた人びとの末裔なのだが…。(42分)

<Episode 5: Invisible / 見えない人びと>
アメリカでは、350万人がホームレスと言われている。ワシントン州サーストン郡(人口24万人)でも、その数は700人を超える。とてもシェルターには入りきれない。人目を避け、森の中に暮らす人びと…。ホームレスの3人に一人は、イラク、アフガン、ベトナム、コソボ、パナマ・・・様々な戦争を経験した元兵士たちだ。(68分)

<Episode 6: Vietnam / ベトナムの記憶>
のべ260万人の米軍兵士が送られたベトナム戦争。終わって30年以上経つが、多くのアメリカ人にとって、それは未だ脳裏を去らない出来事だ。かつての若者たちは、ベトナムで何を見、その後どうやって生きてきたのか・・・3人の帰還兵が語る。(66分)

<Episode 7: Resist / 抵抗>
アメリカの歴史は戦争の歴史。しかしそれは同時に、戦争を拒否した兵士たちの歴史でもある。それぞれの時代に、抵抗し、戦争を拒否した兵士たちがいた。ベトナム戦争、湾岸戦争、そして、今日も続くイラク戦争でも。(109分)

<Episode 8: Springs / それぞれの春>
共に歩く伴侶を得たり、家族が増えたり、元兵士やホームレスの人たちの暮らしにも、少しずつ変化が訪れる。前に向かって歩き始めた人びとがいる一方、ホームレスの暮らす森では殺人事件も起きる。ブートキャンプ(新兵訓練所)を卒業して、若者たちはまた、戦場へ送られてゆく。いまだ終わらぬ戦争に、今日も声を上げ続けるおばあちゃんたち。旅の終わりに訪れた2008年、それぞれの春の景色。(69分)

スタッフ

監督:藤本幸久
プロデューサー:影山あさ子
撮影:栗原良介、藤本幸久、中井信介、影山あさ子
編集:藤本幸久、栗原良介 インタビュアー:影山あさ子
コーディネーター:加藤鈴子、福原顕志
字幕:影山あさ子
企画・製作・著作:森の映画社

キャスト

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