2010年/日本/カラー/100分/再編集劇場版(1〜6話)/デジタル上映(ブルーレイ) 配給:三鷹の森ジブリ美術館

2010年11月17日よりDVDリリース 2010年7月17日、シネマアンジェリカにてロードショー 2010年8月14日(土)〜 立川シネマシティ 他全国順次公開

(c)NIPPON ANIMATION CO., LTD. 赤毛のアン and other indicia of Anne are trademarks and Canadian official marks of the Anne of Green Gables Licensing Authority Inc., Charlottetown, Prince Edward Island, used under licence by Nippon Animation Co., Ltd.

公開初日 2010/08/14

配給会社名 0805

解説


●アンの瞳を通して見えてくる美しい世界
 1908年に出版されたモンゴメリ原作の「赤毛のアン」は100年余りの時を経て、いまなお衰えることのない人気を誇る小説です。日本では、1979年にテレビアニメ化され、原作を忠実に映像化した作品として、強い支持を受けています。本作「赤毛のアン〜グリーンゲーブルズへの道〜」は、全50話あるテレビシリーズの中の1〜6話を、演出の高畑勲自らが監修して再編集した劇場版です。しかも、1989年に再編集された当時は正式な公開には至らなかったという、知られざる名編集版であり、20年の時を経て、いよいよ劇場のスクリーンに登場します。
 孤児院からカスバート家に引き取られてきた少女アンが、カナダプリンスエドワード島の美しい自然の中で、寂しかった過去から解放され、自分の居場所を見つけていくまでを描くストーリー。アンの物語の冒頭を丁寧に描いたこの作品には、喜びや絶望を乗り越えて、世界の美しい部分を見い出だすアンの視点と空想力が鮮やかに描き出されています。
「楽しもうと決心すれば、たいていいつでも楽しくできるものよ。」
 そう話すアンの生き方は、苦しい時代を生きる私たちに小さなヒントを与えてくれているようです。

●原作の忠実なアニメ化に挑んだ制作者たち。
 監督:高畑勲、画面構成:宮崎駿、作画監督:近藤喜文、美術監督:井岡雅宏。——このクレジットが物語るように、いまや日本のアニメーション史に残る、児童文学アニメ化の古典的名作にもなっている「アン」ですが、当時新たな表現に挑んだ、非常に革新的なアニメーションでした。
 セリフ中心の原作を、アニメで表現すること自体大きな挑戦だったと言われていますが、アンに寄り添いすぎない客観的な視点で描かれたことで、観客はアンを見守る立場となり、ハラハラしたり呆れたりしながらも長いおしゃべりに惹き込まれていきました。本作では少女時代のアンしか登場しませんが、シリーズを通し、美しい大人の女性に成長していくというキャラクター設定もアニメの歴史からいうと画期的なことでした。また、アンの瞳に映る美しい世界を実感できるよう、部屋の壁紙からカナダの美しい自然に至るまで、テレビアニメとしては例がないほどの細やかな背景美術が描かれました。三善晃による主題歌も、アニメ音楽の常識からはかけ離れた格調の高さで、アンの心を豊かに表していました。
 高畑勲監督は、この作品の狙いを次のような言葉で表現しています。「身につまされるのに、笑い出さずにはいられない、すてきなあとあじ」。原作の魅力を損なうことなく、どこまでも野心的に取り組んだ制作者たちの思いは、30年のときを経てもなお色あせることがありません。

ストーリー

カナダ、プリンスエドワード島のグリーンゲーブルズに住むマシュウとマリラの兄妹は、孤児院から働き手の男の子を引き取ろうとします。しかし、手違いにより、空想好きな赤毛の女の子、アンがやって来ます。駅まで迎えにいったマシュウは、期待に胸を膨らませているアンにその事実を伝えられません。二人は、馬車でグリーンゲーブルズへと向かいます。その道中、並木道や湖の美しさに心を奪われたアンは、それらに名前をつけて愛情を表します。人嫌いなマシュウも、このちょっぴり風変わりな女の子には、なぜか好感を抱き始めていました。
しかし、「男の子はどこ?」というマリラの一言で、事態が判明します。一転、絶望のどん底に落とされたアンは、悲しみに打ちひしがれながら一夜を明かします。それでも、翌朝、窓辺から見える世界の美しさに触れ、とにかく今日を楽しもうと決心するのでした。アンを孤児院へ戻すため、マリラとアンは、馬車で町へと向かいます。その道中、自分の身の上を話すアン。そのわずかなおしゃべりを通じて、マリラもアンに対し不思議な魅力を感じ始めているのでした。果たしてアンは、グリーンゲーブルズへ居られることになるのでしょうか?

スタッフ

脚本・監督:高畑 勲
原作:ルーシー・モード・モンゴメリー
脚本:千葉茂樹/磯村愛子/神山征二郎
場面設定・場面構成:宮崎 駿
キャラクターデザイン・作画監督:近藤喜文
美術監督:井岡雅宏
音楽:三善 晃/毛利蔵人
制作:日本アニメーション


提供:三鷹の森ジブリ美術館/スタジオジブリ/日本テレビ/ディズニー
特別協賛:日清製粉グループ
配給:三鷹の森ジブリ美術館

キャスト

(声の出演)
山田栄子:アン
北原文枝:マリラ
槐柳二:マシュウ


ナレーション:羽佐間道夫

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