「みなさん、これが最後です、 さようなら、さようなら…」 9人の電話交換手の乙女は、何故死を選んだのか!! これは時代に圧殺された真実の物語

1974年/カラー/DV/119分 提供:「氷雪の門」パートナーズ アジア映画社、太秦株式会社 協力:「氷雪の門」上映委員会 配給:太秦

2010年7月17日(土)より、シアターN渋谷にてモロードショー公開 2010年8月7日(土)より、札幌シアターキノ、ほか全国順次公開

ⓒ「氷雪の門」上映委員会

公開初日 2010/07/17

配給会社名 0864

解説


語り継がなければならないこの史実
現在ロシア領サハリンと呼ばれるかつての樺太。1945年8月15日の終戦の混乱の中、この地で多くの日本人が死んでいった。8月6日、米軍による世界初の原爆が広島に、続いて8月9日には長崎にも投下された。同日、ソ連は「日ソ不可侵条約」を破り、満州、樺太に侵攻した。
本作『樺太1945年夏 氷雪の門』は、ソ連の侵攻作戦のただなかで、最後まで通信連絡をとり、若い生命をなげうった真岡郵便局電話交換手9人の乙女の悲劇を描いた真実の物語である。戦争は終わったはずなのに、何故、彼女たちは死を選ばねばならなかったのか。この映画はその深層に挑んだ。
空前のスケールで描かれた平和への願い
1974年当時、日本の映画界にしては珍しくスケールが大きく、製作実行予算が5億数千万を超えた超大作として話題を呼んだ。
戦闘シーンを陸上自衛隊が全面協力し、撮影場所も終戦時の樺太に似た地形を求めて、北海道全域をはじめ、御殿場、丹沢、大山、そして常盤炭鉱地にオープンセットを組み立ててロケを行った。原作は金子俊男の「樺太一九四五年夏・樺太終戦記録」。脚本は「幕末残酷物語」の国弘威雄、監督は「あゝ海軍」の村山三男、撮影は「早池峰の賦」の西山東男、美術は木村威夫。特に少ない資料の中から樺太の街を作り上げた木村威夫の美術は圧巻である。
残された1本のフィルムが、36年の時を経て今甦る!
日本映画に、なぜか樺太を扱った映画はない。『樺太1945年夏 氷雪の門』こそ、樺太の史実と事実を残した唯一の映画である。企画・製作に9年もの歳月をかけ、試写会やアンケート調査を重ね、内容を吟味した末、完成に至り、文部省選定や日本PTA全国協など各種団体の推薦も受けていた。また、本作の期待度の高さは、前売り券の売れ行きが70万枚に達していたことからも伺える。しかしながら、本作の公開が予定されていた1974年3月29日を目前に、急遽、公開中止となってしまう。当時の新聞資料等は、ソ連大使館から外務、文部両省に「反ソ映画の上映は困る」との抗議により、配給会社が自粛に至ったと報道している。その後、東映洋画配給によって北海道・九州での2週間ほどの劇場公開がされるものの、実質的には日の目を見ることはなかった。
6年前の2004年、唯一残された貴重なフィルムが発掘された。新しくデジタル処理を施し、本年ついに劇場公開となる。

ストーリー







1945年夏、太平洋戦争は既に終末を迎えようとしていたが、戦禍を浴びない樺太は、緊張の中にも平和な日々が続いていた。しかし、ソ連が突如として参戦、日本への進撃を開始した。北緯50度の防御線は瞬く間に突破され、ソ連軍は戦車を先頭に怒濤のごとく南下してきた。

戦禍を被った者たちは、長蛇の列をなして西海岸の真岡の町をめざした。
真岡郵便局の交換嬢たちは、4班交代で勤務に就いていた。彼女たちに中には、原爆を浴びた広島に肉親を持つ者がいる。最前線の国境に恋人を送りだしたものがいる。戦火に追われて真岡をめざす姉を気づかう者がいる。刻々と迫るソ連軍の進攻と、急を告げる人々の電話における緊迫した会話を、胸の張り裂ける思いで聞き入るほかになすすべがなかった。

8月15日。全く突然に終戦の報がもたらせられた。敗戦国の婦女子がたどる暗い運命、生きられるかもしれないという希望、様々な思いが交錯する中で、樺太全土に婦女子の疎開命令が出た。一人、また一人と、交換嬢たちも引き揚げて行く。だが、その中には命令に従わず、“決死隊”としてその編成に参加し、交換手として職務を遂行しようと互いに励ましあい、責任を果たそうと心に誓う20名の乙女たちがいた。ソ連の進攻は依然として止むことなく、むしろ、激しさを増した。戦争は終わったのではないか?人々は驚愕し、混乱した。

それは8月20日、霧の深い早朝。突如、真岡の町の沿岸にソ連艦隊が現われ、艦砲射撃を開始した。町は紅蓮の炎につつまれ、戦場と化した。
この時、第一班の交換嬢たち9人は局にいた。緊急を告げる電話の回線、町の人々へ避難経路を告げ、多くの人々の生命を守るため、彼女らは職場を離れなかった。じりじりと迫るソ連兵の群。取り残された9人の乙女たち。胸には青酸カリが潜められていた。

局の窓から迫るソ連兵の姿が見えた。路上の親子が銃火を浴びた。もはや、これまでだった。班長はたった一本残った回線に「みなさん、これが最後です。さようなら、さようなら」と告げると静かにプラグを引き抜いた…

スタッフ

総指揮:三池信、小倉寿夫
製作:望月利雄、守田康司 
原作:金子俊男
監督:村山三男
脚本:国弘威雄
撮影:西山東男
照明:野村隆三
美術:木村威夫
音楽:大森盛太郎
録音:安田哲男
助監督:山野辺勝太郎、新城卓
編集:エディ編集室
提供:「氷雪の門」パートナーズ(アジア映画社、太秦株式会社)
協力:「氷雪の門」上映委員会
配給:太秦

[後援・推薦団体]
文部省選定、優秀映画鑑賞会推薦、青少年映画審議会推薦 
全日本教育父母会議推薦、日本PTA全国協議会特別推薦
後援:北海道新聞社、稚内市

キャスト

関根律子:二木てるみ
藤倉信枝:鳥居恵子
斉藤夏子:岡田可愛
石田ゆみ:野村けい子
鳥貝啓子:今出川西紀
堀江正子:八木孝子
神崎泰子:相原ふさ子
青木澄子:桐生かほる
仲村弥生:木内みどり
林田千恵:北原早苗
香取知子:岡本茉莉
手塚美沙子:大石はるみ
坂本綾子:藤田弓子
三好とく:真木沙織
北野早苗:藤園貴巳子
植中賢次:千秋実
久光忠夫:若林豪
仁木師団長:島田正吾
鈴木参謀長:丹波哲郎
吉崎大尉:三上真一郎
清水連隊長:藤岡重慶
村口副官:黒沢年男
岡谷俊一:佐原健二
関根辰三:今福正雄
関根しず:赤木春恵
森本きん:七尾伶子
藤倉亮介:伊沢一郎
安川徳雄:田村高廣
安川房枝:南田洋子
中西清治:浜田光夫
斉藤秋子:岡田由紀子
菅原良子:柳田慶子
菅原美保子:栗田ひろみ
小松慶一:見明凡太郎
梅津勝介:柳谷寛
神崎雄一:織本順吉
中村悦子:鳳八千代
柳田:久野四郎
高木:城山順子
渡辺:久米明

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