テラヤマワールドから飛び出すトリックスター             森崎偏陸(もりさきへんりっく)の見つめるもの・・・

2009年/日本/カラー・モノクロ作品/スタンダードサイズ/117分 製作・配給:ワイズ出版

2009年10月10日渋谷シアター・イメージフォーラムにてレイトショー!

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公開初日 2009/10/10

配給会社名 0339

解説


1983年、歌人としてキャリアをスタートさせ、その後舞台、映画、文筆などジャンルを超越した表現で日本のみならず世界的評価を得た巨星・寺山修司がこの世を去る。それにより劇団天井桟敷も解散。
寺山の母・はつは寺山の表現活動を支えてきた九條今日子とともにもりさき森崎へんりっく偏陸を養子に迎え入れ、偏陸は戸籍上『寺山修司の弟』となった。

寺山亡き後、荒木経惟の『人妻エロス』シリーズのレイアウトとブックデザイン、黒木和雄監督作品を手がける音楽家・松村禎一の音楽助手、イラストレーション界の巨匠・宇野亜喜良が台本と芸術監督をつとめたモダンバレエ舞台『上海異人娼館』の演出の他、寺山が残した作品の上映などジャンルにとらわれない活動を続ける偏陸。周囲をとりまく彼らが語る偏陸、寺山、そして劇団天井桟敷。
寺山と出会い、愛され、亡き後もその魂の継承者として日常と幻想、生と死、あらゆる境界線を軽々と飛び越えていく森崎偏陸の不思議な存在感が浮かび上がる。

監督は『樹の上の草魚』(97/製作・配給:ワイズ出版)でデビューを果たした石川淳志。これが初のドキュメンタリー作品となる。7年の長期にわたり偏陸を追い続けた石川監督は、本人さえも気づかない、内面を垣間見せるその瞬間を確実にとらえた。編集にあたってはテロップもナレーションも極力排し、人間の尊厳、孤独、豊穣な生の喜びを描き出した、人間の本質に迫るドキュメンタリーに仕上げている。

ストーリー




『ローラ』1974年に発表された寺山修司監督の実験映画の1本である。客席にいた1人の男がスクリーンの中にいる女たちに罵倒され、憤然とスクリーンに飛び込んでいくものの、丸裸にされてスクリーンの中から追い出される。その「観客」を演じているのがもりさきへんりっく森崎偏陸である。寺山修司死後25年。『ローラ』によって偏陸は何度となく観客のいる現実世界とスクリーンの中の虚構の世界を行き来してきた。

森崎偏陸。本名である。幼少時、親類の永田家に預けられ、その後高校時代に寺山の元に家出。天井桟敷の一員となった。寺山死後は母・はつに乞われ九條今日子とともに寺山籍に入った。彼には「生みの母」「育ての母」「戸籍上の母」という3人の母がいる。偏陸をとりまく現実も虚構的な宿命にある。

荒木経惟(写真家)森山大道(写真家)松村禎三(作曲家)宇野亜喜良(イラストレーター)浦岡敬一(映画編集)ら、日本が世界に誇る美の巨人たちとの華々しい仕事の数々。
そして寺山が偏陸に残した『ローラ』を携え、日本中そしてフランスはパリへも飛び出し上映を行う。この作品の上映のためには偏陸が必要不可欠であり、永遠に生き続ける作品の寿命を寺山は偏陸に託したのだ。偏陸はスクリーンの中の35年前の姿と同じ、グレーのタートルネックのセーターにワインカラーのジャケット、パンツでスクリーンの中に飛び込んでいく。

偏陸のこと、寺山修司のこと、天井桟敷のこと。思い出を語り合う人々。寺山の元で自分の居場所を見つけた人々・・・
その傍らで天井桟敷の女優だった高橋咲がつぶやく。「偏陸は自分と向き合ったことがあるのかな・・・」

寺山ワールドのトリックスターとしての運命を背負った森崎偏陸。寺山修司の魂の継承者。その心の光と闇。生きる喜びと堪え難い孤独。語られる数々の断片の中から、カメラは次第に「寺山ワールドのトリックスター・森崎偏陸」の中に確かに存在する「人間・森崎偏陸」の姿をとらえていく・・・

スタッフ

撮影・編集・監督:石川淳志
宣伝美術:宇野亜喜良
デザイン:鈴木一誌
題字:荒木経惟
「上海異人娼館」振付:斎藤千雪

主題歌「夢寺」作曲・演奏:えびすまいる(中ムラサトコ・まさ・スパン子)
プロデューサー:岡田博、千田潔、長田俊一、石川雄志
編集:石川一恵
編集協力:小林雄大
音響効果・MA:斎木琢磨、吉方淳二
製作:ワイズ出版
製作協力:喇痲舎、株式会社ユニバース
配給:ワイズ出版
配給協力・宣伝:アルゴピクチャーズ

キャスト

荒木経惟
宇野亜喜良
浦岡敬一
緒川たまき
木村威夫
九條今日子
佐々木英明
笹目浩之
J・A・シーザー
シルヴェット・ボドロ
平常
高橋咲
新高けい子
萩原朔美
日野利彦
弘子・ゴヴァース
松村禎三
三上博史
森山大道
山ちゃん
蘭妖子
若松武史
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