原題:MR PILIPENKO AND HIS SUBMARINE

2006年/ドイツ/カラー/90分/ロシア語・ウクライナ語 配給:パンドラ

11月14日、渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー!!

公開初日 2009/11/14

配給会社名 0063

解説


ウクライナの小さな村に住むピリペンコさんは62歳の年金生活者。彼は自作の潜水艦を作って黒海に潜ることを30年も前から夢見ている。貯めた年金を切り崩し、古い部品を集めては潜水艦作りにふけるピリペンコさん。そんな風変わりな趣味に、何かと振り回されっぱなしの妻や村人たち。それでも、純粋に潜水艦作りを楽しむピリペンコさんはどこか憎めない・・・。果たして、ピリペンコさんは無事に黒海に潜ることができるのか?
抜けるような青空と穏やかな人々、脈略なく村のあちこちに現われる動物たちが醸し出す、時代に逆行するようなトボケ感とユニークさが観客に愛され、山形国際ドキュメンタリー映画祭では市民賞を受賞しました。こんな時代に「人生を良い加減(いいかげん?)に生きるコツ」を教えてくれる、ちょっと風変わりなライフワーク・ドキュメンタリー!

ストーリー





 くず鉄の山と古いスペアパーツと30年の時間を手にしたなら、あなたはウクライナの草原で何をするだろうか?ウラジーミル・ピリペンコはそこで潜水艦を作った。実物大の潜水艦だ。試しに村の沼に繰り出すと、何と潜水できるではないか! しかし、彼には池などより大きな目標があった。生涯の野望、それは自分の潜水艦が400キロ離れた黒海で本当に潜水できると世界に証明することだった。やるしかない。しかし、まずは厳しい試行錯誤を繰り返し、村人たちを夢中にさせて熱っぽい眼差しを勝ち得なくてはならない。やがて大変な苦労の後に、潜水艦とその制作者は、クリミア沿岸に広がる草原に古くてガタのきた穀物運搬車に引かれてたどり着く。その場所と黒海の海底の間には1000メートルの高度差がある。ウラジーミルとその潜水艦は、最もやっかいな挑戦に乗り出そうとしていた。
    現役時代、ウラジーミル・ピリペンコは集団農場でクレーン車の運転手をしていた。62歳になった今は、エヴゲイニフカ村のみんなと同じように、地に足の着いた、物静かで家庭的な人間である。しかし、彼には夢があった。そして、独力で潜水艦を作った。本人によると、すべて試行錯誤でやり遂げた。技術者としての訓練は1日たりとも受けていないのに。唯一、参考にしたのが70年代の雑誌「水中スポーツマン」の記事だった。自家栽培のキュウリと交換したスペアパーツや、あるいはキュウリを謝礼に依頼した修理によって成り立った潜水艦は、細部に至るまで小さな歴史が刻まれている。必要な部品がなければ、潜水艦のデザインを変えるまでだった。完成品を見れば、一目瞭然。フォルクスワーゲン・ビートルと空飛ぶ円盤の両方を思わせる、驚くべき姿だ。
    エヴゲイニフカ村はウクライナの草原の真ん中に位置している。旧ソ連の一部という土地柄から当然、ウラジーミルのような人間はバカな個人主義者として片づけられがちだった。その妻は今でも夫のライフワークを手伝おうとはしない。だが、30年にわたり余暇を残らず費やしてきた——言うまでもなく金もつぎ込んできた——ウラジーミルの娘たちは、工具を持って立ち上がる。映画は、地理的な悪条件や激動の政治という障害が山積みとなっていてもなお挫けない、生涯をかけた夢の持つパワーを映し出す。ウクライナの村の平穏さを背景に、夢追い人であると同時に豊かなアイデアと創意工夫に満ちたウラジーミルの人となりがくっきりと浮かび上がる。未知の世界への新たな冒険に、観客も踏み出すのだ。

スタッフ

監督:ヤン・ヒンリック・ドレーフス、レネー・ハルダー
製作総指揮:ヴォルフガング・クラーマー
         フーベルト・マラディ
製作:イェンス・フィンテルマン、トーマス・ゼーカンプ
撮影:フロリアン・メルツァー
編集:シルヴィア・ナゲル
録音:トルステン・ズィルバーマン
音楽:ハインリヒ・ダーゲッフェア、フランク・ヴルフ
水中撮影:マルコ・フォン・デル・シュレンブルグ、クリスチャン・コピア
協力:エヴゲイニフカ村の皆さん
提供:ノンフィクションプラネット映画
共同提供:NDR、ARTE

キャスト

ウラジーミル・アンドレイェヴィチ・ピリペンコ
アーニャ・ミハイロヴナ・ピリペンコ
セルゲイ・セミョーノヴィチ・ホンチャロフ
イルカ号

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