原題:Lost Paradise in Tokyo

第39回ロッテルダム国際映画祭出品作品 第14回釜山国際映画祭出品作品 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009出品作品

2009年/日本/115分 製作:KOINOBORI PICTURES/制作協力:若松プロダクション/カズモ 配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS

2010年9月18日からポレポレ東中野にてロードショー

© 2009 CineBazar

公開初日 2009/07/10

公開終了日 2009/07/20

配給会社名 1082

解説


誰もがひとりでしか生きられない。 でも誰もひとりでは生きていけない。 たとえ個々では無力な存在だとしても、夢と感情を共有できるかけがえのない仲間はきっとどこかにいるはず。 そんな普遍的なテーマを真正面から受け止めた新たな傑作が誕生した。
知的障害者である兄・実生のままならない性欲を満たすため、デリヘル嬢を呼んだ幹生。 やってきたのは地下アイドルと風俗嬢のふたつの顔を持つマリン。 屈託なく実生の相手をするマリンに反発を覚えながらも、幹生の中で今まで感じたことのなかった変化が生じる。 奇妙で穏やかな生活を始めた3人だったが、徐々に明らかになる封印された過去や厳しい現実の壁。 互いを補うように生きてきた3人の絆がもろくも崩れ去ろうとしたとき、はじめて彼らは自分自身と向き合い、各々のやり方で圧倒的な世界と対峙するのだった・・・。 社会のシステムからこぼれ落ちながらも逞しく前を向いて歩き続ける女性と、様々な軋轢に押しつぶされそうになりながらも、なんとか自分の足で歩いて行こうとする一組の兄弟。 過去でも未来でもない、たった“今”を必死に生き抜く3人が、ささやかな希望を見つけるまでを強烈な迫力で描き切る。
主演の幹生に『ビルと動物園』『ランニング・オン・エンプティ』の小林且弥。 兄を思う気持ちと現実との狭間で揺れる青年を見事に体現。 刹那に生きるデリヘル嬢・マリンに、演劇界で活躍するものの映画のヒロインは初となる内田慈。 その母性さえ感じさせる優しさを湛えた演技は必見。 障害を持つ実生に「実録・連合赤軍 浅間山荘への道程」のウダタカキ(※菟田高城から改名)。 また奥田瑛二がキーポイントとなる男に扮し存在感を見せる。 監督は若松孝二や行定勲らの下で演出力を磨き、本作がデビューとなる白石和彌。 脚本は白石監督と『ある朝スウプは』『ソラニン』の高橋泉。現代の社会が抱える問題や風俗を浮き彫りにしつつ、幸福な人間関係のあり方を映し出し、観る者に勇気を与えてくれる爽やかなラスト。 この独自の世界観が各国でも絶賛され、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009で<SKIPシティ・アワード>を受賞した他、ロッテルダム、釜山、ドバイなどの国際映画祭に正式出品されて大きな注目を集めた。
尚、本作は新人監督の発掘を目的に創設された「KOINOBORI PICTURES」の第1回製作作品でもある。

ストーリー




マンション販売の会社に勤める黒崎幹生(小林且弥)は、実績をあげられず常に上司から叱責を受けていた。 両親を亡くした幹生は、知的障害者である兄の実生(ウダタカキ)と二人で暮らしはじめる。 自分の性欲を処理できない実生のために、ときおりデリヘル嬢を呼ぶ幹生は、秋葉原で地下アイドルとして活動しながら風俗で働くマリン(内田慈)に出会う。 自身の部屋さえ持たずに貯金するマリンには、いつか自分だけの島「ファラ・アイランド」を購入したいという夢があった。
  地下アイドルの取材を続けるドキュメンタリー演出家の酒井は、マリンが実はデリヘル嬢であることをつきとめる。 そして彼女が奇妙な関係を続けている実生が10年前、幼女に性的暴行を加えた過去も調べあげた。 撮影のために酒井は、その被害者の父親(奥田瑛二)と実生の再会をセッティングした。
  拭いきれない過去の罪から逃げてきたことを、幹生は自覚した。 マリンとの関係も破綻して三人はバラバラになってしまう。 彼らは、再会することができるのか。 夢に見た理想のアイランドは、どこかにあるのだろうか。そして、それぞれの未来を信じて新たに歩み始めた三人に、ささやかな奇跡が訪れる…。

スタッフ

監督:白石和彌
プロデューサー:大日方教史 齋藤寛朗
脚本:高橋 泉・白石和彌
撮影:辻 智彦
照明:大久保礼司
録音:浦田和治
美術:今村 力
音楽:安川午朗

キャスト

小林 且弥
内田 慈
ウダタカキ
奥田瑛二

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