原題:NOS ENFANTS NOUS ACCUSERONTNOS ENFANTS NOUS ACCUSERONT

食卓から始まった小さな奇跡が、人々の幸せを紡いでいく 南フランス・バルジャック村の1年間を描き オーガニックブームを巻き起こしたドキュメンタリー!!

2008年/フランス/35mm/カラー/ドルビー/112分 配給・宣伝:有限会社アップリンク

2016年4月16日(土)〜渋谷アップリンクにて上映 2009年8月8日、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開

公開初日 2009/08/08

配給会社名 0009

解説


農薬や化学肥料による食物汚染が、子ども達の未来を脅かす
すべての学校給食をオーガニックにしようと
フランスの小さな村が立ち上がった

『未来の食卓』の舞台となるのは、ゴッホがひまわりを描いたフランス南部アルルの近くガール県バルジャック村。村の近くには世界遺産で有名なポン・デュ・ガールの水道橋があります。この映画は小学校の給食を全部オーガニックにするという前例のない試みに挑戦したバルジャック村の1年間を追ったドキュメンタリーです。

2008年11月にフランスで公開された『未来の食卓』は、当初20館で上映が始まりました。公開後インターネットを中心に映画を観た人の間で盛り上がり、その結果56館迄拡大し、ドキュメンタリー作品としては異例の大ヒットとなりました。映画を観た多くの人が自分のライフスタイルにオーガニックを取り入れる事を意識しはじめ、生徒の決定により食堂をオーガニック化した大学も現れるなど、社会的なムーブメントを起こしました。 

バルジャック村の小学生たちは、オーガニック給食が始まってからの1年間で大きく変化します。「食べものが自分の身体をつくる」、そんなシンプルなことをこの映画は思い出させてくれます。オーガニック給食の導入や、校庭の菜園で野菜を育てる事によって、食の大切さを学んでいった子供たちは、自分の家族や村の大人たちにも影響を与えはじめます。ある家庭では洗剤をオーガニックに代え、村では有機農法に切り替える農家や、オーガニック食材を扱う店も増えてきます。

映画の冒頭ユニセフの会議のシーンでがん研究者は「人間の行動が病を生むのです。その最たる物が化学汚染です」と発言します。
人々の健康よりも、生産性や価格を第一に掲げ、生産者や企業の利益を優先する現代の食産業。その事を声高に告発するのではなく、ジョー監督は、野菜や果実そして料理の美しさとバルジャック村の豊かな自然と人間の調和をガブリエル・ヤレドの音楽とともに美しく描き出します。
そして、私たちがオーガニックを意識することは、地球を大切にする有機農法を支援することであり、ひいては、未来のため、美しい自然環境を子供たちに残すことへと繋がります。

フランスは食料自給率が100%を超える農業大国で農産物輸出国です。食料自給率40%以下の日本は海外からの輸入食料に日々の生活の食事を頼らなくてはならないのが現状です。映画に出てくるワインの原料となる葡萄畑で農薬を散布し、家族の健康を害している農家の話などは、遠い国の話として見る訳にはいきません。

日本では食に関する事件が最近多く起きています。バルジャック村同様、私たちも“価格”と“安全”のどちらを選択すべきかを各自が問い直す時が来ています。そして、なによりも自分で食事の内容を選択する事のできない子供たちに対して大人の責任は大きいものがあります。

もし大人たちが子供の食事の安全を考えないならば、この映画のフランス語の原題のように『子供たちは私たちを告発するでしょう』
“NOS ENFANTS NOUS ACCUSERONTNOS ENFANTS NOUS ACCUSERONT”。

そして、そうならない未来のために。この映画は、私たちの「食」、そして「環境」の問題を考え直すきかっけになるでしょう。

ストーリー

INTERVIEW  ジャン・ポール・ジョー監督インタビュー

・『未来の食卓』製作のきっかけは?
2004年、私は結腸癌に侵されました。癌は今日のフランスにおける死因の一位です。私の場合、その癌は外科手術によって摘出され、今では完治しています。しかし完全に治るということがあるのでしょうか?私は自分の病気の原因を追究しようと考えました。そして、多くの事実を知るにつれて、これを作品にし、多くの人々に知ってもらうことが自分の職業の使命だと思いました。死を覚悟するような深刻な状況で「生」について考えたとき、私の生命だけでなく全ての生き物、植物、動物、昆虫を含めた環境のことを真剣に捉えるようになりました。そして、私はドキュメンタリーの映画作家として環境保護のために生涯を捧げようと思いました。

・撮影にはどれくらいかかりましたか?
私はパリに住んでいて、南フランスに位置するバルジャック村には2006年9月の新学期から2007年の夏休み前まで通いました。1回の撮影で2〜3日滞在し、合計で40日間を村で過ごしました。

・給食のオーガニック化をテーマに選んだのはどうしてですか?
学校給食というキーワードは初めから念頭にありました。毎日給食を食べる子供達の姿を記録したかったのです。そして、06年の3月、市民団体アン・プリュス・ビオのステファニー・ヴァイラ氏からガール県にあるバルジャック村を紹介してもらいました。バルジャックはまさにその時期、給食のオーガニック化を進めており、村の外観は一見美しいのですが、実は土や水は汚染されていて、そこに住む人々が苦しんでいる。その事実とのギャップが私のイメージとぴったりでした。

・子供たちが給食や校庭の畑での野菜栽培を通して変化していき、子供から影響されて保護者の意識が高まっていく姿がありますが、監督は予想していましたか?
親がこどもから影響を受ける事は、食に関わらず多いと思います。親はこどもを愛していますから、子供の要望には応えたいと考えるのが普通です。9〜10歳の子供たちは色々なしがらみに捉われてなく、自分の感じたことを率直に信じることができる。だから、世の中を変えていく強さを一番持っていると思います。

・農業にはもともと関心はあったのですか?
小さい頃、田舎の祖父の家でバカンスを過ごしました。その時、農業や、生態系のこと自然の素晴らしさ、大切さを知りました。

・フランスでは上映後どんな反応がありましたか?
上映後にディスカッションを行い、中には市議会委員がいて地方で環境問題についての議案を提出したいと言ってくれたし、母親たちにも現在起こっていることがよく分かってもらえたし、自分でも何かアクションを起こしたいと言ってくれました。非常に手ごたえを感じています。現在ジャーナリストとして活躍しているマザリーヌ・パンジュさん(ミテラン大統領の娘)は、この作品にすごく感動して、見た後すぐにオーガニック食品のお店に直行したというエピソードもあります。実際パリ2区でもオーガニックのキャンペーンが始まっています。バルジャックの人達は、この映画を誇りに思っています。全国から共感の声が届けられ、バルジャックの村役場では、映画担当者を置かなければならないくらいの反響がありました。

・この映画をどんな人に見てもらいたいですか? 
環境問題を考えたとき、世界を変えていくには、子供達とそして、母親の役割が大きいと思います。母親というのは人生を守る人だと考えています。父親はそれを助ける人で、実際生活を作るのは母親です。そして、この作品を作るにあたって、私は最後に必ず希望を残したかった。今、すぐに行動すれば希望は失われないという希望です。
ロシアの文豪、ドストエフスキーは[美こそ世界を救う]という言葉を残しています。この作品は、自然の美しさへのオマージュでもあります。美しさを守る事こそ、子供達の未来を守ることだと私は信じています。

スタッフ

監督:ジャン=ポール・ジョー
制作スタジオ:J+B SEGUNCES
音楽:ガブリエル・ヤレド
撮影:ジョエル・ピエロン、アマル・アラブ

キャスト

エドゥアール・ショーレ
ぺリコ・ルガッス

LINK

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