原題:El cantante

2007年8月3日全米公開

2006 年/アメリカ/114 分/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/R-15 配給:アートポート

2010年02月10日よりDVDリリース 2009年7月25日、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー

© 2006 R-Caro Productions, LLC. All Rights Reserved

公開初日 2009/07/25

配給会社名 0014

解説


“サルサの声”と呼ばれた男、エクトル・ラボー
全身全霊を音楽に捧げ、人々の夢や希望や苦しみを一身に受けた彼の歌は、私たちの心をわしづかみにする

ニューヨークに暮らすプエルトリカンらカリブ系移民の哀しみや望郷の念から生まれた音楽、サルサ。
その黄金時代を築き、死後15 年経ったいまなお“歌手の中の歌手”としてラテン音楽界に影響を与え続けているエクトル・ラボーの生涯を、現代のラテン系トップスターたちが完全映画化!
音楽界での成功を夢見て、17 歳で故郷プエルトリコからニューヨークにやって来たエクトルは、情感あふれる美声でナイトクラブに集まる人々を魅了し、60 年代後半のサルサムーブメントに乗って瞬く間にスターへの階段を駆け上がっていく。しかし、歌手としてのまばゆい栄光の影で、私生活は破滅の一途を辿っていった。ドラッグや酒に溺れ、約束を破り、かけがえのない家族を失い、やがて自殺未遂まで……。20 年間連れ添った妻ですら、彼を深い闇から救い出すことができなかった。
それでも、いかなる時も彼は歌い続けた。そして人々は彼を愛し、求め続けた。なぜ彼の歌はこれほどまでに人の心を震わせ、胸をかきむしるのか? その答えは、映画の中にある。

ジェニファー・ロペス製作×マーク・アンソニー主演
映画・音楽界のスーパースター・ジェニファーが、現代サルサの最高峰シンガーにして現夫のマークと組み、ニューヨリカンの誇りと情熱を注ぎ込んだ夢のプロジェクト!

自分たちのルーツ、ラテン音楽の偉大なアーティストであるエクトル・ラボーの歌を現代に蘇らせたい−−。
『エル・カンタンテ』は、ジェニファー・ロペスのそんな情熱から生まれた映画である。女優・歌手としてショウビズ界のトップに君臨しながら、一貫してニューヨリカン(NY のプエルトリカン)魂にこだわってきた彼女は、自身の制作会社、その名も「ニューヨリカン・プロダクションズ」の第一回作品に本作を選び、エクトル役にサルサ界の若き帝王、マーク・アンソニーを指名。当代随一の歌唱力と表現力を持つ人気歌手にして、ポール・サイモン演出のブロードウェイ舞台やマーティン・スコセッシ監督の『救命士』などに出演する俳優でもあるマークは、エクトルの色気とステージカリスマを完璧に体現し、映画を成功に導いただけでなく、サントラ盤をビルボード・ラテン・チャートで堂々の一位に送り込むという快挙をも成し遂げた。中でも、エクトルの代表曲「エル・カンタンテ」を哀切にじませて歌い上げる場面は、観客にエクトル・ラボーの人となりやクラシック・サルサの魅力を余すところなく伝えてくれる。
映画の語り部であるエクトルの妻プチに扮するのは、プロデューサーのジェニファー本人。情が厚く気性の激しいプチ役を、フェロモンと迫力たっぷりに演じて圧巻だ。監督は、ルベン・ブラデス主演でサルサ歌手の栄光と挫折を描いた『クロスオーバー・ドリーム』(85)や、ストリート詩人ミゲル・ピニェロの伝記映画『ピニェロ』(02)などで知られ、“ラテン系NY 映画の詩人”の異名を持つキューバ出身のレオン・イチャソ。自身もその渦中にいたというサルサ全盛期のニューヨークの熱気を色鮮やかな映像でスクリーンに焼き付けると同時に、ドラマチックな歌の世界をエクトルの壮絶な人生と重ね合わせる巧みなストーリーテリングで、これまでにないエモーショナルな音楽映画を完成させた。

ストーリー


2002 年、ニューヨーク。年季の入ったレコーディング・スタジオで、ブロンクス訛りの中年女性がカメラに向かって語り始める。「エクトルはスターになるために生まれてきた根っからの歌手だった。彼はすべて手にしていた。この私もね。でも彼は自分が人々にどれだけ愛され、求められているかを知らなかった。
知ろうともしなかった……」

1963 年、歌手になることを夢見てプエルトリコから新天地ニューヨークにやって来たばかりの17 歳の青年、エクトルは、ラティーノ地区のナイトクラブに足を踏み入れる。マンボ、ルンバ、プレナ、ジャズ、メレンゲ……あらゆる音楽の熱気をミックスしたバンド演奏に合わせて男女が踊るその光景にたちまち溶け込んだ彼は、数ヶ月後にはステージで客の歓声を浴びるようになっていた。エクトルの繊細で伸びやかな歌声は、ラテン音楽のモータウンを目指す新進レーベル「ファニア・レコード」のジョニー・パチェコとジェリー・マスッチの耳にも留まり、彼は売り出し中のトロンボーン奏者、ウィリー・コローンが率いるバンドにボーカリストとして参加することになる。その際、ファニアのスタッフはエクトルの苗字を、本名のペレスでは平凡過ぎるという理由で、フランス語で声を意味するラボーと命名。67 年、ストリートのワルのイメージを打ち出したファーストアルバム「El Malo」は熱狂とともに迎え入られ、エクトルは瞬く間にスターへの階段を駆け上がっていく。
しかし、輝かしい成功の裏で、エクトルの私生活は波乱の連続だった。ニューヨーク生まれの美しいプエルトリカン女性、プチとの間に息子を授かり結婚するも浮気を重ね、そして何よりもヘロインをはじめとするドラッグが、彼の不安定な心と身体を蝕んでいった。仕事場でも遅刻をくり返し、ついにエクトルはウィリーからコンビ解消を言い渡されてしまう。それでも、一旦ステージに上がれば最高のパフォーマンスを見せるエクトルに、ウィリーをはじめとする音楽仲間やファンは熱い期待を寄せ続けるのだった。
77 年、ソロのボーカリストとして、またファニア・オールスターズのボーカリストとして世界中を廻り、NYサルサシーンを代表する顔となっていたエクトルは、ルベン・ブラデスという若いミュージシャンがエクトルのために書いた曲「エル・カンタンテ」に出会う。エクトル自身を表現したその曲は、彼の代表曲となった。

スタッフ

監督:レオン・イチャソ
製作:フリオ・カロ、ジェニファー・ロペス、
   サイモン・フィールズ、ダビ・マルドナード
撮影:クラウディオ・チェア

キャスト

ジェニファー・ロペス
マーク・アンソニー
ジョン・オーティス
ヴィンセント・ラレスカ

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